2019年2月6日、フォルクスワーゲンは「パサート」のマイナーチェンジを発表し、2019年3月のジュネーブショーで公開する。
予想では「アルテオン」のようなフロントマスクになるとされていたパサートの新デザインだが、実際にはマイナーチェンジ前からかけ離れたものではなかった。
それでもヘッドライトがシャープさを増し、フロントバンパー形状も多少丸みを帯びたことで、高級感がアップした印象だ。
対向車や先行車にあわせて、きめ細かい配光が可能なLEDハイビームのLEDマトリクスヘッドライトが「IQ.LIGHT」として選択可能となったのは見逃せない。
リヤビューでは、「PASSAT」のバッジがトランクリッドの中央に配置されるのが新型の特徴だ。リヤコンビネーションライトやリヤバンパーも新たにデザインされている。
インテリアでは、これまでダッシュボード中央にあったアナログ時計が廃止されている。ステアリンホイールのデザインも一新された。
インフォテインメントシステムは、最新の「MIB3」がこのパサートから搭載されることに。スマートフォンのインタフェースとして、AppleのワイヤレスCarPlayに初対応する。
MIB3の採用にあわせて、液晶メーターが従来の「Active Info Display」から新世代の「Digital Display」に進化。マルチファンクションステアリングを操作することで、これまで以上に多彩な表示を切り替えて利用することが可能だ。
フォルクスワーゲンでは、今後の自動運転技術の普及を目指して、ドライバーアシスタンスを「IQ.DRIVE」を呼ぶことにしている。このパサートでは、IQ.DRIVEのひとつとして、レベル2の(半)自動運転機能である「トラベル アシスト」を新採用。トラベル アシストは、高速道路などを60km/h以下で走行中に車線をキープし、速度を自動調節する「トラフィックジャムアシスト」の機能を、210km/hまで拡張するものだ。
レベル3の自動運転とは異なり、ドライバーは常に運転を監視し、ステアリングホイールを握り続ける必要がある。ステアリングホイールから手を離している時間が10秒を超えると、システムがドライバーに警告を行う。パサートでは、静電容量式タッチセンサーをステアリングホイールに組み込むことで、ドライバーが手を離していないかどうかをチェックしている。
また、アダプティブ クルーズ コントロールでは、地形や制限速度の情報から自動的に加減速を行う機能が利用できる。
エンジンは、110kW(150ps)を発揮する2.0 TDI Evoを新開発。さらに、ガソリンエンジンが1.5 TSI(110kW/150ps)、2.0 TSI(140kW/190ps)、2.0 TSI(200kW/272ps)の3タイプ、ディーゼルエンジンが1.6 TDI(88kW/120ps)、2.0 TDI(140kW/190ps)、2.0 TDI(176kW/240ps)の3タイプを用意する。いずれもパティキュレートフィルターを搭載し、ヨーロッパの排ガス規制「Euro 6d-TEMP」をクリアする。
プラグインハイブリッド車の「パサートGTE」「パサート ヴァリアントGTE」は、搭載するバッテリーを9.9kWhから13.0kWhに増やすことで、航続距離が従来の50km(NEDC)から70km(NEDC)/55km(WLTP)に拡大している。
クロスオーバーの「パサート オールトラック」も同時にフェイスリフトを実施。ヨーロッパでは、200kW(272ps)の2.0 TSIと、140kW(190ps)または176kW(240ps)の2.0 TDIが選べる。組み合わされるトランスミッションは7速DSGである。
ほかにも、DCCのカスタマイズがコンフォート、ノーマル、スポーツの3パターンから、連続的に設定できるようになったり、従来からGTEに搭載していた電動サーボブレーキを他のパワートレイン搭載モデルに拡大するなど、見た目以上の進化を遂げたパサート。ドイツ本国では、2019年8月末から納車が始まる予定だ。
(Text by Satoshi Ubukata)