モータージャーナリスト、岡崎五朗氏による新型ポロのインプレッションも今回で最終回。一番気になる新型ポロのドライビングフィールは!?
2,470㎜というホイールベースが変わっていないことからも察することができるが、新型ポロは先代からプラットフォームを譲り受けている。ボディサイズも、3,970×1,682×1,462㎜(全長×全幅×全高)と、現行モデルと比べて長さで54㎜、幅で32㎜しか大きくなっていない。全高は14㎜のマイナスだ。この背景には、ゴルフ6がゴルフ5と比べてさほど大きくならなかったことや、燃費規制が厳しさを増していることに加え、先代ポロの室内スペースに対する不満の声がほとんどあがらなかったことがある。
2,470㎜というホイールベースが変わっていないことからも察することができるが、新型ポロは先代からプラットフォームを譲り受けている。ボディサイズも、3,970×1,682×1,462㎜(全長×全幅×全高)と、現行モデルと比べて長さで54㎜、幅で32㎜しか大きくなっていない。全高は14㎜のマイナスだ。この背景には、ゴルフ6がゴルフ5と比べてさほど大きくならなかったことや、燃費規制が厳しさを増していることに加え、先代ポロの室内スペースに対する不満の声がほとんどあがらなかったことがある。
実際、ポロは大人4人が楽に過ごせるだけの室内空間をもっている。さすがに身長180㎝×4人は無理だが、175㎝×4人なら十分いける。そう考えると「一家に一台のファミリーカーとして使うにしてもポロで十分」という結論を導き出すことができる。ましてや、独身の人が使う分には、ラゲッジスペースを含め、実用性に不満が出ることはないだろう。ちなみに、後席使用時のラゲッジスペースは280リッターで、後席を畳むと952リッターまで拡大する。
室内に乗り込む。カッチリした硬さをもつシートのタッチは依然としてドイツ車そのもの。乗り込むたびに、気持ちよく背筋が伸びる感覚を味わえる。シートを前後にスライドしたときの滑らかな動きや、コーナーで横Gが加わっても微動だにしない高い剛性感も素晴らしい。
日本にはまず現行モデルと基本的に同じ1.4L自然吸気85psの直4に7速DSGを組み合わせたモデルが入ってくるが、そう遠くない将来には1.2L+ターボのTSIエンジン(105ps)が追加される予定。1.4LNAと7速DSGの組み合わせもなかなか魅力的だったが、クルマ好き、運転好きにオススメしたいのはやはり1.2LのTSIだ。このエンジンの特徴は、1000rpm前後の極低回転域からしっかりとトルクが出ていること。発進はとても力強いし、追い越し加速も俊敏だ。加えて、トップエンドまで回したときのスムースさや気持ちのいい伸びきり感も大きな魅力となる。
こうした「気持ちよさ」や「運転の楽しさ」をモノにしつつ、素晴らしい燃費性能を達成しているのも嬉しい。1.2LTSIモデルの燃費は100㎞あたり5.5L(EUモード)。日本流にいえば18.2㎞/Lとなり、1.4LNAの17㎞/Lを上回る。日本での実用燃費は15㎞/Lオーバーを期待できるだろう。
フットワークの出来映えも素晴らしい。というか、この部分がもっとも感心したところだ。ドイツ車らしいカッチリした乗り心地や、クラストップレベルの高速直進安定性、ステアリングのスムースさ、コーナーでの素直なライントレース性などなど、その走行フィールは文句なし。静粛性にも高い得点が付く。とくに、速度をあげたときや、ロードノイズが高まりやすいざらついた路面での静粛性はとても優秀だ。良路ではポロに匹敵する乗り心地をもつクルマもあるが、路面が荒れてくると違いは加速度的に大きくなる。路面の状況を問わず、常に快適な乗り心地を提供してくれるのは、ボディやサスペンションに「余裕」があるからに他ならない。
ハードウェア上のアドバンテージをさらに拡大しつつ、VWらしいスタイリッシュさを身につけてきた新型ポロ。総合的な商品力は確実に高まったと判断していいだろう。このクルマなら東京から大阪まで一気に走っていけそうだ・・・・そんな自信を与えてくれるコンパクトカーは、世界広しといえどもそう多くはない。日本で発売は年内の予定。国産コンパクトとは一線を画す質感や走りが欲しいなら、最有力候補として真剣に検討すべきモデルである。
(Text: G.OKAZAKI , Photo: Volkswagen Group Japan)