2009フランクフルト国際モーターショーで、フォルクスワーゲンはまもなく発売といういくつかの市販モデルを登場させた。そのなかで最も重要と思われるのは、第2世代ブルーモーションを搭載したポロ、ゴルフ、パサートの3台だが、これについては後述の予定。というのは、ゴルフに関してはステアリングこそ握らなかったが、かなりの距離を同乗走行でき、そのときの印象も交えてリポートしたいからだ。ここでは、我々日本のVWファンにとっては、早い時期の輸入が見込まれて、最も身近な存在といえる"ゴルフR"の詳細と、"トランスポーター"(日本名ヴァナゴン)の概要をお届けする。
■「R」の名を冠するゴルフ、ゴルフR
ゴルフ6のRは、やはり6気筒エンジンではなかった。6の登場以来、噂となっていたのは、ダウンサイジングという流れからいって6気筒エンジンの搭載はないというもので、あるいはアウディTT RSの2.5リッター直5を積むのではないかと予想されていた。が、実際に搭載されたのは、ゴルフ5のGTIの2.0リッター直4ターボをベースに、高度なチューンを施したものだった。6のGTIに搭載された新世代のEA888シリーズではなく、EA113シリーズに属するエンジンだったのだ。
ゴルフ6のRは、やはり6気筒エンジンではなかった。6の登場以来、噂となっていたのは、ダウンサイジングという流れからいって6気筒エンジンの搭載はないというもので、あるいはアウディTT RSの2.5リッター直5を積むのではないかと予想されていた。が、実際に搭載されたのは、ゴルフ5のGTIの2.0リッター直4ターボをベースに、高度なチューンを施したものだった。6のGTIに搭載された新世代のEA888シリーズではなく、EA113シリーズに属するエンジンだったのだ。
とはいえ、そのスペックには目を見張るものがある。R32は最高出力が250ps、最大トルクが32.6kg-mだったが、新しいTSIエンジンはそれぞれ270ps/6000rpm、35.7kg-m/2500~5000rpmと、いずれも従来型を大きく上回るデータ。リッター当たり136.6psというパワーだ。しかも、8.5Lの燃料で100kmを走行可能としていて、なんと21%もの燃費を向上させているし、CO2排出量も、255g/kmから199g/kmへと大幅に低減されている。最大過給圧1.2バールに達する大径ターボチャージャーが生み出す強大なパワーにも耐えられるよう、スタッドボルトやシリンダーブロック、コネクティングロッドなども、強化されたものが使われているという。
もちろん、そのパフォーマンスデータも進歩が見られる。0~100km/h加速は、先代R32が6.5秒かかっていたのに対し、新型は5.7秒。0~1000m加速は26.7秒を一気に1.3秒も縮める25.4秒をマークしている。これらは6速マニュアル仕様のデータで、DSG仕様では、0~100km/h加速は5.5秒にまで向上する。最高速度は、先代と同様、電子リミッター作動で250km/hに抑えられている。「R」を冠するゴルフは伝統的に「史上最強のゴルフ」の名を継承してきたわけだが、6のRもその通りになったというわけだ。
駆動方式は、例によってハルデックスカップリングによる4輪駆動だが、もちろん最新のものに改められていて、もはやオンディマンド4WDではない。最新の4モーションには電動ポンプが組み合わされていて、これが油圧リザーバーに作動圧を供給。4モーションの制御モジュールが理想的なリアアクスルトルクを計算し、マルチプレートクラッチのピストンに適正な油圧を送るという仕組み。クラッチプレート間の接触圧が高まると、リアアクスルに伝わるトルクもこれに比例して上昇する。駆動トルクのほぼ100%をリアアクスルだけに振り分けることも可能というシステムだ。
もちろん、サスペンション、ブレーキ関連も強化されている。車高は標準仕様に比べるっと25mm低くなっていて、スプリング、ショックアブソーバー、スタビライザーはすべて専用の強化タイプ。ブレーキはディスク径が大径化されていて、フロントが345mm、リアが310mmとなっている。ESPも新たにスポーツモードが選択できるようになっていて、このモードではESPの介入が意図的に遅らされ、さらに電動パワーステアリングの特性もスポーツ走行用に変更される。また、オプションでDCC(ダイナミックシャシーコントロール)が装着でき、ステアリング特性も含めて、スポーツ、ノーマル、コンフォートの3モードに切り替えられるようになっている。タイヤ&ホイールは、225/40サイズの18インチが標準。オプションとして、19インチ、235/35タイヤ仕様も用意される。
エクステリアやインテリアも、シッカリと差別化されている。フロントバンパーの3つの大きなエアインテークのルーバーはハイグロスブラックで塗装され、左右ふたつのインテークにはLEDストリップを標準装備、デイタイムランニングライトとして機能させている。グリル右側には新しいデザインの「R」ロゴ。サイドスカートのエクステンションはボディ同色に、サイドミラーはハイグロスブラック塗装となる。リアで目立つのは、テールランプ。
レンズがスモーク仕上げになっていて、そのなかにLEDが輝くのだ。インテリアも細かく変更されているが、際だつのはスリースポークステアリングのセンタースポークにはピアノブラックに新しい「R」ロゴがあしらわれていること。スピードメーターが300km/hまで刻まれているのも見逃せない。注目したいのは、ショー会場に展示されていたゴルフRに装備されていた、オプションの「トップスポーツシートシステム」。人間工学の粋を集めて新たのデザインされていて、ほぼフルバケットという形状ながら、テーラーメイドのようにドライバーの身体にフィットするという。
■T5が新ブランドフェースに
フォルクスワーゲンのベストセラーワンボックス、T5が、新しいブランドフェースの採用、またTDIを新世代に変更するなどのマイナーチェンジを受けた。T5は、総称としては商用のトランスポーターの名が使われるが、乗用車としてはカラベル、マルチバン、そしてキャンピングカーとしてはカリフォルニアの名が使われている。それぞれがいくつもの仕様を持っていて、そのバリエーションは数百種類にも及ぶ。今年の6月、100万台生産を達成したという人気モデルだ。
フォルクスワーゲンのベストセラーワンボックス、T5が、新しいブランドフェースの採用、またTDIを新世代に変更するなどのマイナーチェンジを受けた。T5は、総称としては商用のトランスポーターの名が使われるが、乗用車としてはカラベル、マルチバン、そしてキャンピングカーとしてはカリフォルニアの名が使われている。それぞれがいくつもの仕様を持っていて、そのバリエーションは数百種類にも及ぶ。今年の6月、100万台生産を達成したという人気モデルだ。
フロントエンドは、フォルクスワーゲンの新しい水平基調のブランドフェースを得て、ご覧の通り非常にスッキリとしたものになった。エンジン関連は、主流となっているディーゼル(4気筒1968㏄)が新世代のものとなり、84ps、102ps、140ps、180psの全4機種がEU5をクリアしたという。なかでも140ps、180psのTDIユニットはコモンレールを採用して、燃費とエミッションを大幅に改善している。、ちなみに、140ps仕様はシングルターボながらバリアブルジオメトリーターボ、180ps仕様は2ステージ・ツインターボチャージャーと、最新のターボ技術が採用されている。オプションとして、7速DSG、4モーションが用意されているのもニュースだ。
T5は現在、輸入が途絶えているが、そのマルチパーパスぶりには根強い人気があって、再導入を望む声は大きい。とはいえ、ガソリンエンジンで残っているのはどうやら112ps仕様のみのようで、それを考えると、再導入は難しいかもしれない。それだけに、我が国のディーゼルに対する考え方が変化することを望みたいところだ。
T5は現在、輸入が途絶えているが、そのマルチパーパスぶりには根強い人気があって、再導入を望む声は大きい。とはいえ、ガソリンエンジンで残っているのはどうやら112ps仕様のみのようで、それを考えると、再導入は難しいかもしれない。それだけに、我が国のディーゼルに対する考え方が変化することを望みたいところだ。
(Text by M.OGURA)