121221-Shiomi-04.jpg先日、ベントレー・コンチネンタルGTスピードの発表会が行われました。フォルクスワーゲンでもアウディの話題でもないのですが、グループということでお許しください。

ベントレー・コンチネンタルGTスピード。シルバーでもブラックでもなく、ダーク・ティントのグリルがGTスピードの証。
コンチネンタルGTスピードは、W12エンジンを搭載するコンチネンタルGTのエンジンをチューンし、最高出力625ps/6000rpm、最大トルク800Nm/2000rpmを得て、最高速330km/h、0-100km/h加速4.2秒を実現するとてつもないモデルです。4WDだからこその加速力ですね。断っておきますが、車重が2320kgあってこのスペックです。

コンチネンタルGTって非常にカッコいいと思いませんか? 遠くから見ると先代とどこが違うの? と感じ、近づくとすべて変わっていることに気付くという、正しいモデルチェンジだと思います。新たに8速ATを採用し、燃費が一気に12%向上したとか。12%というと、燃費28.8km/LのワゴンRでいえば32.3km/Lに向上したことになります。

ではコンチネンタルGTスピードの燃費はいかほどか? EUサイクル混合モードで14.5L/100kmですから6.9km/L。12%向上して7km/L未満......。しかし、パワースペックと車重を考えると、過去には考えられない数値です。最高速330km/h以上の部門では最も燃費がよいのではないでしょうか? その部門に何モデルのエントリーがあるかわかりませんが。
 
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ベントレーってツルンとしてて、要素が少ないからカッコいいですよね。ちなみに窓を開けて走る広報写真は珍しいです。

それにしても、車名に「スピード」を用いるというのは、よく考えるとすごいことです。「スピードスター」や「マツダスピード・アクセラ」のように他の言葉と組み合わせて匂わせるのではなく、「スピード」といい切るブランドを、ベントレー以外に知りません。

ベントレーは1920年代から「スピード」を名乗りました。そもそもクルマというのは個人の移動のスピードを格段に高める発明だったわけで、本来はスピードを誇ることはそのまま照れずに性能を誇ることだったはずです。だから20年代に高性能を誇ったベントレーが、車名に「スピード」を用いるのは至極当然だったのかもしれません。

「スピード=暴走」ととらえ、速度を低めて問題を解決しようとする日本の自動車交通に慣れきった我々には、刺激的に聞こえますが。

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......ため息。

実は、今年「スピード」と付くベントレーを見て感動したのは2回目です。先日の発表会で見た最新のGTスピードの前に、今夏、カリフォルニア州ダンヴィルという街にあるブラックホーク・ミュージアムで、ベントレー・スピード6(コルシカクーペ)というモデルを見ました。"引いて"撮れなかったので、この写真では画角いっぱいにクルマが広がっちゃって迫力が不足していますが、実際に見ると長い。全長6mはあるはずです。ルマンをはじめとするレースで大活躍した、ベントレー史上最も成功したモデルです。

大きなボディに小さなキャビン。のちにアメリカで流行したホットロッドの元ネタはこのあたりなんじゃないかとも思えます。6 1/2L(6597cc)ストレート6エンジン(なんと1気筒あたり4バルブ)を積んでいます。

スピード6にはいくつかのボディが存在しますが、このクルマはコルシカというコーチビルダーが製作したからコルシカクーペ。コルシカといってもフランスのコルシカ島とは関係なく、英ロンドン・キングクロスのコルシカ通りのコーチビルダーです。

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ベントレー・スピード6コルシカクーペ(1930)。名車が多数展示されるブラックホーク・ミュージアムにあっても、ひと際目立っていた。現在はコンクール・デレガンスの常連だとか。

ちなみに、2000年代のルマンはアウディのほぼ独壇場ですが、2003年にポツンとベントレー(エンジンを除くコンポーネンツはアウディ)が優勝しています。このときのマシンの名前はベントレー・スピード8。もちろん、このスピード6からきている車名です。

ベントレー・コンチネンタルGTスピードの価格は2490万円。あなたも一台いかがですか?

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写真というのは正直で、饒舌なもの。筆者が、オーナーがとるであろうポーズをとっても、全くオーナーに見えない......。

(Text by S.Shiomi)

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