130915-e-up-10.jpgフランクフルトショー(IAA)でワールドプレミアを果たした「e-up!」は、フォルクワーゲン初の量産型EV(電気自動車)として、近々ヨーロッパでの販売が始まる。さらに、2014年には日本にも導入が予定されている注目のモデルを、ショー会場周辺で試すことができた!
130915-e-up-12.jpgIAAの会場はバカでかい。端から端まで歩いたら10分はかかる。暑い日は汗だくだ。そこで、報道関係者向けに各メーカーがシャトルを提供しているのだが、今回目立っていたのがコレ! 「BMW i3」だ。そして、背後に見えるのがsmart fortwoのエレクトリックバージョン。本気のEVがそこかしこで見られた今年のIAAだった。
そんな中で注目を集めていたのがフォルクスワーゲン・グループのEVだ。フォルクスワーゲンはこのe-up!に加えて、2014年には「e-Golf」を発売。グループ全体では2014年までに14の電動化車両を投入し、2018年までにはこのマーケットのリーダーになりたいと考えている。

その最初の一歩になるのがe-up!というわけだが、フォルクスワーゲン グループではこのe-up!に加え、「アウディA3 e-tron プラグインハイブリッド」と「ポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッド」を用意し、ショー会場を起点としたテストドライブを開催した。

私も運良くe-up!のステアリングを握ることができた......といってもほんの数分だが、e-up!の魅力は十分伝わってきた。

130915-e-up-8.jpg
130915-VW-9.jpge-up!は純粋なEVで、出力60kW(82ps)のモーターで前輪を駆動。床下に収められた18.7kWhのリチウムイオンバッテリーにより、最大160kmの航続距離を誇る。
130915-e-up-4.jpgトランスミッションは1速固定で、0-100km/h加速:12.4秒、最高速:130km/hをマークする。ちなみに、75psのガソリンエンジン版では、0-100km/h加速は13.2秒。
0-100km/h加速の数字だけ見ると、「e-up!ってあまり速くないの?」と思うかもしれないが、実際に運転すると次元が違う。EVならではの力強い加速が楽しめるのだ。

130915-e-up-6.jpg
試乗は、たまたま大人4名乗車となったが、出足の力強さはガソリン車の比ではない。発進の瞬間から最大210Nm(21.4kgm)の強力なトルクを発揮するモーターは、4人乗りのe-up!を軽々と加速させるのだ。街中での加速も余裕たっぷり。アクセルペダルに載せた右足の動きに間髪入れず応えるレスポンスの鋭さもEVならではのもの。正直なところ、ガソリンエンジン仕様よりもファン・トゥ・ドライブだ。ASGの煩わしさもないし......。

もちろん、楽しんでばかりいては、そのぶん航続距離が短くなってしまう。そこで、e-up!には標準モードのほかに、「Eco」と「Eco+」のエコノミーモードが用意されている。たとえば、Ecoモードではモーターの出力が50kWに制限され、アクセルペダルのレスポンスが穏やかになる。さらにEco+モードでは40kWとなり、アクセルペダルのレスポンスは目に見えて鈍くなる。エアコンも制御され、Eco+ではエアコンは完全停止する。

航続距離を伸ばすために、運動エネルギーを回収して電気に変えるのが「回生ブレーキ」。アクセルペダルを離すと、モーターが発電機として機能し、エンジンブレーキがかかったように減速するのだ。

Dレンジではこの機能が働かないが、シフトレバーを左右に動かすと回生ブレーキの強さを3段階で選ぶことができる。そして、シフトレバーでBレンジを選ぶと、さらに強力な回生ブレーキが得られる。Bレンジなら、アクセルペダルのオン/オフで速度調整が可能となり、一般的な走行状況ならブレーキペダルを踏む必要がないほどだ。

130915-e-up-1.jpg130915-e-up-13.jpg
床下にバッテリーを積むため、クルマの挙動は落ち着いていて、乗り心地も良好。このあたりは、日本メーカーのEVに対するアドバンテージとなるだろう。エンジン車に比べると加速時のノイズが圧倒的に小さいのもうれしいところで、コンパクトなサイズからは想像できないほど、上質な感触が味わえる。

実際の利用場面でどの程度の航続距離となるかはわからないが、たとえカタログ値の半分としても都市内の移動なら十分な数字ではないだろうか。

130915-e-up-9.jpg
ということで、都市内の移動手段として実に魅力的な仕上がりを見せるe-up!。日本での販売価格は未定だが、こんなEVなら私も使ってみたい。フォルクスワーゲンらしいプライスで、ぜひEVの"民主化"を図ってほしいものだ。

(Text & photos by S.Ubukata)

This article is a sponsored article by
''.