フォルクスワーゲンは、プレミアムSUVの「トゥアレグ」をフルモデルチェンジした。デザインを一新したことに加えて、208kgの軽量化や20%もの燃費向上など、見どころ満載の内容だ。
2002年に登場して以来、約7年のあいだに50万台のセールスを記録したフォルクスワーゲンのプレミアムSUVがトゥアレグだ。共同開発のポルシェ・カイエンとともに、プレミアムSUVブームを巻き起こしたのは記憶に新しいが、その人気モデルが2010年2月にフルモデルチェンジを果たし、2代目へと進化した。
シロッコ、ゴルフ、ポロと同じイメージのフロントマスクを手に入れた新型トゥアレグ。これまでにも増して堂々としたエクステリアデザインが、新型の存在感をさらに高めている。ボディサイズは全長4.80×全幅1.93×全高1.71m、ホイールベース2.90mと、旧型とほぼ同じレベル。にもかかわらず、車両重量は200kg以上も軽量となり、たとえばベースグレードどおしを比較すると208kgものダイエットに成功したという。
上質さを増したインテリアは、ラグジュアリーサルーン並みの居心地の良さを実現する。4cm伸びたホイールベースのおかげで、後席のレッグルームはさらに広くなった。
新型トゥアレグの見どころはたくさんある。まずは、ヨーロッパメーカーのSUVとしてはこのクラス初のフルハイブリッドモデルを用意することだ。スーパーチャージャー付V6 TSIエンジン(333ps)と8速オートマチックに、モーター(47ps)を組み合わせたこのシステムは、最高出力380ps、最大トルク580Nm(59.2kgm)の性能。V8エンジンを凌ぐパフォーマンスを誇りながら、100km走行あたりの燃料消費量は8.2Lと、同クラスのSUVに比べて17〜25%程度の低燃費を実現している。
このハイブリッドシステムでは、50km/h以下ならモーターだけで走ることも可能で、当然、その場合は走行中の排ガスはゼロ。もちろん、アイドリングストップ機能や回生ブレーキシステムも備わる。搭載するバッテリーはニッケル水素タイプだ。
ガソリンハイブリッド以外にも、3.6L V6 FSI(280ps)、3L V6 TDI(240ps)、4.2L V8 TDI(340ps)が用意される。トランスミッションは8段オートマチックが組み合わされる。
駆動方式はすべてフルタイム4WDとなるが、4WDは目的により2種類のメカニズムが用意される。標準的なタイプは、トルセンLSDをセンターデフとして用いる「4MOTION」で、31度の登坂能力を持つ。一方、V6 TDIでは、悪路走破性を高めた「4XMOTION」がオプションとして選択可能。こちらは、ロック可能なセンターデフ/リアデフと、ローレンジギアなどにより、登坂能力を45度まで高めている。
安全性確保のための新装備も充実している。4つのカメラにより車両周囲の状況が把握できる「エリアビュー」機能をフォルクスワーゲンとしては初めて搭載。また、クルーズコントロールに、レーダーを利用して前車との距離を維持する機能を追加するアダプティブクルーズコントロールに、街中の停車・発進を自動化するストップ&ゴー機能を搭載した。車線逸脱を防ぐレーンアシストや、並走車をレーダーで検知し、車線変更にともなう事故を未然に防ぐサイドアシストも用意される。なお、パーキングブレーキは電気式に改められた。
最新の技術により、より低燃費で、より安全になった新型トゥアレグ。ヨーロッパではこの4月から販売が予定されている。
(Text by S.Ubukata)