ゴルフGTIオーナーにとってとても気になる存在の「ゴルフR」。いったいゴルフRはどれだけ速いのか、太田哲也さんが袖ヶ浦フォレスト・レースウェイでチェックすることに!
追記
データロガーのグラフを追加しました!
ウブカタ(以下ウブ):あれは去年6月の"スパタイGP"のときでしたよね、太田さんがゴルフGTIとRでタイムアタックしたのは。
太田:オレのGTIとゴルフR、どちらが速いのか、白黒つけたくて。スパタイGPって、本来は1台ずつ1周だけのタイムアタックなんだけど、この日は雨が降ったり止んだりでコースコンディションが不安定だったので、30分間、全車がフリーにアタックできるようになったんだ。
ウブ:パワーのRか、軽さのGTIか、いざ勝負! 気のせいかもしれませんが、GTIのタイムアタックはムキになっていたように見えたんですが......。
太田:もちろん、GTIオーナーとしてはGTIを勝たせたいからね(笑) でも、結果はGTIが1分30秒で、Rが1分26秒......。
ウブ:4秒差ですか!
太田:たまたまGTIで走っているときは雨脚が強かったから、実際はそこまで差がないけど、それでも4秒は大差だよなぁ......ガッカリだよ。
ウブ:Rのタイムアタック、手加減すればよかったのに(笑)
太田:う〜ん......。でも、レーシングドライバーとしてフェアであるべきで、ズルはできないよね。ちなみに、オレが運転するRはスパタイGPでは賞典外扱いだけど、クラストップだったし(ST3000クラス)、上のクラスのアウディR8やフェラーリ430、ポルシェ911よりも速かったんだ。
ウブ:それは太田さんの腕のおかげでしょう。でも、Rってそんなに速いんですか!?
太田:腕じゃなくて、実際に速いんだって、Rは。もちろんドライコンディションならそうはいかないけど、ウェットではRの安定性と速さは尋常じゃないってことだよ。
ウブ:ゴルフR、恐るべし!
太田:でもさ、GTIもスバル・インプレッサSTIと同じくらいのタイムだから、速いことは速いんだよ。それだけに、Rの速さには唖然としたよ。
ウブ:ズバリ、ゴルフRが速い理由は?
太田:実はこの2台にはデータロガーを載せていたので、速さの違いを分析してみたんだ。
ウブ:おっ、それは面白そうですね!
太田:パワーで優るRのほうが最高速が高いのは予想どおりだけど、データを見てはっきりしたのは、コーナリングの立ち上がりでRの加速が圧倒的だったことなんだ。つまりRには、車両重量の重さを撥ねのけた、強い加速力があるんだよ。
赤:ゴルフGTI 青:ゴルフ (クリックで大きくなります)
ウブ:とくにウェットだと、フルタイム4WDのRが有利なんでしょうね。
太田:そこ! 単純な加速力に加えて、コーナーの早い位置からアクセルを強く踏み込める。FFのGTIはコーナーの立ち上がりでパワーオンするとトラクションが抜けたり、アンダーステアが出たりして、なかなか全開にできなかった。
ウブ:Rは早めに踏み込めたんですか?
太田:そうなんだよ。Rはターンインのとき後輪に駆動力を配分するので、素早く向きを変えられるし、その後のパワーオンでもFR車のようにパワードリフト気味に立ち上がれるのでアンダーステアが抑えられて、そのぶん早い位置からアクセルを大きく踏み込めたというわけ。
ウブ:全然、性格が違うんですね。R、楽しそう。
太田:さらにRは、ドライバーの自由度が高いんだ。ESCの制御が違う。
ウブ:もちろん太田さんなら、サーキットではオフですよね?
太田:そうしたいところだけど、Rはオフにできるのに、残念なことにGTIはオフにならないんだ。ESCの介入を抑えるESC SPORTが選べるだけ。オフにできるRは、ブレーキングドリフトさせて素早く向きを変えられるから、これもコーナー立ち上がりの鋭い加速に貢献したんだよ。
ウブ:運転スキルの高い人にとっては、Rのほうが自由に操れるってことですね。
太田:実際、データからもRはアンダーステアが小さくて、コーナーから直線的に立ち上がるのが見て取れる。これは、運転したフィーリングとも重なっているね。
ウブ:GTIのESC SPORTモードは、どんな感じですか?
太田:コーナリング中、頼んでもいないのに対角線上にブレーキをかけ続ける。そうなると、当然ブレーキの負担は大きいからフェード気味になってブレーキが甘くなる。次からはもっと高温に耐えられるスポーツパッドに替えることにするよ。
ウブ:マジで悔しそうですね。
太田:だって、4秒差だぜ。これがレーサーやジャーナリストの立場なら「ふ〜ん、そうか」だけど、オーナーとしてはそれじゃ済まないよ。
ウブ:あれだけ気に入ってるGTIですからね。普段、「クルマはタイムじゃないよね」と太田さんは言ってますけど、やっぱり、太田さんの根っこはレーサーなんですね。
太田:そういうことはないと思うけど、どうしたものかなぁ......。クルマ、もう少し手を入れようかなぁ......。
第8話に続く
(Text by T.Ota & S.Ubukata)
追記
データロガーのグラフを追加しました!
ウブカタ(以下ウブ):あれは去年6月の"スパタイGP"のときでしたよね、太田さんがゴルフGTIとRでタイムアタックしたのは。
太田:オレのGTIとゴルフR、どちらが速いのか、白黒つけたくて。スパタイGPって、本来は1台ずつ1周だけのタイムアタックなんだけど、この日は雨が降ったり止んだりでコースコンディションが不安定だったので、30分間、全車がフリーにアタックできるようになったんだ。
ウブ:パワーのRか、軽さのGTIか、いざ勝負! 気のせいかもしれませんが、GTIのタイムアタックはムキになっていたように見えたんですが......。
太田:もちろん、GTIオーナーとしてはGTIを勝たせたいからね(笑) でも、結果はGTIが1分30秒で、Rが1分26秒......。
ウブ:4秒差ですか!
太田:たまたまGTIで走っているときは雨脚が強かったから、実際はそこまで差がないけど、それでも4秒は大差だよなぁ......ガッカリだよ。
ウブ:Rのタイムアタック、手加減すればよかったのに(笑)
太田:う〜ん......。でも、レーシングドライバーとしてフェアであるべきで、ズルはできないよね。ちなみに、オレが運転するRはスパタイGPでは賞典外扱いだけど、クラストップだったし(ST3000クラス)、上のクラスのアウディR8やフェラーリ430、ポルシェ911よりも速かったんだ。
ウブ:それは太田さんの腕のおかげでしょう。でも、Rってそんなに速いんですか!?
太田:腕じゃなくて、実際に速いんだって、Rは。もちろんドライコンディションならそうはいかないけど、ウェットではRの安定性と速さは尋常じゃないってことだよ。
ウブ:ゴルフR、恐るべし!
太田:でもさ、GTIもスバル・インプレッサSTIと同じくらいのタイムだから、速いことは速いんだよ。それだけに、Rの速さには唖然としたよ。
ウブ:ズバリ、ゴルフRが速い理由は?
太田:実はこの2台にはデータロガーを載せていたので、速さの違いを分析してみたんだ。
ウブ:おっ、それは面白そうですね!
太田:パワーで優るRのほうが最高速が高いのは予想どおりだけど、データを見てはっきりしたのは、コーナリングの立ち上がりでRの加速が圧倒的だったことなんだ。つまりRには、車両重量の重さを撥ねのけた、強い加速力があるんだよ。
赤:ゴルフGTI 青:ゴルフ (クリックで大きくなります)
ウブ:とくにウェットだと、フルタイム4WDのRが有利なんでしょうね。
太田:そこ! 単純な加速力に加えて、コーナーの早い位置からアクセルを強く踏み込める。FFのGTIはコーナーの立ち上がりでパワーオンするとトラクションが抜けたり、アンダーステアが出たりして、なかなか全開にできなかった。
ウブ:Rは早めに踏み込めたんですか?
太田:そうなんだよ。Rはターンインのとき後輪に駆動力を配分するので、素早く向きを変えられるし、その後のパワーオンでもFR車のようにパワードリフト気味に立ち上がれるのでアンダーステアが抑えられて、そのぶん早い位置からアクセルを大きく踏み込めたというわけ。
ウブ:全然、性格が違うんですね。R、楽しそう。
太田:さらにRは、ドライバーの自由度が高いんだ。ESCの制御が違う。
ウブ:もちろん太田さんなら、サーキットではオフですよね?
太田:そうしたいところだけど、Rはオフにできるのに、残念なことにGTIはオフにならないんだ。ESCの介入を抑えるESC SPORTが選べるだけ。オフにできるRは、ブレーキングドリフトさせて素早く向きを変えられるから、これもコーナー立ち上がりの鋭い加速に貢献したんだよ。
ウブ:運転スキルの高い人にとっては、Rのほうが自由に操れるってことですね。
太田:実際、データからもRはアンダーステアが小さくて、コーナーから直線的に立ち上がるのが見て取れる。これは、運転したフィーリングとも重なっているね。
ウブ:GTIのESC SPORTモードは、どんな感じですか?
太田:コーナリング中、頼んでもいないのに対角線上にブレーキをかけ続ける。そうなると、当然ブレーキの負担は大きいからフェード気味になってブレーキが甘くなる。次からはもっと高温に耐えられるスポーツパッドに替えることにするよ。
ウブ:マジで悔しそうですね。
太田:だって、4秒差だぜ。これがレーサーやジャーナリストの立場なら「ふ〜ん、そうか」だけど、オーナーとしてはそれじゃ済まないよ。
ウブ:あれだけ気に入ってるGTIですからね。普段、「クルマはタイムじゃないよね」と太田さんは言ってますけど、やっぱり、太田さんの根っこはレーサーなんですね。
太田:そういうことはないと思うけど、どうしたものかなぁ......。クルマ、もう少し手を入れようかなぁ......。
第8話に続く
(Text by T.Ota & S.Ubukata)