ヤマザキのブランドは、私の中でかなり絶対的な信頼感がある。そう、言わずと知れたヤマザキパンのヤマザキである。そもそも私はパンが大好きというわけではない。嫌いではないが、ご飯と比べてパンに特別な感慨はない。なので、世の中からパンというものが無くなってしまっても、泣いて悲しんだりはしない。パンがなければご飯を食べれば問題ないのである。そしてヤマザキに感心するのは、この信頼感がおにぎりにも一貫していることである。おにぎりを買って失敗する(不味くて食えない)確率は、菓子パンや惣菜パンよりは一般的に低い。それでも、美味いと言えないおにぎりは多い。ヤマザキのおにぎりは「大丈夫か?」と疑うほど奇をてらったものであっても、確実に美味しい。「五穀祭」とか「ごぼうマヨ」とか、ヤバそうなのをチョイスしても絶対に裏切られないのである。
行きつけのストアでは、2つのブランド(メーカー)のおにぎりを扱っている。ひとつがヤマザキで、もうひとつは木村屋だ。木村屋は食えるのもあるが、不味いものある。ヤマザキは確実に美味しい。そしてこの差が最も明確になるのは、赤飯のおにぎりである。ヤマザキが売り切れで、木村屋の赤飯のおにぎりを買ったことがある。いつものつもりで一口頬張って、その違いに愕然とした。そしてそれまで何の気なしに食べていたヤマザキの赤飯のおにぎりに、偉大さを感じた。ヤマザキの赤飯のおにぎりは、まず米が美味しい。そして小豆が美味しい。塩加減は程良く、しかも天然塩の味わいがある。そして最後に黒胡麻のアクセントが絶妙である。その赤飯のおにぎりを、今日もお昼に食べていた。インターネットを見ながら。ついさっきのことである。っと、あろうことか黒胡麻が一粒、キーボードの上に落ちた、「K」と「L」間くらいのところ。拾おうとすると、何とキーとキーの隙間に入ってしまった。
キーを押すと、胡麻が挟まって明らかにタッチが変だ。このまま捨て置くわけにいかなくなった。ノートPCごと傾けたりしたが、出てこない。正直、冷や汗が出た。・・・最後は「←」キーを取り外して胡麻を除去した。絶対の信頼感、ノーリスクと思っていたヤマザキのおにぎりにも、思わぬリスクがあることに気づかされた。何事も過信は禁物。油断大敵ということか。木村屋のだったら、あのベタベタ感のある不味い赤飯のお陰で胡麻は落ちなかったに違いない。
かといって、今更木村屋に鞍替えする気にはならないのである。・・・あぁ、ヤマザキ。



