その後、ラブラドールリトリバーはキャラクターもののオリジナルに力を入れ、セレクトショップというよりは、オリジナルブランドショップへ変化していったように思える。思えるというのは、いつの頃からか、全く興味がなくなったからだ。その理由は定かではないが、なんだか興味がなくなってしまった。
ある日突然興味がなくなるという現象は、実は多々あることで、長年読んでいた雑誌が不要になり、突然買わなくなったりすることもある。それは心境の変化なのか、飽きたのかは定かではないが、必要でなくなる。またはその雑誌が発信する情報が不要になる、あるいは、その雑誌を買うことで何か保証のようなものを得ていたのが不要になったというのが心境的に近いのかも知れない。それと同じように僕にとってラブラドールリトリバーは必要なくなってしまった。
話をもどそう。その頃の自分がなりたかった職業が今回の「バイヤー」である。バイヤーというのは、何ともカッコいい響きで、若い僕にはあこがれだった。「あこがれのバイヤー」というタイトルは、あこがれたバイヤーの方がいるのではなく、バイヤーという職業にあこがれていたことを意味するのだが、なんだか分かり難かったかなと、ここまで書いて思ってしまった。
あの頃は、小さいセレクトショップや、並行輸入品が輝きを放っていた。それをビームスやユナイテッドアローズのような大資本が、どんどん自らの領域を広げて行き、珍しかった商品を店頭に並べ、それが普通になった。もはや宝探しではなくなったのだ。それは、多くのひとにとって、とても良いことだし、便利だということだと思う。しかし、楽しみである宝探しをする場所が少なくなったのは事実だ。だって、どこでも同じモノが売っているのだから。
それから十数年経って、まさか自分がバイヤーをやっているとは夢にも思わなかった。「えっ?バイヤーやってるの」、と思った方もいらっしゃるかも知れないが、実はmaniacsの商品のセレクトはほとんど僕がやっていて、どの商品を店に並べるかどうかを決めている。客としてセレクトショップに行くと、バイヤーという業務はとても楽しそうに見えたが、実はとんでもなくしんどいということが、自分でやってみて初めて分かった。
自動車のパーツやアクセサリーは寿命が長い。少なくとも1年以上は販売することが出来る。しかしアパレルは数ヶ月内に売り切らなければ在庫の山となってしまう。真剣度合いは比較出来ないと想像する。自動車のパーツでさえ、かなり神経がすり減るのに、これがアパレルだったら本当にプレッシャーなんだろうなと思うと、アパレルのバイヤーという職業を選択しなくてよかったな、と心底思った(苦笑)。
今でも好きで、バーニーズやビームス、イセタンメンズなどの大型店から、小さな個人経営の店まで見て歩く。そこには、同じような商品が大量に展示してある中にも、バイヤーの意志を感じる商品が見つかることがある。同じマルタンマルジェラ(MartinMargiela)の商品をセレクトしていても、ユナイテッドアローズメンズ館と、エディション(Edition)ではベクトルが異なる。それがその店のアイデンティティであり、バイヤーの意志を感じる瞬間だ。
それはアパレルだけに限らず、あらゆる店舗で、必ずバイヤーがいて商品を選別している。売れる商品だけを並べるのは難しいが、売りながらもその店のアイデンティティを商品で業現するのはもっと難しい。回転の速い商材をうまく操っているバイヤーには本当に頭が下がる。思わずうなってしまう。
1990年頃のラブラドールリトリバーは本当にかっこよかった。今となっては珍しいものは何一つないのかも知れないが、全体の世界観、見たことのない珍しいラルフローレンの並行モノなどと一緒に古着のきれいめのデニムが並べてあったり、絶妙だった。バイヤーが現地で珍しいものを見つけて買い付けてくるような現場がイメージ出来る店舗だった。
そういえば、ラブラドールリトリバーは今どうなっているのかなと調べたら、2009年3月18日(水)午後6時をもって休業となったそうだ。サイトには創業者である中曽根さんの挨拶が書いてあり、なんだかいろんなことがあった様子だ。バイヤーも、商売も、続けていくのは大変である。そんな事を考えていたら自分の会社が心配になってきた。
ラブラドールリトリバーみたいに20年続くかな・・・
惜しまれながら休業してみたいものだ(笑)。
ある日突然興味がなくなるという現象は、実は多々あることで、長年読んでいた雑誌が不要になり、突然買わなくなったりすることもある。それは心境の変化なのか、飽きたのかは定かではないが、必要でなくなる。またはその雑誌が発信する情報が不要になる、あるいは、その雑誌を買うことで何か保証のようなものを得ていたのが不要になったというのが心境的に近いのかも知れない。それと同じように僕にとってラブラドールリトリバーは必要なくなってしまった。
話をもどそう。その頃の自分がなりたかった職業が今回の「バイヤー」である。バイヤーというのは、何ともカッコいい響きで、若い僕にはあこがれだった。「あこがれのバイヤー」というタイトルは、あこがれたバイヤーの方がいるのではなく、バイヤーという職業にあこがれていたことを意味するのだが、なんだか分かり難かったかなと、ここまで書いて思ってしまった。
あの頃は、小さいセレクトショップや、並行輸入品が輝きを放っていた。それをビームスやユナイテッドアローズのような大資本が、どんどん自らの領域を広げて行き、珍しかった商品を店頭に並べ、それが普通になった。もはや宝探しではなくなったのだ。それは、多くのひとにとって、とても良いことだし、便利だということだと思う。しかし、楽しみである宝探しをする場所が少なくなったのは事実だ。だって、どこでも同じモノが売っているのだから。
それから十数年経って、まさか自分がバイヤーをやっているとは夢にも思わなかった。「えっ?バイヤーやってるの」、と思った方もいらっしゃるかも知れないが、実はmaniacsの商品のセレクトはほとんど僕がやっていて、どの商品を店に並べるかどうかを決めている。客としてセレクトショップに行くと、バイヤーという業務はとても楽しそうに見えたが、実はとんでもなくしんどいということが、自分でやってみて初めて分かった。
自動車のパーツやアクセサリーは寿命が長い。少なくとも1年以上は販売することが出来る。しかしアパレルは数ヶ月内に売り切らなければ在庫の山となってしまう。真剣度合いは比較出来ないと想像する。自動車のパーツでさえ、かなり神経がすり減るのに、これがアパレルだったら本当にプレッシャーなんだろうなと思うと、アパレルのバイヤーという職業を選択しなくてよかったな、と心底思った(苦笑)。
今でも好きで、バーニーズやビームス、イセタンメンズなどの大型店から、小さな個人経営の店まで見て歩く。そこには、同じような商品が大量に展示してある中にも、バイヤーの意志を感じる商品が見つかることがある。同じマルタンマルジェラ(MartinMargiela)の商品をセレクトしていても、ユナイテッドアローズメンズ館と、エディション(Edition)ではベクトルが異なる。それがその店のアイデンティティであり、バイヤーの意志を感じる瞬間だ。
それはアパレルだけに限らず、あらゆる店舗で、必ずバイヤーがいて商品を選別している。売れる商品だけを並べるのは難しいが、売りながらもその店のアイデンティティを商品で業現するのはもっと難しい。回転の速い商材をうまく操っているバイヤーには本当に頭が下がる。思わずうなってしまう。
1990年頃のラブラドールリトリバーは本当にかっこよかった。今となっては珍しいものは何一つないのかも知れないが、全体の世界観、見たことのない珍しいラルフローレンの並行モノなどと一緒に古着のきれいめのデニムが並べてあったり、絶妙だった。バイヤーが現地で珍しいものを見つけて買い付けてくるような現場がイメージ出来る店舗だった。
そういえば、ラブラドールリトリバーは今どうなっているのかなと調べたら、2009年3月18日(水)午後6時をもって休業となったそうだ。サイトには創業者である中曽根さんの挨拶が書いてあり、なんだかいろんなことがあった様子だ。バイヤーも、商売も、続けていくのは大変である。そんな事を考えていたら自分の会社が心配になってきた。
ラブラドールリトリバーみたいに20年続くかな・・・
惜しまれながら休業してみたいものだ(笑)。