9年のブランクを経てついに復活したゴルフカブリオレを南仏で試乗。待望のニューモデルは期待どおりの仕上がりだったか? 生方 聡がレポートする。
5月なかばのコートダジュールは、初夏を通り越して、真夏の陽射しが降り注いでいた。日本人の僕には暑いくらいだが、太陽を愛するヨーロッパの人々にとっては、絶好のオープンカー日和である。
ゴルフカブリオレは、ビートルカブリオレに代わるフォルクスワーゲンのオープンモデルで、1979年に登場した初代はゴルフ1がベース。そして、1993年にはゴルフ3をベースとした2代目に生まれ変わっている。
1998年には3代目にバトンタッチ。一見、ゴルフ4がベースのように思えるが、実は中身はゴルフ3のままである。
2003年にゴルフ5が登場すると、ゴルフ4ルックのゴルフカブリオレはそのモデルライフにピリオドを打った。当然、多くのファンは、ゴルフ5ベースの4代目が登場するものと信じていた。ところが、当時はクーペカブリオレブームの真っ只中で、フォルクスワーゲンもクーペカブリオレの開発を進めていたのだ。
そして生まれたのがイオスで、ゴルフカブリオレとは一線を画するスタイルと、ゴルフよりもむしろパサートに近いプレミアムな雰囲気を特徴とした。
イオスの登場によりゴルフカブリオレの時代は終わったかのように見えたが、その復活を望む声が止むことはなかった。よりカジュアルで安いカブリオレがほしい......。これに応えるべく登場したのが、ゴルフ6をベースとした4代目ゴルフカブリオレというわけである。
また、後席の後ろに設置されるロールオーバープロテクションシステムのユニットが小型化できたことから、後席は分割可倒式になった。
ちなみに、ソフトトップをコンパクトにするには、できるだけAピラーを後方まで延ばせばいいが、やりすぎるとオープン時の開放感が損なわれてしまう。開放感を確保しながらソフトトップのコンパクト化を実現した結果が、このAピラーの形状というわけである。
(Photo by Volkswagen Group Japan)
5月なかばのコートダジュールは、初夏を通り越して、真夏の陽射しが降り注いでいた。日本人の僕には暑いくらいだが、太陽を愛するヨーロッパの人々にとっては、絶好のオープンカー日和である。
そんな素晴らしいコンディションのもと、2011年のジュネーブショーでデビューしたゴルフカブリオレに試乗するチャンスを得た。
ゴルフカブリオレは、ビートルカブリオレに代わるフォルクスワーゲンのオープンモデルで、1979年に登場した初代はゴルフ1がベース。そして、1993年にはゴルフ3をベースとした2代目に生まれ変わっている。
1998年には3代目にバトンタッチ。一見、ゴルフ4がベースのように思えるが、実は中身はゴルフ3のままである。
2003年にゴルフ5が登場すると、ゴルフ4ルックのゴルフカブリオレはそのモデルライフにピリオドを打った。当然、多くのファンは、ゴルフ5ベースの4代目が登場するものと信じていた。ところが、当時はクーペカブリオレブームの真っ只中で、フォルクスワーゲンもクーペカブリオレの開発を進めていたのだ。
そして生まれたのがイオスで、ゴルフカブリオレとは一線を画するスタイルと、ゴルフよりもむしろパサートに近いプレミアムな雰囲気を特徴とした。
イオスの登場によりゴルフカブリオレの時代は終わったかのように見えたが、その復活を望む声が止むことはなかった。よりカジュアルで安いカブリオレがほしい......。これに応えるべく登場したのが、ゴルフ6をベースとした4代目ゴルフカブリオレというわけである。
4代目もゴルフカブリオレの伝統に基づき、ソフトトップのスタイルを受け継いでいる。しかし、これまでとは明らかに違う雰囲気に包まれているのは見てのとおりだ。
それもそのはず、歴代ゴルフカブリオレの特徴といえる固定式のロールバーが廃止され、実にすっきりとしたデザインにまとめ上げられたのだ。Aピラーを寝かせることでスポーティな印象も強まっている。
固定式ロールバーを廃止するかわりに、新型ゴルフカブリオレでは、万一の際に0.01秒未満で展開するロールオーバープロテクションシステムを採用。さらに強固なAピラーやフロントエアバッグ、頭部保護機能付きのサイドエアバッグ、運転席ニーエアバッグなどにより、高い安全性を確保したという。
いまどきのカブリオレだけにソフトトップは電動油圧式のオートマチック。面倒なソフトトップのロック/解除も不要で、ドライバーはセンターコンソールのスイッチを操作するだけの手軽さだ。しかも速い! 開ける場合が9秒、閉じる場合でも11秒。これなら信号待ちでも十分お釣りがくる。また、30km/h以下なら走行中でも操作可能だ。
さらに、ソフトトップのカバーが不要になったのも便利な点だ。ソフトトップを畳んだときに、一番前の部分がカバーの役目を果たすのだ。
実は新型ゴルフカブリオレのソフトトップは、下の写真のようなフレームで構成されていて、一番前には"フロントルーフボウ"という幅広いフレームが渡されている。これが収納時に蓋がわりになるとともに、ソフトトップを閉じたときにはハードトップに迫る強度を生みだす。高速でソフトトップが膨らむ"バルーン現象"も解消できる。
ソフトトップが後席の背後にコンパクトに収まるので、ルーフを開けてもラゲッジスペースが侵食されることはない。容量は250L。開口部がさほど広くないので大きな荷物の出し入れは面倒だが、幅100×奥行60〜80×高さ35〜50cmのスペースはカブリオレとしてはかなり広い。
固定式ロールバーを廃止するかわりに、新型ゴルフカブリオレでは、万一の際に0.01秒未満で展開するロールオーバープロテクションシステムを採用。さらに強固なAピラーやフロントエアバッグ、頭部保護機能付きのサイドエアバッグ、運転席ニーエアバッグなどにより、高い安全性を確保したという。
いまどきのカブリオレだけにソフトトップは電動油圧式のオートマチック。面倒なソフトトップのロック/解除も不要で、ドライバーはセンターコンソールのスイッチを操作するだけの手軽さだ。しかも速い! 開ける場合が9秒、閉じる場合でも11秒。これなら信号待ちでも十分お釣りがくる。また、30km/h以下なら走行中でも操作可能だ。
さらに、ソフトトップのカバーが不要になったのも便利な点だ。ソフトトップを畳んだときに、一番前の部分がカバーの役目を果たすのだ。
実は新型ゴルフカブリオレのソフトトップは、下の写真のようなフレームで構成されていて、一番前には"フロントルーフボウ"という幅広いフレームが渡されている。これが収納時に蓋がわりになるとともに、ソフトトップを閉じたときにはハードトップに迫る強度を生みだす。高速でソフトトップが膨らむ"バルーン現象"も解消できる。
ソフトトップが後席の背後にコンパクトに収まるので、ルーフを開けてもラゲッジスペースが侵食されることはない。容量は250L。開口部がさほど広くないので大きな荷物の出し入れは面倒だが、幅100×奥行60〜80×高さ35〜50cmのスペースはカブリオレとしてはかなり広い。
また、後席の後ろに設置されるロールオーバープロテクションシステムのユニットが小型化できたことから、後席は分割可倒式になった。
ちなみに、ソフトトップをコンパクトにするには、できるだけAピラーを後方まで延ばせばいいが、やりすぎるとオープン時の開放感が損なわれてしまう。開放感を確保しながらソフトトップのコンパクト化を実現した結果が、このAピラーの形状というわけである。
脱線ついでに記しておくと、新型ゴルフカブリオレの外板のうち、ハッチバックと共通なのはボンネットとフロントフェンダーのみ。Aピラーはシロッコ用をモディファイしたといい、またフロアはイオス用、リアセクションはA3カブリオレをベースとしているそうだ。
そんな新型ゴルフカブリオレを、フランスのニースからサントロペまで走らせた。そのインプレッションは後編で!
(Text by S.Ubukata)