120813-PoloBLGT-09.jpg新開発1.4 TSIエンジンを搭載するポロの新グレード「ポロ ブルーGT」を、モータージャーナリストの河村康彦さんがアムステルダムで試乗。河村さんが"驚愕の仕上がり"と評するポロ ブルーGTの実力は?



TSIエンジンが第2世代に突入----そんなことを意識させられる内容満載なのが、新エンジン・シリーズ"EA211"型だ。

TSIエンジンの新たなストーリーは、この秋ヨーロッパ市場に投入され、2013年には日本上陸も予想されるポロの新グレード「ブルーGT」からスタートを切る。

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120813-PoloBLGT-12.jpg82mmというボアピッチ(シリンダー間隔)は、従来のEA111シリーズのそれと共通。しかしシリンダーブロックがスチールからアルミニウム製へと変更され、エキゾースト・マニホールドをシリンダーヘッドと一体化。
さらに、ターボチャージャーとキャタライザーを一体化したエキゾースト・モジュールの採用や、インタークーラーのインダクション・モジュールとの一体化。そして、バルブ駆動系をチェーン方式からタイミングベルト方式へと変更するなど、あらゆる部分に渡っての設計が一新されているのが、まずはこの新エンジン・シリーズの大きな特徴となる。

そうした最新の設計により、ポロ ブルーGT用エンジンの重量は、従来の鋳鉄ブロックを採用の1.4Lシングルターボ付きユニットに対して22kg減の114kg。ちなみに、耐久性が心配される前出タイミングベルトについては、「寿命はクルマそのものの寿命に等しい」というのが開発担当エンジニア氏による回答だ。

さらに、そんなEA211型エンジンでの見逃せないトピックは、フォルクスワーゲン車用エンジンとしては史上で初めて、気筒休止システムを採用した点にもある。

 「今後のTSIエンジンには標準化の予定」と、そんなコメントが聞かれるこのメカニズムは、運転状況に応じて2番・3番シリンダーの稼動を停止させる事で、燃費性能の大幅向上を狙ったもの。

ちなみに、ポロ ブルーGTではヨーロッパ最新の"NEDC"測定モード中での約70%の領域が2気筒運転でカバーされ、その結果100km走行あたりの使用燃料を0.4L削減可能とする。1番・4番シリンダーの"仕事量"を増すことでスロットルバルブをより大きく開き、結果としてポンピングロスが減少することがそうした成果を生む大きな要因と考えられる。

2番・3番気筒の稼動休止は、その両シリンダーの吸排気バルブを「閉じ状態」のままに保持することで行われる。そのためのメカニズムは、アウディ車の一部 のエンジンにすでに用いられている可変バルブリフト&タイミング機構、「アウディ・バルブリフト・システム」が応用されている。

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吸排気双方のカムシャフト上に設けられたアクチュエーター(左上の写真の中央に見える上部が青いパーツ)が内蔵のピンを押し出すと、そのピンが螺旋状の溝を辿ることで二重構造の外側カムシャフトを軸方向にスライド。この動きによって、通常カムと気筒休止用の"ゼロリフト・カム"が切り替わる......というのが基本的なその行程。クランクシャフト半回転の内に完了されるその動作は、時間にすればわずかに13/1000秒から36/1000秒に過ぎないという。

というわけで、そんな新しい心臓を搭載したポロ ブルーGTを、オランダの首都アムステルダム近郊で開催された国際試乗会でテストドライブした。今回乗ったのは、6MTと7速DSGが用意をされるうちの後者のモデル。日本導入の折にも当然こちらの仕様が選ばれる可能性が高い。

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走り出しはスムーズかつ軽快で、こうしたシーンではDSGとのマッチングの良さも印象的。アクセルペダルを踏み加えると例によってポンポンポンと素早く高いギアへとアップシフトが繰り返されることもあり、静粛性の高さも期待以上の印象だ。

120813-PoloBLGT-02.jpg「エンジン回転数が1400〜4000rpm、発生トルクが25〜100Nmのあいだで2気筒モードとなる」と予備知識は持っていても、それを知る術はメーターパネル内のディスプレイに現れる"2 cylinder mode"の文字を目にする以外にないのが現実。
実は、エンジンノイズの質がわずかに変化をするので慣れれば識別が完全に不可能というわけではないのだが、それも「聴覚を集中させていれば......」という程度で、オーディオを掛けていたりすればまず気づくことは不可能というレベルである。

それを除けば、アクセルレスポンスにも変化は感じられず、4気筒への復帰時も含めショックの類も一切ない。スロットルバルブやイグニッションなど、さまざまな制御によってそうした自然なフィーリングを実現させているというが、こうした違和感のなさはまさに「見事!」のひと言だ。

(Text by Y.Kawamuwa)

後編へ続く

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