2025年9月8日、Porsche AGはミュンヘンで開催されるモーターショー「IAAモビリティ2025」において、911シリーズの頂点に位置づけられる新型「911 Turbo S」および「911 Turbo S Cabriolet」を世界初公開する。

最高出力523kW(711PS)、最大トルク800Nmを発揮する新開発のマイルドハイブリッドシステム「T-ハイブリッド」ドライブトレインを搭載し、0-100km/h加速はわずか2.5秒に短縮。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでは先代比14秒短縮となる7分3秒92を記録するなど、市販モデルとして過去最強のパフォーマンスを実現した。
日本では同日より予約受注が開始され、価格はCoupeが3635万円、Cabrioletが3941万円となっている。
T-ハイブリッドによる革新的なパワートレイン
新型911 Turbo Sの心臓部は、Porscheが独自に開発を進めてきたT-ハイブリッドシステムである。400Vシステムをベースに、3.6L水平対向6気筒ターボエンジンに2基の電動エグゾーストガスターボチャージャー(eターボ)を組み合わせ、さらに電気モーターを内蔵した8速PDKを介して4輪を駆動する。従来型の911 Carrera GTSに搭載されたT-ハイブリッドではeターボは1基のみだったが、911 Turbo Sでは2基とし、応答性と出力を大幅に向上させている。システム全体の最高出力は先代比で61PS増の711PSに達し、広い回転域で最大トルクを発生するフラットな特性も特徴だ。
バッテリーは容量1.9kWhのコンパクトな高電圧ユニットを採用。車両重量はマイルドハイブリッド化により85kg増加したものの、パフォーマンス面でその影響は完全に相殺されている。
911史上最高のパフォーマンス
0-100km/h加速は先代から0.2秒短縮されて2.5秒に到達。0-200km/h加速も0.5秒短縮の8.4秒を記録し、最高速度は322km/hに達する。開発テストの最終段階では、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで公式タイム7分3秒92を計測。これは先代を14秒も上回るタイムであり、ポルシェブランドアンバサダーのイェルク・・ベルクマイスターも「重量増加はまったく感じません。それどころか、このクルマははるかに俊敏で、グリップ力も向上し、サーキットのあらゆるセクションにおいて先代モデルよりも大幅に速くなっています」と評価している。

この性能を支えるのが、専用に最適化された足まわりとブレーキシステムだ。新世代タイヤは、優れたウェット性能を維持しながら、ドライ路面でのハンドリングを大幅に改善。リヤには先代より10mmワイドな325/30 ZR21サイズを採用。標準装備のポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)は、フロント420mm、リヤ410mmという歴代最大径を誇り、制動力と耐久性を大幅に高めている。
シャシーとエアロダイナミクスの進化
シャシーには電気油圧制御式ポルシェダイナミックシャシーコントロール(ehPDCC)を標準装備。これによりコーナリング時のロールを抑え、俊敏性と安定性を高い次元で両立させる。また、アクティブフロントディフューザーや可変フロントスポイラーリップ、可動式リヤウイングを組み合わせた最新のアクティブエアロダイナミクスを採用。走行状況に応じて冷却性能と空力効率を最適化し、Cd値を先代比で10%低減した。
さらに、3.6L水平対向エンジンには非対称タイミングを導入し、チタン製リヤサイレンサーを備えた専用スポーツエグゾーストシステムとあわせて、より力強いサウンドを実現している。
独自性を強調するデザインと装備
外観はターボモデル専用の「ターボナイト」カラーをアクセントとし、ポルシェクレストや「Turbo S」ロゴ、ホイールセンターロックに至るまで特別仕立てとした。ワイドなボディ、リヤサイドのエアインテーク、再設計されたリヤフェイシアの開口部が、シリーズ最上位にふさわしい存在感を放つ。



インテリアもターボナイトのアクセントを随所に配し、カーボン構造のトリムやマイクロファイバーヘッドライナーを採用。標準仕様は2シーターだが、無償オプションでリヤシートを装着可能。カブリオレは2+2のシート構成を標準とする。18wayアダプティブスポーツシートやHDマトリックスLEDヘッドライト、スポーツクロノパッケージなども標準装備とされ、装備面でも抜かりはない。


ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーによる多彩なカスタマイズプログラムも用意され、100色以上のボディカラーやカーボンパーツ、軽量ワイパーアームなど選択肢は幅広い。また、ポルシェデザインの「クロノグラフ911 Turbo S」も発表され、車両の仕様に合わせて細部までパーソナライズ可能な“手首に着ける911”として提供される。
サーキットでの速さと日常での快適性を兼ね備えた“究極のオールラウンダー”として、新型911 Turbo Sはポルシェのフラッグシップスポーツカーにふさわしい存在感を示すことになるだろう。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。