AudiのプレミアムアッパーミッドサイズのEV「Audi A6 e-tron」から、人気のステーションワゴンスタイルの「Audi A6 Avant e-tron performance」を試乗。その仕上がりは?

新しい時代の電動Avant
今回試乗したのは、ステーションワゴン版の「Audi A6 Avant e-tron performance」。AudiとPorscheが共同開発したEV専用プラットフォーム“PPE(Premium Platform Electric)”を採用する最新世代のプレミアムEVだ。
まず印象的なのは、その伸びやかなプロポーションである。低く構えたボディに、フラットで流麗なルーフラインを組み合わせたシルエットは、従来のAvant以上に未来感を漂わせる。とくに後方へ向かって鋭く傾斜するDピラーや、Aピラーからルーフスポイラーへとつながるアルミ調トリムは、新世代Avantの個性を強く印象づける部分だ。


サイドビューでは、力強く張り出したquattroブリスターが存在感を放つ。また、フロア下のバッテリー位置を示唆するブラックインサートがボディ下部を引き締め、EVらしい低重心感も演出している。
インテリアは、従来のAudiユーザーでも違和感なく乗り換えられる親しみやすさを残しながら、一気にデジタル世代へ進化した印象だ。湾曲したMMIパノラマディスプレイは視認性が高く、ドライバー側へ緩やかに向けられているため操作もしやすい。物理スイッチは大幅に減らされているが、必要な機能へ素早くアクセスできるよう工夫されており、単なる“タッチ操作化”に終わっていない点にも好感が持てる。



ラゲッジスペースはAvant、Sportbackともに502Lを確保。さらにリヤシートを倒せばAvantは最大1422Lまで拡大できる。40:20:40分割可倒式リヤシートを採用しているため使い勝手も高い。加えて、フロントフード下には27L容量の“フランク(フロントトランク)”も備わり、小さなバッグや充電ケーブルなどを収納するのに便利である。

洗練された走り
走り始めてまず驚かされるのは、その滑らかさだ。Dレンジに入れてブレーキペダルを離すと、静かにクリープ走行を開始し、そのままアクセルを軽く踏み込むだけで、大柄なボディが信じられないほど自然に加速していく。最高出力270kWを発生するモーターは力強い一方で、アクセルレスポンスが過敏すぎないため、市街地でも扱いやすい。

一方、アクセルを深く踏み込めば、EVらしい鋭い加速を瞬時に引き出せる。とくにワイドなリヤタイヤが強大なトルクをしっかり受け止めてくれるため、不安感なく加速を楽しめるのが印象的だった。
回生ブレーキの制御もよく練り込まれている。Dレンジでは「自動回生」を選択すると、先行車との距離に応じて減速力を自動調整してくれるため、日常走行では非常に便利だ。一方で、自分好みの減速フィールを求める場合は、パドル操作によって回生の強さを3段階で調整可能。設定が保持される点も扱いやすい。
さらにBレンジでは、より強力な回生ブレーキが働き、いわゆるワンペダルドライブにも対応する。アクセル操作だけで停止までコントロールできるが、減速の立ち上がりは自然で唐突さがない。回生ブレーキと機械式ブレーキのつながりも滑らかで、EVにありがちな違和感をほとんど感じさせなかった。


そして、このクルマの印象をさらに良くしているのが快適な乗り心地だ。試乗車にはオプションのアダプティブエアサスペンションが装着されていたが、その仕上がりは非常に上質。継ぎ目や段差を巧みに吸収し、まるで路面の角を丸めてしまうような感覚だ。状況によっては若干のピッチングを感じる場面もあったが、個人的には少し引き締まるダイナミックモードのほうが、ボディコントロールとのバランスがよく感じられた。
ハンドリングは、従来のAudiとは少し違うキャラクターを持つ。後輪駆動らしい自然な身のこなしを見せつつも、高速域での直進安定性やコーナリング時の安心感には、しっかりAudiらしさが残されている。しなやかさと安定感を高次元で両立している点は、この新世代PPEモデルの大きな魅力といえるだろう。
急速充電の速さも武器に
Audi A6 Avant e-tron performanceの電費は、カタログ値(WLTCモード)が147Wh/km(6.8km/kWh)、市街地が132Wh/km(7.6km/kWh)、郊外が141Wh/km(7.1km/kWh)、高速が160Wh/km(6.3km/kWh)であるのに対して、実測値は、交通量の少ない一般道を走行したとき(平均速度47km/h)が7.8km/kWhをマークし、その好電費ぶりに驚かされた。高速道路をACCを使って100km/h巡航したときにも6.2km/kWhと良好な数値を示すとともに、120km/h区間のある高速道路を制限速度にあわせて走行した場合でも5.6km/kWhを記録。全高を抑え、空気抵抗の小さいボディ形状も、こうした低電費に貢献しているのだろう。
急速充電に関しては、バッテリー残量が30〜50%の状態で150kW急速充電器のポルシェターボチャージャーを2回利用したが、いずれも130kWオーバーを確認。24%から80%までの充電が27分(56kWh)、32%から70%までの充電が18分(38kWh)という早さで、充電性能の高さもこのクルマの見どころである。

このように実に完成度が高く、魅力的なEVに仕上げられているAudi A6 Avant e-tron performance。Audiならではの極上のドライビングを楽しみたい人にはぜひお勧めしたい1台である。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, Audi Japan)


