2026年3月31日、Audiは新型「Audi RS 5」に採用される新技術「quattro with Dynamic Torque Control」の詳細を公開した。量産車として初めてリヤアクスルに電気機械式トルクベクタリングを採用し、プラグインハイブリッドのパフォーマンスモデルとして新たなドライビングダイナミクスを実現するという。

2026年2月、AudiはRSモデルとしては初のPHEV(プラグインハイブリッド車)となる新型「Audi RS 5」を発表した。
この新型Audi RS 5に搭載される新技術が「quattro with Dynamic Torque Control」である。
このシステムは、左右後輪間のトルク配分を電気的に制御することで俊敏性と安定性、さらにトラクション性能を高めることを目的に開発された。新型Audi RS 5ではミリ秒単位でトルク配分を制御でき、約15ミリ秒というきわめて短い応答時間で車両挙動に介入する点が大きな特徴となる。
新型Audi RS 5には、ハイブリッドパワートレインに対応した新設計のリヤアクスルが採用されている。このアクスルには電気機械式トルクベクタリング機構が組み込まれ、水冷式の400V電気モーターがアクチュエーターとして機能する。このモーターは8kW、40Nmの出力を発生し、オーバードライブギヤと低ロック率のディファレンシャルと組み合わせることで左右輪間のトルク差を生成する構造となる。モーターが生み出したトルクはオーバードライブギヤを通じて増幅され、ディファレンシャルを介して左右のドライブシャフトへと分配される。これにより、コーナリング時のトルク配分を高速かつ精密に制御することが可能となった。

従来の機械式トルクベクタリングやクラッチ式トルクスプリッターと異なり、この電気機械式システムはアクセル操作に依存せず動作する。つまり、アクセルオフ時やブレーキング時でもトルク配分を変更できるため、コーナー進入時から立ち上がりまで一貫して車両姿勢を制御できる。これにより、駆動トルクがかかっていない状態でも車両挙動を安定化させることが可能となる。

Dynamic Torque Controlは左右ドライブシャフト間に最大2000Nmのトルク差を発生させることができる。制御は約15ミリ秒で行われ、コーナリング時の車両挙動に対して瞬時に介入する。例えばコーナー進入時にオーバーステア傾向が現れた場合にはイン側の後輪にトルクを与えて安定性を高める。一方でアンダーステア傾向となった場合にはアウト側の後輪へトルクを移動させることで旋回性を向上させる。このように左右輪間の駆動力を積極的に変化させることでヨーモーメントを直接制御し、限界域でも安定したハンドリングを実現する。

新型Audi RS 5では、これらの制御をHCP1(High-Performance Computing Platform)が統合管理する。HCP1はパワートレインとサスペンションを含む車両ダイナミクス制御の中枢として機能し、ステアリング入力や車両状態、路面状況などの情報を統合的に処理する。さらにドライバーの操作意図を予測し、コーナー進入時のステアリング操作とオーバーステア修正時のカウンターステアを区別して最適なトルク配分を決定する。これにより、より自然で直感的なハンドリング特性が実現される。
電気機械式トルクベクタリングは単独で動作するのではなく、電子制御ディファレンシャルロックやブレーキトルクベクタリング、さらにツインバルブ式アダプティブダンパーと連携して機能する。リヤアクスルでトルク配分を行いながら、フロントではブレーキ制御によりトラクションを補助し、サスペンション制御によって車両姿勢を安定化させる。これらのシステムを統合制御することで、高速直進からコーナー進入時に至るまで滑らかで精度の高い挙動を実現するという。

新型Audi RS 5はモジュラー型高性能プラグインハイブリッドシステムを採用しており、この電気機械式トルクベクタリングはハイブリッドアーキテクチャと一体で設計されている。モーターによるトルク制御と統合シャシー制御を組み合わせることで、従来の機械式quattroとは異なる新世代の駆動システムとなった。ドライブセレクトにより、ニュートラルな設定からリヤ寄りの俊敏なハンドリングまで幅広いキャラクターを選択できる点も特徴となる。
このquattro with Dynamic Torque Controlの採用により、新型Audi RS 5は限界領域でも予測しやすく、かつ俊敏なハンドリングを両立したモデルとなる。電動化時代のRSモデルにおける新たな方向性を示す技術として、今後の高性能Audiモデルへの展開も期待される。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。



