Audiは2025年第3四半期(1〜9月)の業績を発表し、経済環境の厳しさのなかで戦略的な再編を進めていることを明らかにした。売上高は前年同期比4.6%増の484億ユーロ(約8兆6100億円)となった一方、営業利益は15億5500万ユーロ(約2770億円)で前年の20億8800万ユーロ(約3710億円)から減少。営業利益率は4.5%から3.2%に低下した。純利益は20億6400万ユーロ(約3670億円)、フリーキャッシュフローは21億ユーロ(約3740億円)だった。

BEV販売は41%増、「Q6 e-tron」が牽引。事業構造改革とコスト最適化を加速
同社CEOのゲルノート・デルナー氏は「Audiは、クルマのデザインと同様に企業運営においても“本質への集中”を指針としている」と強調。これまでの状況を客観的に見直したうえで策定した「Audiアジェンダ」を基盤に、新たな企業戦略を進めると述べた。CFOのユルゲン・リッタースベルガー氏も「厳格なコスト管理を進めることで、事業モデルの持続可能性を高める」と説明し、構造改革と効率化を一体的に進める姿勢を示した。
電動化が成長を牽引、「Audi Q6 e-tron」が主力に
ブランドグループ・プログレッシブ(Audi、Bentley、Lamborghini、Ducati)は、9カ月間で合計119万1141台を販売し、前年同期比4.8%減となった。このうちAudiブランドの販売は117万5765台(同4.8%減)だったが、BEV(バッテリー電気自動車)は16万3000台超と41%増加。プレミアムEV市場で最高の成長率を記録した。なかでも「Audi Q6 e-tron」は約6万4000台を販売し、ラインアップの中心的存在となっている。
欧州では電動化の勢いが続き、ドイツ以外の地域で7万9200台(+43%)、ドイツ国内でも2万8000台超(+70%)を納車。米国など北米地域では3万1000台超(+54%)と伸長した。中国市場では新型「Audi A5L」や「Audi Q6L e-tron」などの導入を進めたものの、競争激化により43万4000台(−9%)と減少している。
各ブランドの動向と構造改革
グループ各ブランドのうち、Bentleyは7236台を販売し、営業利益は1億1500万ユーロ(約205億円)(前年3億ユーロ=約534億円)に減少。Lamborghiniは8140台(−3.2%)、営業利益5億9,200万ユーロ(約1,050億円)(前年6億7,800万ユーロ=約1,210億円)と小幅な減少となった。Ducatiは4万1973台(−4.1%)を販売し、営業利益4400万ユーロ(約78億円)(前年9,500万ユーロ=約169億円)に半減した。
Audiグループ全体では、米国の関税影響やCO₂規制関連費用、電動プラットフォーム開発の延期などが利益を圧迫した。こうした環境下で、同社は開発・生産の複雑性を削減し、コア分野への集中によるスリム化と機動性の強化を進めている。これにより、技術革新とブランド価値の両立を目指す体制づくりを急ぐ。
今後の見通し
2025年通期の売上高は650億〜700億ユーロ(約11兆5,600億〜12兆4,500億円)、営業利益率は4〜6%、フリーキャッシュフローは25億〜35億ユーロ(約4450億〜6230億円)を見込む。見通しは半導体供給の安定を前提としており、引き続きコスト管理と製品構成の最適化を重視する姿勢を示している。
2026年にはAudi史上最大規模の新製品攻勢を計画。コンパクトEVや高効率SUV、RSモデルなどの投入を予定しており、フル電動のエントリーモデルや「Audi Q9」といった新型フラッグシップSUVのワールドプレミアも控える。変革期のAudiは、電動化と効率化の両輪でプレミアムブランドとしての地位強化を図る構えだ。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。
 
				
				



 
							 
							 
							 
							