Audiきってのホットハッチである「Audi RS 3 Sportback」がマイナーチェンジ。その刺激的なドライビング体験を振りかえる。

画像1: 【ミニ試乗記】Audi RS 3 Sportback

さらに精悍になったエクステリア

Audiのプレミアムコンパクトカーである「Audi A3」シリーズがマイナーチェンジを実施したのを受けて、そのハイパフォーマンスモデルの「Audi S3」と「Audi RS 3」がフェイスリフトを実施。日本でも2025年2月に発売され、ついに最新のAudi RS 3に試乗することができた。

マイナーチェンジ版のAudi RS 3については、上記のニュースをご一読いただくとして、今回試乗したのは“ホットハッチ”のAudi RS 3 Sportback。“パイソンイエロー メタリック”のボディに、グロスブラックのシングルフレームが映えるエクステリアは、否応なくまわりの視線を集めることになる。

大型の前後フェンダーや、フロントフェンダー直後の大型エアアウトレットが備わるのもAudi RS 3ならではの特徴だ。オーバルのテールパイプや、センターにレッドのリフレクターが配されたリヤディフューザーもこのクルマの特徴だ。

画像1: さらに精悍になったエクステリア

レッドのブレーキキャリパーと10クロススポーク シルクマットグレーのアルミホイールはいずれもメーカーオプション。他にもカーボンのドアミラーカバーやRSスポーツエキゾーストシステムなどが、このクルマのキャラクターを際だたせている。

画像2: さらに精悍になったエクステリア

室内は、ボトム(下)だけでなくトップ(上)をフラットとしたダブルフラットシェイプデザインを採用したステアリングホイールが新しい。さらに、オプションのRSデザインパッケージによりステアリングホイールにはアルカンターラが施されている。

ハニカムステッチで彩られたファインナッパレザーのスポーツシートは標準装備で、Audi RS 3のコックピットを特別な空間に演出するには打ってつけのアイテムといえる。

ちなみに試乗車の価格は、906万円の車両本体価格に、SONOS 3Dサウンドシステム(7万円)、パノラマサンルーフ(14万円)、RS デザインパッケージ レッド(16万円)、カーボンエンジンカバー(8万円)、RS ダンピングコントロールサスペンション(17万円)、スピードリミッター 280km/h(23万円)、RS スポーツエキゾーストシステム(16万円)、カラードブレーキキャリパー レッド(5万円)、エクステリアミラーハウジング カーボン(12万円)、アルミホイール 10クロススポーク シルクマットグレー(10万円)の総額134万円のオプションが加わり、計1040万円ということになる。

Audi Sportの“伝家の宝刀”が雄叫びをあげる

Audi RS 3を特徴づけるのは、いうまでもなく2.5L直列5気筒ターボの2.5 TFSIエンジンだろう。Audi Sportの“伝家の宝刀”といえるこのパワーユニットは、最高出力294kW(400ps)、最大トルク500Nm(51.0kgm)を誇り、7速Sトロニックと4WDのquattroによりそのパワーを路面に伝える。搭載されるquattroもユニークで、リヤアクスルに搭載される“RSトルクスプリッター”が、2個の電子制御湿式多板クラッチによりエンジンのトルクを前後に配分するだけでなく、リヤアクスル左右のトルク配分を自在にコントロールすることで、すぐれたハンドリングを実現している。これは「Golf R」の4WDである4MOTIONに採用される「Rパフォーマンス トルクベクタリング」と同じ機構だ。

画像1: Audi Sportの“伝家の宝刀”が雄叫びをあげる

センタコンソールのスイッチを押すと、威勢のいい音をともないながらエンジンが目覚めた。まずは「AUTO」モードで走り出すが、アクセルペダルを軽く踏むだけでもエンジンは軽々と、それでいて力強く反応し、2L直列4気筒ターボとの違いを見せつけられる。Sトロニックは低速で走行する際に、他のモデルと比べてややギクシャクする動きがあるが、そのぶん素早くダイレクトなレスポンスが期待できる。

アクセルペダルをさほど踏まない状態でも、5気筒エンジンならではの、ちょっと濁ったサウンドが耳に入るが、さらに右足に力を込めると、独特のエンジン音を高めながら一気に勢いを増し、あっというまにレブリミットに駆け上がる爽快さに魅了される。Audi RS 3を手に入れる理由が、この刺激的なフィーリングを味わうため、といっても過言ではない。

しかも、RSトルクスプリッターを手に入れたAudi RS 3は、ワインディングロードでの走りが実に楽しい。コーナーの途中でアクセルペダルを踏んでいってもアンダーステアが強まるどころか、狙いどおりのラインをトレースし、しかもリヤタイヤがしっかりと踏ん張ってくれるので、不安なくコーナーを駆け抜けられるのだ。スポーク下に設けられた赤のサテライトスイッチにより、右側がRS INDIVISUAL、左側がRS PERFORMANCEに瞬時に切り替えることが可能で、試しにRS PERFORMANCEを選ぶと、エンジンを高回転に保ち、よりダイナミックなドライビングが楽しめた。

画像2: Audi Sportの“伝家の宝刀”が雄叫びをあげる

スポーツモデルだけに、乗り心地は硬めだが、RS ダンピングコントロールサスペンションが装着された試乗車の場合、一般道でも、高速道路でも十分な快適さを確保しているのがうれしいところ。燃費については、一般道のみの走行では10km/Lを下回ることがあったものの、ACCを使っておとなしく高速道路を巡行すると、平坦な場所では18km/L程度、アップダウンがあったり、多少渋滞に巻き込まれても15km/L前後まで数字が伸び、予想以上に低燃費であることに驚いた。

画像3: Audi Sportの“伝家の宝刀”が雄叫びをあげる

全長4380×全幅1850×全高1435mmのサイズも扱いやすく、街乗りからサーキットまでこれ一台でこなしてくれるAudi RS 3 Sportbackは、まさに理想のホットハッチといえるだろう。

(Text & Photos by Satoshi Ubukata)

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