2025年9月2日、AUDI AGはミラノにおいてコンセプトカー「Audi Concept C」を発表し、ブランドの新しいデザイン哲学を世界に示した。Audi Concept Cは、ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2025」でも展示される。

画像1: 新時代の幕開けを告げる「Audi Concept C」がワールドプレミア

これは単なるデザインスタディにとどまらず、今後の量産モデルに直結する重要な意味を持つ。AUDI AG CEOのゲルノート・デルナー氏が「Audiにおける新しい明快さの時代の始まり」と語ったように、同社は「Strive for Clarity(明快さの追求)」を旗印に企業全体の再構築を進めており、その象徴が今回のコンセプトモデルである。

新哲学「The Radical Next」とは

Audiが掲げる新しいデザイン哲学は「The Radical Next」と名付けられ、根幹に据えられているのは「Radical Simplicity(徹底した簡素化)」である。Audiのデザインを統括するマッシモ・フラセラ氏は、「あふれる情報や過剰な表現が支配する時代だからこそ、すべてを本質に還元し、感情を生み出すことが責務だ」と語る。彼が打ち出す四つの原則は「明快さ・技術性・知性・感情」であり、これらがAudiの未来を形づくる軸になる。

Audi Concept Cが示す未来像

Audi Concept Cはフル電動の2シータースポーツカーで、全長4520×全幅1970×全高1285mm、ホイールベース2568mmというプロポーションを持つ。車両重量は1690kgで、駆動方式は後輪駆動。外装色は「チタニウム」で、金属の精緻さや強さを想起させる色調が与えられている。

画像: Audi Concept Cが示す未来像

エクステリアの中心は「Vertical Frame(バーチカルフレーム)」と呼ばれる縦型のグリルデザインだ。これは1930年代の「Auto Union Type C(アウトウニオン・タイプC)」レーシングカーや2004年の3代目「Audi A6」に着想を得たもので、Audiの遺伝子を現代的に再解釈した要素となる。また、ヘッドライトとリヤライトには四つの水平要素から成る新しいシグネチャーライトを採用し、昼夜を問わずひと目でAudiとわかるアイデンティティを確立した。

ルーフは電動開閉式のリトラクタブル・ハードトップで、2分割の構造によりクーペのような一体感とオープンエアの開放感を両立。

リヤエンドはクリーンな面構成と水平ルーバーがスポーティさを強調している。

フラセラ氏は、自身がデザインに惹かれるきっかけとなった「Audi TT」を引き合いに出し、「声高に叫ばなくても明快さでメッセージを伝えられる」と語った。Audi Concept Cはその思想を引き継ぎつつ、次世代のブランドアイコンとなることを狙う。

「スポーツカーはスピードやデザイン、感情の祝祭であり、Audi Concept Cは純粋なドライビングプレジャーを体現する」とデルナー氏は語り、フラセラ氏も「いまこそ再び大胆になるときだ」と強調する。

ミニマリズムを追求したインテリア

室内は幾何学的な造形と明快な構成が特徴で、運転者を中心に据えながらも2名が快適に過ごせる空間を確保。物理スイッチはアルマイト加工アルミニウム製で、触感や操作音にまでこだわった「Audiクリック」と呼ばれる確かな操作感を提供する。ステアリングホイールの中央には金属製の“フォーリングスを”配置し、機械的な精度を強調。インテリアのカラーパレットも外装同様チタニウムを基調に、自然素材と間接照明が上質で温かみのある雰囲気を醸し出している。

操作系は「Shy Tech(シャイテック)」と呼ばれる考え方に基づき、必要なときにだけ現れる技術を採用。10.4インチの折りたたみ式センターディスプレイが状況に応じて情報を提示し、ステアリングやセンターコンソールの物理コントロールと組み合わせて直感的な操作を実現する。

経営戦略と生産計画

Audiはこのコンセプトカーを単なる未来像にとどめず、「明確に生産を前提とした決定の裏付けがある」とCEOデルナー氏は強調する。量産モデルはドイツ・ネッカーズルムのべーリンガーホフ工場で生産される予定であり、Audiのポートフォリオにおける新しい“アイデンティティビルダー”として位置付けられる。

さらに同社は「Audi Agenda」と呼ばれる再構築プログラムのもと、製品ポートフォリオを整理しつつ、今後24カ月で20を超える新型車を投入。内燃機関・PHEV・EVを組み合わせた柔軟な戦略で欧州・中国・北米の主要市場をカバーする計画だ。2026年にはFormula 1参戦も控えており、技術革新の実験場としての役割も期待されている。

今回の発表は、Audiが過去の遺産を尊重しつつ未来へ向けて大胆な一歩を踏み出した証しである。「The Radical Next」という思想は今後の量産車に広がり、Audiが再びデザインの分野で基準を打ち立てることを目指す。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。

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