新型「Audi Q5」や新型「Audi A5」といった新世代のAudi車には、進化したマイルドハイブリッドシステムの「MHEV plus」が搭載される。これまでのマイルドハイブリッドシステムとは何が違うのか探っていこう。
エンジン車用の新アーキテクチャーとしてAudiが開発した「PPC(Premium Platform Combustion)」。縦置きエンジンレイアウトを採用するミッドサイズ以上のAudi車のベースとして、すでに新型Audi A5や新型Audiがこれを使用している。
PPCが搭載する新技術のなかで注目したいひとつが、進化したマイルドハイブリッドシステムのMHEV plus。これまでもAudiはさまざまなモデルにマイルドハイブリッドシステム(MHEV)を搭載してきた。
MHEVは、従来のスターターとオルタネーター(発電機)を統合した「BAS(ベルト駆動式オルタネータースターター)」を搭載し、減速時などには運動エネルギーを電気に変えて、リチウムイオンバッテリーをチャージ。一方、加速時にはこの電力により、BASを使ってエンジンをアシストするる。コースティング(惰力走行)時にはエンジンをオフにすることも可能で、こうしてエネルギーを効率よく利用することで低燃費に貢献する。
これに対して、MHEV plusでは、「PTG(パワートレインジェネレーター)」と呼ばれるモーターを追加したのがポイントだ。PTGはトランスミッションの出力軸に取り付けられ、最大18kW(24PS)のパワーを発揮。エンジン使用時にはそれをアシストするが、エンジンが停止中でもPTGだけで駆動できるようになるのが、これまでのMHEVとは大きく異なるところだ。
一方、減速時には、最大25kWのエネルギー回生が可能だ。回収された電気は48Vリン酸鉄リチウムバッテリー(約1.7kWh)に蓄えられ、加速時に備える。また、これまでは停止または走行時のエンジン停止中はエアコンのコンプレッサーが駆動されなかったが、MHEV plusではエンジン停止時でもエアコンが効くようになるのがうれしいところだ。
FFでも4WDのquattroにも搭載可能で、ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンにも対応するMHEV plus。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、試乗できる日が待ち遠しい。
(Text by Satoshi Ubukata)