Audiのプレミアムコンパクトカー「Audi A3」がフェイスリフト。タッチスクリーンに加えて、エアコン操作などの最も重要な機能にはボタンやノブが引き続き採用されている。「Audi A3 allstreet」「Audi S3」の情報も合わせて紹介する。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

画像1: 【Auto Bild】マイナーチェンジした「Audi A3」の出来映えは?

われわれのお気に入り

  • コックピットのボタンとタッチスクリーン
  • 正確なプログレッシブステアリング
  • 優れたライトシグネチャー

不満な点

  • 先代モデルよりも質感が低い
  • 少ない基本装備
  • タッチスクリーンがやや低い位置にある

Audi A3はすでに4世代目

2020年、Audiはコンパクトモデル、Audi A3の4世代目を発表した。インゴルシュタットで製造されたこのクルマは、見た目には革命というよりも進化であり、先代モデルとの最大の違いはプラットフォームにある。先代モデルと同様に、セダンはあるが、3ドアとコンバーチブルのバージョンはラインナップから外れた。

画像: Audi A3はすでに4世代目

フェイスリフトでクロスオーバー仕様が登場

4年後の2024年にフェイスリフトを行うことは、Audi A3に限らず、他のモデルでも珍しいことではない。「MQB evo」プラットフォームはそのままに、ビジュアル面がアップデートされた。

しかし、本当に注目すべきは、AudiがコンパクトモデルのクロスオーバーバージョンとしてAudi A3 allstreetを導入したことだ。なぜ「allroad」ではないのだろうか? Audiはallroadという名称を4WDモデルのみに使用しているからだ。Audi A3 allstreetは前輪駆動のみだ。

価格:プラグインのAudi A3 allstreetの価格は以下の通り

当初、Audiはプラグインハイブリッド車(PHEV)としてAudi A3 Sporbackのみを提供していたが、Audi A3 allstreetもこの仕様で注文できる。価格は4万6,000ユーロ(約772万円)。Audi A3 SporbackのPHEVは4万4,200ユーロ(約742万円)から。Audiは、この駆動方式のセダンを提供していない。

内燃エンジン仕様はかなり安価だ。Sportbackの価格は31,300ユーロ(約525万円)から。Sedanはプラス800ユーロ(約13万円)だ。Audi A3 allstreetは予算を多めに確保する必要がある。これはよりパワフルな150PSエンジン搭載車のみで、価格は35,400ユーロ(約595万円)からだ。スポーティなAudi S3は、依然として価格リストのトップにあり、55,600ユーロ(約934万円)だ。

デザイン:新しいライトシグネチャーを備えたフェイスリフト

Audi A3を ひと目見れば、新しいライトデザインが採用されていることが分かる。これはオプションだが、4種類のデイタイムランニングライトシグネチャーから選択できる。メインヘッドライトの上で変化するこれらのライトシグネチャーは、標準装備の新しいLEDリヤライトも備えている。

Audi A3 allstreetはSUVの雰囲気を醸し出す

Audi A3 allstreetの主なセールスポイントは、おそらくその高い地上高だろう。シャシーは、Audi A3にさらに1.5cmの高さを与えている。さらに、標準装備として17インチのホイールが装着され、これによりさらに1.5cmの高さが加わる。

つまり、30mmほど地上高が増えることになり、未舗装道路や縁石、あるいは道路状況の悪い場所でも役立つ。もちろん、乗り込みやすさも向上する。快適性を重視する購入者にとっては重要なポイントだ。

Audi S3の新しいグリル

Audi S3は引き続きスポーティなモデルだ。六角形のグリルはそのままに、やや平たく、幅広になった。新しいフロントスポイラーと同じだ。

リヤビューは、Audi A8の改良モデルで初めて採用された、L字型のグラフィックが新しい。後方から車を見ると、新しいリヤライトと、2分割式ディフューザーが目を引く。

パワートレイン:プラグインハイブリッドも登場

Audiは現在、ラインナップに2つのプラグインハイブリッドを追加している。いずれも1.5Lガソリンエンジンをベースに、83kWの電動モーターと25.7kWhのバッテリーを搭載している。この組み合わせでは、204PSを発生し、最大143kmのEV走行が可能だ。より強力なバージョンでは、272PSを発生し、同じく最大143kmの電気走行可能距離を実現する。バッテリーの充電能力は最大50kWだ。10%から80%まで充電するには30分ほどかかる。

ディーゼル2種、ガソリン2種

Audi A3には、2つのディーゼルエンジンと2つのガソリンエンジンも用意されている。それぞれ116PSと150PSを発揮する。エンジンに応じて、7速デュアルクラッチまたは6速マニュアルトランスミッションが搭載される。

333PSのAudi S3

とくにスポーティなAudi S3に搭載されている2L4気筒エンジンは、すでにフェイスリフト前の基本モデルのエンジンフードの下で活躍していたため、聞き覚えのあるエンジンだ。しかし、よりパワフルになっている。333PSは、ファンにとって最も重要な部分だろう。

そして、もちろん、「Golf R」のパワーとリヤアクスルのトルクスプリッター技術もすでに備え持っている。最高速度は250km/hだ。0から100km/hまでの加速は4.8秒から4.7秒に短縮された。

装備:基本装備がアップグレード

前席と後席のスペースはフェイスリフト後も変わらず、シートクッションは快適な座り心地を提供する。コックピットは違った印象になった。3本スポークレザーマルチファンクションステアリングホイール、オートエアコン、アンビエントライトパッケージ、センターアームレスト(これがオプションだったのは驚きだ)がフロントに標準装備された。

画像: 装備:基本装備がアップグレード

さらに、バーチャルコックピットも標準装備となった。ベースモデルでも、クラシックなアナログ計器は装備されなくなった。中央の10.25インチのタッチディスプレイはそのまま残り、内蔵デジタルラジオももちろんそのままだ。ベースモデルのデジタルメーターは10.25インチだが、フルHD解像度の12.3インチに拡張することも可能だ。一方、ワイヤレスチャージングは一部のモデルで新たに追加された。以前から販売されていたが、これまでは別料金が必要だった。

興味深いことに、Audiでは現在、追加可能な多くのアシスタンスシステムを提供している。例えば、長距離ドライブを計画している場合、クルーズコントロールと車間距離自動制御を1ヶ月間利用し、その後キャンセルすることができる。

また、中古のAudi A3の購入者であっても、元のオーナーが望まなかったもの、例えばワイヤレスのApple CarPlayやAndroid Autoを追加することができるようになった。

Audi S3スポーツシートは横方向のサポートが強化されている

Sモデルでは、インテリアのすべてがダークな色調だ。ダブルステッチや「S」ロゴなど、シルバーのアクセントもある。アルミニウム調のフラットなステアリングホイールとペダルには、クロームメッキのシフトパドルが新たに装備されている。

もちろん、Audi S3を際立たせるのは、ヘッドレスト一体型のスポーツシートと、より横方向のサポート力を高める大型のサイドボルスターだ。インレイは、にマイクロファイバー製、またはカーボン製、アルミニウム製、そして「テクニカル構造」と呼ばれるカバー(Audiの呼称)から選択できる。この時点で、コンフィギュレーターで確認することをお勧めする。

画像: Audi S3スポーツシートは横方向のサポートが強化されている

ホイールとタイヤについても同様だ。18インチホイールが標準装備で、さらにスポーティなAudi S3を演出する2種類の19インチホイールがオプションで用意されている。パワーとパフォーマンスの向上に伴って、ブレーキディスクが従来よりも4mm厚くなり、ブレーキキャリパーには新しいダブルピストンが採用されている。

テストドライブ:フェイスリフトされたS3は、とても楽しい

われわれAUTO BILDは、まだカモフラージュされたままのフェイスリフト版Audi S3を、そのお披露目の前にすでに運転している。テクノロジーはカモフラージュされていなかった。エンジンは暖機中であり、リヤアクスルのトルクスプリッターは、期待に胸を膨らませて、まるで歯車のような筋肉を誇示している。これはワインディングロード用に設計されたものだ。日常的な運転に重点が置かれており、スポーツモードは必要な時に備えて用意されているだけだ。

Audi S3は今回の改良で著しい進歩を遂げた

Audi S3にはもっと多くのことができる。ドリフトがしたいなら、「ESCスポーツモード」でオーバーステアのチャンスもある。ESCをオフにすれば、完全に横向きに走ることもできる。

今回の改良により、Audi S3はさらに活発で俊敏になった。Audiがこのような楽しみをわれわれに許容してくれるのは素晴らしいことだ。同時に、スポーティな精神を過度に強調することもない。そこは「Audi RS 3」が受けもつ部分だ。

(Text by Holger Preiss, Wolfgang Gomoll, Dennis Petermann, Katharina Berndt, Andreas May, Sebastian Friemel / Photos by Audi)

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