発表から2年4カ月、ようやく「Audi RS 3 Sedan」を試すことができた。
2021年7月にワールドプレミアを果たした新型Audi RS 3には、3代目となるSportbackと、2代目のSedanが用意されている。旧型同様、2.5L 直列5気筒ターボエンジンを搭載し、さらにリヤアクスルのトルクベクタリング機構「RSトルクスプリッター」を採用することで、これまでとは一線を画するハンドリングを実現するという。
新型Audi RS 3の概要については上記のニュースをご一読いただくとして、今回試乗したのは端正なフォルムが自慢のAudi RS 3 Sedanである。
搭載される2.5 TFSIエンジンは、最高出力こそ旧型と同じ294kW(400ps)だが、最大トルクは20Nmアップの500Nmを達成している。これに7速Sトロニックと4WDのquattroが組み合わされ、0-100km/h加速はわずか3.8秒の駿足ぶりだ。
ダイヤモンドステッチが施されたスポーツシートに身を委ねてさっそく発進すると、いまどきのコンパクトカーとしては大排気量の2.5Lエンジンが低回転から力強い加速を見せつける。旧型に比べるとややおとなしいとはいえ、スポーティなエンジンサウンドも健在だ。
一方、アクセルペダルを踏み込むと、3000rpmを超えたあたりから5気筒特有のサウンドを高らかに響かせながら、回転計の針がレブリミットに向かって一気に駆け上がる。この快感こそが2.5 TFSIエンジンの醍醐味である。
ワインディングロードでは、RSトルクスプリッターが威力を発揮。コーナーの途中でアクセルペダルを踏んでいってもアンダーステアが強まるどころか、狙いどおりのラインをひた走るうえ、リヤタイヤがしっかりと踏ん張り、安心してアクセルペダルを踏んでいけるのだ。
リヤアクスルに配分されるトルクのすべてをリア外輪に100%配分することで、容易にドリフトが可能になる「RSトルクリヤモード」もあるが、リヤタイヤへの負担が大きいうえ、公道で使用するわけにはいかなかったが、通常のモードであっても従来とはワンランク上の爽快なハンドリングが楽しめるのは確かだ。
多少硬めではあるが、スポーツモデルとしては十分快適な乗り心地を確保しているAudi RS 3 Sedan。実用性とスポーティさをさらに高い次元で両立する最新モデルは、実に魅力的な仕上がりである。
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)