2022年秋の導入が予定されているプレミアムコンパクトSUVタイプの電気自動車「Audi Q4 e-tron」。そのヨーロッパ仕様を日本で短時間ドライブした印象は?
下記のニュースでもお伝えしているとおり、アウディ ジャパンでは2022年1月にAudi Q4 e-tronの導入を発表しており、その時期が近づいている。
これに先立ち、Audi Q4 e-tronの全国キャラバンが実施されており、このイベントで展示されている車両を使ったメディア向け試乗会が都内で開催された。
試乗したのはヨーロッパ仕様のAudi Q4 e-tronで、グレードは日本に導入予定の「40」。すなわち、実容量77kWhの駆動用バッテリーを前後アクスルの床下に収納し、リヤアクスルに駆動用モーター1基(最高出力150kW/最大トルク310Nm)を搭載する。
Audi Q4 e-tronの概要や日本仕様の価格については上記のニュースをご一読いただくとして、全長4588×全幅1865×全高1632mmのAudi Q4 e-tronは、同じBEV(電気自動車)の「Audi e-tron」に比べてひとまわり小さいボディサイズながら、なかなかの存在感だ。
コックピットのデザインは、他のAudi同様、デジタル化が進められていることに加えて、フローティングタイプのセンターコンソールや上下フラットなステアリングホイールなどの採用により新鮮な印象を受ける。それでいて、空調パネルに物理スイッチを残すなどして操作性を確保しているのがうれしいところだ。
MEB(モジューラーエレクトリフィケーションプラットフォーム)と呼ばれるBEV専用プラットフォームを採用し、フロントオーバーハングを切り詰めたデザインとしたことで、後席やラゲッジスペースは実に広いスペースが確保されている。たとえば、後席は、足が組めるほど余裕があり、センタートンネルがないことも手伝ってとても広々とした印象。520LのラゲッジスペースはAudi Q5とほぼ互角の広さを誇る。
さっそく走り出すと、動き出しは軽快で、低回転から余裕あるトルクを発揮し、アクセルペダルに乗せた右足の動きに即座に応えてくれる気持ちよさはBEVならではのもの。アクセルペダルを深く踏み込むと、背中を押されるような感覚こそないものの、それでも十分に素早い加速が楽しめる。
Audi e-tronと異なり、Audi Q4 e-tronは“クリープ走行”が可能で、車庫入れなどの場面ではこのほうが扱いやすい。アクセルペダルを緩めたときの回生ブレーキはパドルでその強さの調整が可能。また、セレクターでBモードを選べば最大レベルの回生ブレーキが得られる。この状態なら、よほどの急減速以外は、アクセルペダルの踏み具合だけで速度調整が可能。ただ、停止時にアクセルペダルを完全にオフにしても完全停止にはいたらないので、最終的にはブレーキを踏む必要がある。
S lineの試乗車には255/40R21サイズのタイヤが装着されており、荒れた路面ではショックを拾いがちだったが、スピードが上がれば概ねマイルドな乗り心地を示し、その挙動もSUVとしては落ち着いている。前:1030kg、後:1130kgという前後重量配分に後輪駆動というこのクルマの場合、低重心設計も手伝って、コーナーを駆け抜ける動きは思いのほか軽快で、想像以上にスポーティなドライビングを楽しむことができた。
短時間の試乗でも、その仕上がりの良さを感じ取ることができたAudi Q4 e-tron。ヨーロッパ仕様ということで、日本のCHAdeMO方式の急速充電には対応しておらず、日本の環境で充電してみることはできなかったが、アウディ ジャパンでは自社のネットワークに加えて、ポルシェジャパンと「Premium Charging Alliance」を結成するなど、着々と準備を進めており、日本でAudi Q4 e-tronが発売されるころには、これまで以上に充電環境が整っているはずだ。
Audi Q4 e-tronが日本上陸を果たしたあかつきには、実際の充電能力を含めて、あらためてじっくりチェックしていきたいと思う。
(Text by Satoshi Ubukata)