スタイリッシュなコンパクトSUV「Audi Q3 Sportback」を、ライバルの「Mercedes-Benz GLA」と比較。あなたなら、どっちを選ぶ?
人気のプレミアムコンパクトSUV
8speed.netとしては初の試みとなるAudiとMerceds-Benzの比較テスト。実はGLAを購入した知人が「Audiと比べてどちらが魅力的なのか教えてほしい」というので、彼の愛車とAudiの広報車を比較してみることに。
GLAは、2L直列4気筒ディーゼルターボを搭載する「GLA 200 d 4MATIC」で、その名前からわかるように駆動方式は4WD。これにあわせて、Q3もTDIとquattroを搭載する「Q3 Sportback 35 TDI quattro S line」を用意した。
プレミアムコンパクトSUVであるこの2台、GLAのボディサイズが全長4415×全幅1835×全高1620mmであるのに対し、Q3 Sportbackは全長4520×全幅1840×1565mmで、より低く長いプロポーションにより、ということなる。
デザインの好みは人それぞれだが、GLAは内外装ともに曲線や曲面、丸を多用することで柔らかい印象を与えてくる。それに対して、Q3 Sportbackはエッジを効かせることで精悍なイメージに仕上げられているのが対照的だ。
最新のモデルらしく、どちらもコックピットはデジタル化が進められている。ナビゲーションシステム用のディスプレイはともにタッチ式だが、GLAではステアリングホイール上のタッチコントロールボタンでも操作できたり、「Hi, Mercedes」で知られる音声コントロールが使えるぶん便利に思えた。
後席のスペースは、全高が高めのGLAのほうが多少ヘッドルームに余裕があるが、ニールームはともに15cm強のスペースが確保され、ラクに着座できる。どちらも、後席の前後スライドとリクライニングは可能だ。
ラゲッジスペースは、全長の長いQ3 Sportbackのほうが有利で、たとえばQ3 Sportbackの奥行きが90cm強であるのに対し、GLAは80cm弱と10cm以上の違いがあった。一方、Q3 Sportbackは開口部が高い位置にあるため、重い荷物を積み下ろしはGLAのほうがラクに行える。
走りには違いが
どちらも2L直列4気筒ディーゼルターボを積む4WDモデルだが、走りには差が現れた。
Q3 Sportbackの2.0 TDIエンジンは、ディーゼルエンジンらしく低回転からトルクは豊かで、一般道でも、山道の登りでも、余裕ある加速が楽しめる。アクセルペダルを思い切り踏めば、4000rpmを越えたあたりまでスムーズな加速が続く。その際、ディーゼルエンジン特有のノイズや振動が高まることもあるが、不快というほどではない。
対するGLAのディーゼルターボは、Q3 Sportbackよりも活発な印象で、それでいてノイズや振動はQ3 Sportbackより低く抑えられている。加速もよりスムーズで好感が持てる。
ちなみに今回の試乗では、高速道路を中心に、富士山五合目までの往復や一般道を走り、平均燃費はGLAが12.8km/L、Q3 Sportbackが12.9km/Lとほぼ互角。高速だけならともに20km/Lを超えるなど、燃費の良さを確認できた。
走りについては、235/50R19タイヤを履くAudi Q3 Sportback 35 TDI quattro S lineは、やや硬めの乗り心地で、路面によっては19インチタイヤがショックを伝えてくることも。その一方で、SUV特有の上下動や揺れがよく抑えられており、高速道路走行時の安定感も抜群。ワインディングロードでの動きも、GLAよりもシャープな印象だ。
GLAは235/55R18と1インチ小さいタイヤを履くこともあって、乗り心地はマイルドで、目地段差を超えたときのショックの遮断もまずまず。Q3 Sportbackから乗り換えると、速度を上げたときに見られる緩い上下動が気になるが、それでもSUVとしては落ち着いた挙動といえる。
2台を比較試乗して、どちらも完成度の高いプレミアムコンパクトSUVであり、その人気の理由が理解できた。それだけに甲乙はつけがたいが、あえてどちらかを選ぶととしたら、デザインや走りにシャープさを求める人にはQ3 Sportbackを、柔らかみを求める人にはGLAをオススメしたい。
(Text by Satoshi Ubukata / photos by Hiroyuki Ohshima)