2代目に進化した「Audi RS Q3」。そのSUVクーペ仕様となるAudi RS Q3 Sportback」に試乗し、伝統の直列5気筒ターボがもたらす走りを確かめた。
すでにニュースでもお伝えしているように、第2世代となるAudi RS Q3が日本に上陸した。SUVらしいデザインが特徴のAudi RS Q3に加えて、SUVクーペスタイルのAudi RS Q3 Sportbackが追加されたのはご存じのとおりだ。
モデルの概要は上記の記事をご覧いただくとして、今回試乗したのはAudi RS Q3 Sportbackで、標準の255/40R20タイヤが255/35R21&21インチアルミホイールにインチアップされるのをはじめ、セラミックブレーキ、RSダンピングコントロールサスペンション、ブラックスタイリングパッケージ、マトリクスLEDヘッドライトなど、総額264万円のオプションでさらにスポーティさがアップ。車両本体価格の863万円とあわせると、1127万円という贅沢な仕様に仕上がっている。
エンジンルームに収まるのは、RSモデルのみに許されたAudi伝統の直列5気筒ターボ。最高出力294kW(400ps)/5850〜7000rpm、最大トルク480Nm(48.9kgm)/1950〜5850rpmを発揮する、Audi Sport自慢のハイパワーユニットである。
室内を覗くと、ダイヤモンドステッチが施されたファインナッパレザーのSスポーツシートが視界に飛び込んでくる。さらに、ダッシュボードやドアアームレストにはレッドのアルカンターラがあしらわれ、ステアリングホイールやシフトレバーにレッドステッチのアルカンターラが施されるなど、凝った仕立てになっている。
これはオプションの「RSデザインパッケージ エクステンドレッド/Sスポーツシート」が装着されているためで、ファインナッパレザーのSスポーツシート単体で34万円ということを考えると、パッケージオプションの51万円という価格がお得に思えてくる。
スターターボタンを一押しすると、派手なサウンドをともないながら5気筒ターボが目を覚ました。Autoでもその存在を隠そうとしないが、Dynamicならさらに音量は大きくなる。
さっそく走り出すと、本来よりも1インチアップした影響もあるのか、Autoでも明らかに硬めの乗り心地を示す。路面によってはショックを拾ってくるが、それでも角が取れているので、さほど辛いという感じはしない。
5気筒ターボは、2.5Lと余裕ある排気量のおかげで低回転から力強いトルクを発揮するが、1500rpm付近ではアクセル操作に対する反応が少し遅れる印象だ。
しかし、アクセルペダルを踏み込み、エンジンの回転を上げていくと、2.5 TFSIエンジンの楽しさが際立ってくる。3000rpmあたりから直列5気筒エンジン特有の不協和音を強めながら、強烈な加速とともに一気にレブリミットの7,000rpmまで吹け上がっていく。
ちなみに、Dレンジでマニュアルモードを選んだ場合、レブリミットに達すると自動的にシフトアップするが、Sレンジのマニュアルモードでは自動シフトアップは行われない。
また、Audiドライブセレクトは、個別設定が可能なIndivisualに代わりにRS1とRS2モードが備わり、オーナーの好みでドライブシステム、サスペンション、ステアリング、エンジン音、quattroの設定が可能。ステアリングホイールのRSボタンで、ダイレクトに選べるのもうれしいところだ。
ただし、ESCの設定を変えることはできず、ESC SPORTやESC OFFを選ぶにはセンターコンソールのスイッチを操作する必要がある。
ワインディングロードでは、コーナリング時のロールが見事に抑えられ、路面をしっかりと捉えるAudi RS Q3 Sportbackの走りは痛快そのもの。ノーズの動きはクーペやハッチバックほどシャープではないが、SUVであることを忘れるくらいスポーティな走りを楽しむことができた。
SUVであってもエキサイティングな走りを求める人には、とびきりパワフルな5気筒ターボを積むコンパクトSUVクーペのAudi RS Q3 Sportbackは、まさに理想の一台といえそうだ。
(Text & photos by Satoshi Ubukata)