マイナーチェンジした「Audi A4」のなかから、2L直列4気筒ターボと4WDを採用する「Audi A4 45 TFSI quattro S line」をチェックする。
すでにニュースでもお伝えしたとおり、Audiの主力モデルである「Audi A4」のマイナーチェンジ版が日本でも発売になった。その概要は下記のニュースをご覧いただくとして、今回、パワフルな2.0 TFSIエンジンと4WDのquattroを搭載するAudi A4 45 TFSI quattro S lineに試乗することができた。
よりスポーティな内外装で人気を集めるS line、新しいAudi A4では、ボンネットスリットやハニカムグリルを採用するおかげで、ベースモデルやadvancedとの差は一目瞭然だ。
インテリアも、お決まりのブラックのルーフライニングやマットブラッシュトアルミパネル、Sスポーツシートなどの採用により、スポーティさを際立たせている。さらに、センターコンソール部分が光沢のあるブラックガラスルックになり、小物入れに蓋が追加されるなど、細部にわたり上質さを追求しているのも見逃せない点だ。
さて、今回の試乗車には、オプションのダンピングコントロールサスペンションとAudi Sportの19インチアルミホイール&245/35R19タイヤが装着されており、実車を前に身構えてしまったのだが、実際に運転してみると、そのバランスの良さに驚いてしまった。
乗り心地は少し硬いかなという感じで、インチアップしたタイヤ&ホイールが路面の荒れを多少拾うことはあるものの、直接ショックを伝えることはなく、思いのほか快適。走り出すとその挙動は実に落ち着いていて、サスペンションのストローク感を残すしなやかな動きでボディの上下動を一発で収めてくれる。スピードが高い高速道路ではフラットな乗り心地を実現。目地段差を超える場面でも巧みにショックをいなし、実にバランスの良い仕上がりを見せる。
マイナーチェンジ前もダンピングコントロールサスペンションの出来の良さには舌を巻いたが、新しいA4はその仕上がりにさらに磨きをかけたという印象である。
12Vマイルドハイブリッドを手に入れたパワートレインは、1000rpmあたりのごく低い回転域でもしっかりとアクセルペダルの動きに反応し、1500rpm以下でも十分なトルクを発揮するので、実に扱いやすい。
一方、高速道路の合流などでアクセルペダルを踏みつければ、最高出力249ps、最大トルク370Nmの2.0 TFSIエンジンは2000rpmの手前あたりから力強さを増し、さらに3000rpmあたりから6500rpm超まで、勢いよく吹け上がる気持ちよさを兼ね備えている。
そんな2.0 TFSIのパワーをquattroがしっかりと受け止めてくれるので、安心してアクセルペダルを踏み込めるのも、このクルマのうれしいところ。さらにquattroのおかげで、高速走行時の直進安定性や接地感は高く、FFのAudi A4 35 TFSI advanced以上にリラックスして運転することができた。
残念ながら今回はワインディングロードを走る機会はなかったが、ドライバーの意図したとおりに向きを変える素直なハンドリングは随所で感じることができた。
試乗していて気になったことといえば、245/35R19サイズのスポーツタイヤからのロードノイズが少し目立つことくらいで、パワートレインも走りも大きく進化を遂げたAudi A4 45 TFSI quattro S line。新しいAudi A4は、このクラスの勢力図を変えるかもしれない。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, Audi Japan)