フルモデルチェンジにより生まれ変わった新型「Audi A6」をプレス試乗会でチェック。あらためて確認できた走りの魅力とは?
今回試乗したのは、Audi A6としては5代目、「Audi 100」の時代を入れると8代目にあたる“C8”型の新型「Audi A6 Sedan」。その概要はニュースをご覧いただくとして、基本的には最新の「Audi A7 Sportback」と共通のテクノロジーでつくられた、アッパーミドルクラスのSedanとAvant(=ステーションワゴン)ということになる。
実際、コックピットの印象はAudi A7 Sportbackと共通であるし、用意されるパワートレインも、3L V6直噴ターボの3.0 TFSI(340ps)と7速Sトロニックに、48Vマイルドハイブリッド ドライブ(MHEV)を組み合わせるなど、非常に近い関係にあるのがわかる。
一方、Audi A7 Sportbackがスタイリッシュな4ドアクーペであるのに対し、Audi A6はプレスティージ性が高いSedanと、高い実用性とアクティブなイメージが魅力のAvantというラインアップ。それだけに、たとえばAudi A6 Sedanの後席は、ヘッドルーム、ニールともにAudi A7 Sportback以上の余裕があり、パッケージングを重視する人にとってはAudi A6のほうが魅力的に思えるかもしれない。
さっそく走り出すと、Audi A6 55 TFSI quattro S lineは動き出しから軽く、最高出力250kW(340ps)、最大トルク500Nm(51.0kgm)の3.0 TFSIは、1500rpm手前あたりの低回転からすでに力強く頼もしい。そして、アクセルペダルを深く踏み込むと、フラットかつ強力なトルク特性のおかげで、6000rpmを超えてもなお、気持ちの良い加速が続く。
この3L V6ガソリンターボエンジンは、Audi SQ5とチューンが異なり、最高出力もSQ5の260kW(354ps)に比べて少し劣るが、アクセルペダルに対するエンジンのレスポンスは、むしろこのAudi A6のほうが優れているように感じる。トランスミッションが7速Sトロニックと8速ティプトロニックと異なることもあるが、Audi A6に搭載される48Vマイルドハイブリッド ドライブが、加速時にエンジンをアシストしているようで、これが素早い反応につながっているのだろう。
一方、その走りっぷりについては、路面とのコンタクトはやや硬めだが、ダンピングコントロールサスペンションのおかげで乗り心地はマイルドで落ち着いた印象。quattroだけに、高速での安定感は目を見張るばかりだ。それでいて、可変ギヤレシオのダイナミックステアリングと4輪操舵を組み合わせたダイナミック オールホイールステアリングにより、サイズからは想像できないほど軽快な動きを見せる。狭い道でラクにUターンできるのも、日常のドライブシーンではうれしいポイントだ。
ということで、新型Audi A6は期待どおりの仕上がり。機会を見て、Audi A6 Avantにもじっくり試乗してみようと思う。
なお、アウディ ジャパンでは、2.0 TFSIや2.0 TDIを搭載したグレードを2019年のうちに追加する予定だという。Audi Q5のうち、いまやTDIが販売の8割を占めることを考えると、今後、Audi A6の販売はAvantのTDIが中心になってくるかもしれない。
ラインアップの充実も楽しみなAudi A6である。
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)