IMG_0588-2.JPG2010年末、フィリップス製の「キセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)」が、アウディ純正アクセサリーパーツとして登場した。その特徴、そして、メリットを、株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンのライティング事業部に所属の板東祥広氏、中尾健人氏のおふたりに伺った。
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■ キセノンヘッドライトバルブ人気の秘密

キセノンヘッドライトバルブは、明るい光で夜間や悪天候時の視界を向上させる、いまや欠かせないアイテムだ。またハロゲンバルブとは明らかに異なる青白い光が、クルマのプレミアム感をアップさせることから、ドレスアップの点でも人気が高い。現在、日本車の約30%に標準装着されているといわれるキセノンヘッドライトバルブだが、まずはそのアドバンテージを伺うことにした。

110228AGP_Phi002.jpg「キセノンヘッドライトバルブのアドバンテージは3つあります。ひとつは明るさ。ハロゲンバルブに比べ、キセノンヘッドライトバルブは約2倍の明るさを誇ります。次に照射範囲。ハロゲンバルブよりも、縦方向、横方向ともに照射範囲が広くなります。そして3つめがハロゲンバルブよりも寿命が長いことです」
フィリップス エレクトロニクス ジャパン
ライティング事業部 板東祥広氏


たとえば、あるクルマでは、キセノンヘッドライトバルブ装着車はハロゲンバルブより30m先まで照射距離が伸びるという。これは、60km/hで走行している状況で、約2秒の走行距離に相当する。つまり、ハロゲンバルブより2秒速く危険が察知できるということだ。また、寿命についてもキセノンヘッドライトバルブの場合は2,000時間から3,000時間といわれ、ハロゲンバルブの倍程度の長寿命を誇っている。

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※左はハロゲンバルブ、右はキセノンバルブ

■ キセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)に変えるメリット

110228AGP_Phi007.jpgさて、今回紹介するフィリップス製のキセノンヘッドライトバルブは、「D3」タイプが標準装着されるすべてのアウディ車に適応している。キセノンヘッドライトバルブの種類については後ほど説明するとして、標準装着のキセノンヘッドライトバルブを、あえてアウディ純正アクセサリーパーツに交換するメリットは何か?

「標準装着されるキセノンヘッドライトバルブは色温度が4200K。一方、アウディ純正アクセサリーパーツのキセノンヘッドライトバルブ D3Sは、色温度が6000Kと高く、そのぶん青白く見えます。当然、見た目の雰囲気が変わります」

とくに、最近のアウディにはLEDのポジショニングライト装着されるようになり、標準の4200Kのキセノンヘッドライトバルブでは相対的に黄色っぽく見えてしまう。これを6000Kのキセノンヘッドライトバルブ D3Sに変えることにより、フロントライトに統一感が生まれるのだ。

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標準バルブ(右)とアウディ純正アクセサリーパーツ(左)の違いは歴然だ

「それ以上に機能面でのメリットがあります。明るさは同じでも、視認性が向上して見やすく感じると思います。実際、センターラインやガードレールなど、白いものに光があたったときには反射量が増えるため、明るく感じるのです」

一般的に日本人は白色系のライトを好む傾向がある。これには、日本人の瞳の濃さが関係しているようだ。昼間、サングラスが手放せない欧米人に対して日本人が平気だったり、夜間ある程度の明るさを必要とするのはこのためだ。また、暖色系より寒色系を明るく感じる傾向も強い。そこで、フィリップスはアウディ ジャパンの要望に応えて、日本専用に6000Kのキセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)を開発し、アウディ純正アクセサリーパーツとして供給している。つまり、キセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)は、日本人のために開発されたとバルブといっても過言ではない。

■ キセノンヘッドライトバルブは4種類

ところで、キセノンヘッドライトバルブにはD1からD4まで、4つの種類があるのをご存じだろうか?

「そもそもキセノンバルブは、水銀灯の原理を用いた放電灯です。体育館やスタジアム等で使用している照明と違うのは、ライトを点灯させてすぐに100%近い明るさを確保する必要があることです。バルブにはキセノンガスと"ヨウ化物"と呼ばれる金属化合物が封入され、このヨウ化物が蒸発することによって安定した発光が得られます」

110228AGP_Phi003.jpg「そのヨウ化物に水銀が含まれているのがD1とD2、水銀を含まないのがD3とD4です。一方、バルブの形状はD1とD3、D2とD4がほぼ同じです。これは、D1とD3がイグナイター(高電圧発生装置)を内蔵しているのに対して、D2とD4はバルブとイグナイターが別々になるからです」
水銀フリーでイグナイター内蔵のD3バルブ
四角い箱がイグナイターだ


■ 水銀フリーの先駆け

ここでポイントになるのが、2000年10月に廃棄自動車が環境に与える負荷を低減させることを目的としてEUで施行されたELV指令(End-of Life Vehicles Directive)だ。本来、水銀は有害物質として規制対象になるはずだが、実はキセノンバルブに使われる水銀は特認部材として、例外的に使用が認められていたという。

nakao.jpg「しかし、フィリップスは新しいチャレンジとして、いち早くキセノンバルブの開発に取り組みました。環境負荷物質を使用しない水銀フリーのキセノンバルブです」
フィリップス エレクトロニクス ジャパン
ライティング事業部 中尾健人氏


その結果として、フィリップスは2006年に世界で初めて水銀フリーのキセノンバルブを量産化することに成功した。そして、ほとんどの欧州メーカーが水銀入りのD1/D2バルブを標準装着している状況で、水銀フリーのキセノンバルブを欧州各メーカーに提案してきた。その中でいち早く採用することを決断したのが、他ならぬアウディだった。常に新しい課題にチャレンジをする姿勢は、まさに『Vorsprung durch Technik(技術による先進)』の現れである。一方、フィリップスも、アウディが目指す燃費向上対策に、さまざまな技術や商品を提案しているというから、今後の展開が楽しみである。

なお、現在はフィリップス以外にも複数のメーカーが水銀フリーのキセノンバルブを製造できるようになり、2012年以降に欧州で発売される新型車には、水銀入りキセノンバルブ(D1/D2)の使用が禁止となっている。

■ 純正装着部品と同等のクォリティ

アウディ純正アクセサリーパーツとして提供されるからには、その高い信頼性も見逃せない。実は、このキセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)は、アウディが標準装着するキセノンヘッドライトバルブと同じラインで生産されている。

110228AGP_Phi004.jpg「発光管内のヨウ化物の調合度合いが異なる以外は、同じ部品を使用し、サイズも形状もまったく同じです。完成後の検査ラインも純正装着部品と同じ工程を経ることで、高いクォリティを維持しています。」

長い歴史をもつハロゲンバルブと違い、キセノンバルブの歴史は20年前後とまだ浅い。高いクォリティと性能を維持できる技術を持っているメーカーは世界中でも数えるほどだ。フィリップスはそのひとつであり、しかも同社では、一切の人手をかけずフルオートメーションで生産することによって高い品質を維持している。市場には装着してしばらくすると色が黄色っぽくなったり、バルブ内のヨウ化物が抜けてしまったりする製品が流通するというが、フィリップス製のキセノンヘッドライトバルブであればその心配はない。

「同じような製品を見よう見まねでつくることはできますが、品質や性能を真似することは不可能です。」

高い品質と性能を兼ね備えているフィリップス製のキセノンヘッドライトバルブ D3S(6000K)は、アウディ純正アクセサリーを名乗るにふさわしいクオリティの持ち主なのだ。D3タイプのキセノンヘッドライトバルブ装着車のオーナーには自信を持ってお勧めしたいアイテムである。

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■ 商品概要
製品名: キセノンヘッドライトバルブ DS3 (6000K)
適合モデル: A1(MY11-)、A3/S3 スポーツバック(MY09-)、A4/S4(MY08-)、A4 allroad quattro (MY11)、A5/S5(MY08-)、A5/S5 カブリオレ(MY10-)、RS 5(MY10-)、A5 スポーツバック(MY08-)、Q5(MY10-)、A6/S6(MY09-)、A6 allroad(MY07-)、Q7(MY10-)、A8/S8(MY10) 、新型A8(ガスディスチャージヘッドライト搭載車両)
※セダン・アバント含む
供給:コックス株式会社
製造: フィリップス
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■ 関連リンク: Audi Genuine Accessories

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