120814-S&RS5-13.jpg2012年8月から日本でも販売がスタートした新型RS 5を富士スピードウエイで試乗。速度制限のないサーキットであらわした本性とは? 皆さんもご存じのとおり、アウディの各モデルシリーズには、標準の「Aモデル」に加えて、スポーティな上級グレード「Sモデル」が存在する。そのSモデルのさらに上をいくのがピュアスポーツの「RSモデル」だ。

RSモデルは、アウディのスポーツモデルの開発や生産を手がける「クワトロ社(quatttro GmbH)」が誇るスペシャルなクルマ。日本では現在このRS 5のほかにもTT RSが販売されており、また、過去にはRS 4やRS 6といったハイパフォーマンスモデルがファンの注目を集めてきた。

そんなハイパフォーマンスモデルの1台であるRS 5が、ベースモデルのフェイスリフトを受けてマイナーチェンジを実施し、日本での販売がスタートした。おもな変更点は、シングルフレームグリルやヘッドライト、テールライトなどのデザインが最新のA5/S5シリーズにならいリニューアルされた。

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120814-S&RS5-1.jpgインテリアも、最新のMMIが搭載されるなど、ベースモデル同様のバージョンアップが図られている。フラットボトムデザインのステアリングホイールが新たに採用され、スポーティな雰囲気が強められているのも特徴のひとつだ。
120814-S&RS5-2.jpg一方、メカニズムの点では、パワーステアリングが油圧式から電動式に変わった以外は、450psを誇る4.2L V8 FSIエンジンや7速Sトロニック、後輪により多くのトルクを配分するクワトロなど、マイナーチェンジ前のスペックを受け継いでいる。左右後輪のトルク配分をアクティブにコントロールするリヤスポーツディファレンシャルが標準装着されるのも従来どおりだ。
さて、今回のサーキット試乗は、「一般道では試せないRS 5のパフォーマンスを確認してほしい」というアウディ ジャパンの計らいにより実現したもので、富士スピードウェイのレーシングコースを3ラップ×2セット=6ラップすることができた。

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ハニカムメッシュのグリルと、ビッグクワトロを彷彿とさせるブリスターフェンダーが凄みをきかせるRS 5は、新しいフロントマスクを手に入れて、ますますスポーティな印象を強めている。ミサノレッドのボディカラーも、このクルマの存在感を高めているなぁ......と眺めていたら試乗の順番が回ってきた。

慌ててヘルメットを被り、RS 5のスポーツシートに収まる。ドライビングポジションを整えてすぐにコースイン。ピットロードをゆっくり走りながら、ESPがオン、アウディ ドライブセレクトが「ダイナミック(動的)」モードに入っていることを確認する。

ほぼ1周、完熟走行したあと、メインストレートに入ったところでアクセルペダルを全開に! RS 5の車両重量は1830kg(パノラマサンルーフ付き)と決して軽くはないが、450psのV8はすさまじい加速を見せる。ストレートの前半で4速ギアが吹けきり、スピードメーターはすでに200km/hを超えている。このまま踏み続けたら、280km/hのリミッターが効くんだろうか?......と考えるのだが、この日はストレート後半に速度規制用のシケインが設けられていて、早々にアクセルペダルに載せた右足を緩める必要があった。

それにしても、このV8のフィーリングはたまらない。アクセルの動きに鋭く反応するのはもちろんだが、緻密というか、目が詰まったというか、自然吸気の高性能エンジンならではの感触を伝えてくるのだ。しかもこのエンジン、6000rpmを超えてもなお勢いが衰えず、8000rpmを過ぎてレブリミットの8500rpmまで、まさに胸のすく加速が続くのだ。それだけに、ついつい高回転をキープしたくなる。

かといってRS 5は"直線番長"ではない。コーナーが楽しいクルマなのだ。V8を積むだけに、A5/S5に比べるとややノーズが重く、ステアリングの切り始めには確かにそう感じるのだが、次の瞬間からは面白いようにクルマが曲がっていく。

ここでアクセルを踏み込めば、ノーズがイン側に切り込んでいき、FRのような挙動を見せる。それでいて吸い付くようにしっかりと路面を捉えながらコーナーを脱出するのは、鍛えられたサスペンションとクワトロ、そして、リヤスポーティディファレンシャルの成せる技。全域でトルクに満ち、レスポンスの鋭いV8のおかげで、右足の動きひとつでクルマの向きが変えられるのも、スポーツ走行の楽しさを倍増させる。

ただし、これだけのパワー、これだけの車両重量のクルマで富士スピードウェイを攻めると、ブレーキの負担が大きいようで、スポーツ走行に通うのであれば、オプションのセラミックブレーキをオーダーしたほうがいいかもしれないなぁ......と要らぬ心配をしている自分がいた。

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それはさておき、サーキットでの試乗を終えて、以前、一般道で試したとき以上に、RS 5の圧倒的な加速とハンドリング性能の高さを実感、そのスポーツ性に惚れ惚れした。

こんなクルマが手元にあったら、足繁くサーキットに通ってしまいそうだ。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Minoru Kobayashi)

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