"クロスオーバーの最高峰"といっても過言ではない「アウディA6オールロードクワトロ」の3代目を試乗。300台の限定販売モデルは果たして"買い"なのか?
(Special thanks : Audi Japan Sales)
※ギャラリーはこちら
2000年に「オールロードクワトロ」としてデビューしたアウディのプレミアムクロスオーバーモデルは、2006年には「A6オールロードクワトロ」として2代目に進化。この流れを汲むのが今回試乗した新型A6オールロードクワトロだ。
ステーションワゴンが誇るユーティリティやオンロード性能と、SUVに迫るオフロード性能を併せ持つクロスオーバーは、「スバル・レガシィ・アウトバック(日本名:ランカスター)」のアメリカでのヒットを受け、その後、各メーカーからこれを追うが続々と登場している。オールロードクワトロもそのひとつであったが、高い走破性を誇るクワトロと、車高調整が可能なアダプティブエアサスペンションを備えるA6オールロードクワトロは、いまやクロスオーバーの最高峰の地位を確かなものにしている。
そんな人気のモデルが、300台限定ではあるが日本で販売がスタートした。
日本に導入されるのは3.0 TFSIエンジンを積む仕様で、基本性能はA6アバント 3.0 TFSI クワトロ(865万円)に準じる。すなわち、310psの3Lスーパーチャージャー付きV6直噴エンジンと7速Sトロニックが搭載され、非対称ダイナミックトルク配分のクワトロにより、エンジンパワーを効率的に前後タイヤに伝えるてくれるのだ。
一方、外観はA6アバントとは大きく異なり、コントラストカラーのバンパーやフェンダーアーチ、ステンレスのアンダーガードなどがSUVライクな雰囲気をつくりあげている。そのせいか、A6アバントよりもひとまわり大きく見える。
実際、ボディサイズはA6アバントの全長4940×1875×1495mmに対し、A6オールロードは4940×1900×1500mm。ワイドフェンダーボディのおかげで25mm幅広いが、全高の差は思いのほか小さく、5mmしかない。最低地上高はともに150mmだ。
それじゃあクロスオーバーとして機能性が不安......と心配する人もいるかもしれないが、このA6オールロードは強力な武器を備えている。そう、アダプティブ エアサスペンションだ。
走行状況にあわせて自在に車高が調整できる便利な機能で、オフロードでは35mm、必要とあらばさらに10mm車高を上げることができる。つまり、必要なときだけ車高を上げてやればいい。だから、ふだんはアバント同じ走行性能が得られ、クロスオーバーだからといってガマンを強いられることがないのだ。
加えて、高速走行時には標準よりも15mm車高を下げることで、さらに安定した走りを楽しむことができる。
急な下り勾配で速度を一定に保つ"ダウンヒルアシスト"機能や、MMIに傾斜角度ディスプレイ機能を備えるなど、便利な機能を備えている。
インテリアは、A6アバントではオプションとなる"ファイングレインアッシュナチュラルブラウン"のウッドパネルが標準装着される。自然の風合いを残した仕上げがオールロードにお似合いだ。
さっそく走りだすと、アダプティブエアサスペンションの恩恵が身に染みる。スムーズで快適な乗り心地はA6アバントの上をいく仕上がりだ。
日本で販売される現行のA6シリーズでは、Sモデルを除いてエアサスが用意されない。街中では実に快適な乗り心地を示すが、スピード上げていくと、サスペンションはもう少し硬めのほうがいいかなぁ......と思うことがある。その点、このA6オールロードはスピードを上げてもフラットさを保ち、常に落ち着いた挙動を見せるのが実に好ましい。また、コーナーが続く高速道路では、サスペンションの設定を「ダイナミック」に変えてやればロールが抑えられ、スポーティな走りにも応えてくれる。
もちろん、凸凹道では車高を上げることで移動範囲が広がるわけで、一般道から高速道路、さらには凸凹道にいたるまで、あらゆる道に躊躇せず進んでいけるA6オールロードなのである。
細かいことをいえば、標準の255/40R20タイヤがやや重たく、道路の段差でショックを伝えてくることがある。それでもアダプティブエアサスペンションがショックを最小限に抑えてくれるのは助かる。
3.0 TFSIと7速Sトロニックの組み合わせは、とても力強く、その一方で実に動きが洗練されている。快適な乗り心地とあいまって、ラグジュアリーワゴンしての資質は十分高い。
驚くべきは、A6オールロードの価格設定。A6アバント 3.0 TFSI クワトロにオプションのLEDヘッドライト(30万円)が標準装着され、さらに、A6アバントでは選べないアダプティブエアサスペンションが標準で付くにもかかわらず、価格は24万円高の889万円なのだ。スペック表をよく見ると、エアコンの温度設定がが4ゾーン独立から2ゾーン独立にランクダウンされていたり、オプションの選択肢が少なかったりするが、それを考慮してもどう考えてもお得な価格設定と思えてならない。
ということで、A6アバントよりワイルドでアクティブなスタリングがお好みなら、このA6オールロードは断然"買い"だ。そういう僕もこのクルマにすっかり惚れ込んでしまった。
このまま乗り続けられたらいいのに......。
(Text by Satoshi Ubukata)
(Special thanks : Audi Japan Sales)
※ギャラリーはこちら
2000年に「オールロードクワトロ」としてデビューしたアウディのプレミアムクロスオーバーモデルは、2006年には「A6オールロードクワトロ」として2代目に進化。この流れを汲むのが今回試乗した新型A6オールロードクワトロだ。
ステーションワゴンが誇るユーティリティやオンロード性能と、SUVに迫るオフロード性能を併せ持つクロスオーバーは、「スバル・レガシィ・アウトバック(日本名:ランカスター)」のアメリカでのヒットを受け、その後、各メーカーからこれを追うが続々と登場している。オールロードクワトロもそのひとつであったが、高い走破性を誇るクワトロと、車高調整が可能なアダプティブエアサスペンションを備えるA6オールロードクワトロは、いまやクロスオーバーの最高峰の地位を確かなものにしている。
そんな人気のモデルが、300台限定ではあるが日本で販売がスタートした。
日本に導入されるのは3.0 TFSIエンジンを積む仕様で、基本性能はA6アバント 3.0 TFSI クワトロ(865万円)に準じる。すなわち、310psの3Lスーパーチャージャー付きV6直噴エンジンと7速Sトロニックが搭載され、非対称ダイナミックトルク配分のクワトロにより、エンジンパワーを効率的に前後タイヤに伝えるてくれるのだ。
一方、外観はA6アバントとは大きく異なり、コントラストカラーのバンパーやフェンダーアーチ、ステンレスのアンダーガードなどがSUVライクな雰囲気をつくりあげている。そのせいか、A6アバントよりもひとまわり大きく見える。
実際、ボディサイズはA6アバントの全長4940×1875×1495mmに対し、A6オールロードは4940×1900×1500mm。ワイドフェンダーボディのおかげで25mm幅広いが、全高の差は思いのほか小さく、5mmしかない。最低地上高はともに150mmだ。
それじゃあクロスオーバーとして機能性が不安......と心配する人もいるかもしれないが、このA6オールロードは強力な武器を備えている。そう、アダプティブ エアサスペンションだ。
走行状況にあわせて自在に車高が調整できる便利な機能で、オフロードでは35mm、必要とあらばさらに10mm車高を上げることができる。つまり、必要なときだけ車高を上げてやればいい。だから、ふだんはアバント同じ走行性能が得られ、クロスオーバーだからといってガマンを強いられることがないのだ。
加えて、高速走行時には標準よりも15mm車高を下げることで、さらに安定した走りを楽しむことができる。
急な下り勾配で速度を一定に保つ"ダウンヒルアシスト"機能や、MMIに傾斜角度ディスプレイ機能を備えるなど、便利な機能を備えている。
インテリアは、A6アバントではオプションとなる"ファイングレインアッシュナチュラルブラウン"のウッドパネルが標準装着される。自然の風合いを残した仕上げがオールロードにお似合いだ。
さっそく走りだすと、アダプティブエアサスペンションの恩恵が身に染みる。スムーズで快適な乗り心地はA6アバントの上をいく仕上がりだ。
日本で販売される現行のA6シリーズでは、Sモデルを除いてエアサスが用意されない。街中では実に快適な乗り心地を示すが、スピード上げていくと、サスペンションはもう少し硬めのほうがいいかなぁ......と思うことがある。その点、このA6オールロードはスピードを上げてもフラットさを保ち、常に落ち着いた挙動を見せるのが実に好ましい。また、コーナーが続く高速道路では、サスペンションの設定を「ダイナミック」に変えてやればロールが抑えられ、スポーティな走りにも応えてくれる。
もちろん、凸凹道では車高を上げることで移動範囲が広がるわけで、一般道から高速道路、さらには凸凹道にいたるまで、あらゆる道に躊躇せず進んでいけるA6オールロードなのである。
細かいことをいえば、標準の255/40R20タイヤがやや重たく、道路の段差でショックを伝えてくることがある。それでもアダプティブエアサスペンションがショックを最小限に抑えてくれるのは助かる。
3.0 TFSIと7速Sトロニックの組み合わせは、とても力強く、その一方で実に動きが洗練されている。快適な乗り心地とあいまって、ラグジュアリーワゴンしての資質は十分高い。
驚くべきは、A6オールロードの価格設定。A6アバント 3.0 TFSI クワトロにオプションのLEDヘッドライト(30万円)が標準装着され、さらに、A6アバントでは選べないアダプティブエアサスペンションが標準で付くにもかかわらず、価格は24万円高の889万円なのだ。スペック表をよく見ると、エアコンの温度設定がが4ゾーン独立から2ゾーン独立にランクダウンされていたり、オプションの選択肢が少なかったりするが、それを考慮してもどう考えてもお得な価格設定と思えてならない。
ということで、A6アバントよりワイルドでアクティブなスタリングがお好みなら、このA6オールロードは断然"買い"だ。そういう僕もこのクルマにすっかり惚れ込んでしまった。
このまま乗り続けられたらいいのに......。
(Text by Satoshi Ubukata)