日本において、ビルシュタインショックアブソーバーの開発、生産、アフターサービスを担う「ビルシュタインテクニカルセンター」を訪問。その果たす役割に迫る。

画像1: 【BILSTEIN】ビルシュタインテクニカルセンターを訪ねる

世界中の自動車メーカーをはじめ、有名チューナーやレーシングチームが絶大な信頼を寄せるドイツのサスペンションメーカーがビルシュタイン(BILSTEIN)だ。

ビルシュタインは、1954年、創立者の息子ハンス・ビルシュタインが、フランスのド・ガルボン博士の考案した「ガス式封入式単筒ダンパー」の原理を応用したショックアブソーバーの実用化に成功。それが、1957年にメルセデス・ベンツに採用されたことをきっかけに、サスペンションのトップブランドとしての道を歩むことになる。

日本では、1978年に阿部商会が独占販売権を取得し、その普及に努めてきた。

「阿部商会がビルシュタインを扱うきっかけになったのが、当時、独占代理権を取得し、輸入販売を行っていたピレリタイヤと、スーパーカーブームでした」

そう語るのは、阿部商会で関東営業所部長を務める曽根 潔氏だ。

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「弊社は1971年にピレリタイヤの独占販売を開始しましたが、当時の日本ではピレリは知名度が低い状況でした。ところが、1974年に“スーパーカーブーム”が到来し、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラーティといった名だたるクルマがピレリタイヤを装着していたことで、一躍有名になりました。すると、スーパーカーが装着していたサイズのタイヤを日本車が履き始めたのです。195/50R15、215/60R13、235/60R14といったサイズです。従来に比べて幅の広いタイヤを装着するためには、アルミホイールと高性能ショックアブソーバーが不可欠。ショックアブソーバーに関しては、日本ではKONIが人気を博していました。そこで、弊社は新たなブランドを日本に紹介するために、1978年に、独占代理権を獲得するため、ドイツのビルシュタイン社を訪問しました」(曽根氏)

当時、ビルシュタイン社には、日本から同じような申込みが10社ほどあったという。その後、ビルシュタイン社の営業統括本部長が来日して各社を訪問し、最終的に選ばれたのが、1948年に創業し、自動車部品商として日本のモータリゼーションに貢献してきた阿部商会だった。以来、同社は41年にわたりビルシュタインの製品を販売、今後も日本市場への橋渡し役として、重要な役割を担うことになる。

その阿部商会が、日本におけるビルシュタインショックアブソーバーの開発、生産、アフターサービスを担う拠点である「ビルシュタインテクニカルセンター」を設立したのは2000年のことだ。

画像3: 【BILSTEIN】ビルシュタインテクニカルセンターを訪ねる

「ビルシュタインテクニカルセンター(以下BTC)は、現在、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、日本の5カ所にあり、その市場にあったビルシュタインショックアブソーバーの開発、生産、アフターサービスを行っています。日本以外の4拠点がビルシュタイン社の100%子会社であるのに対し、日本のBTCは阿部商会が100%運営しています」

そう教えてくれたのは、テクニカルセンター センター長の矢代義貴氏だ。

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さっそく、BTCを案内してもらうと、ビルシュタインショックアブソーバーを構成するパーツが所狭しと収められていることに驚く。

なんと、日本向けの商品は、基本的にはドイツ本国からパーツの状態で日本に送られ、ここBTCで組み立てられるというのだ。

ドイツからのパーツは品質検査後にストックされ、オーダーに応じてメカニックが1本1本組み立てていく。

ビルシュタインの心臓部といえるのがピストンバルブとプレート。ショックアブソーバーの中のオイルの流れをコントロールすることで、最適な減衰力を生み出す。

そのチューニングのノウハウを持つBTCでは、ショップ向けのカスタマイズも可能。さらに、日本の自動車メーカーの開発サポートを行うのもBTCの役目だ(自動車メーカーなどへのOE供給時にかぎり、生産はドイツ本国で行われる)。

アフターサービスもBTCの重要な仕事。ショックアブソーバーは走行距離が伸びるにしたがって徐々に性能が下がり、5万km程度でメインテナンスや交換が必要になる。BTCではオーバーホールを行うことで、愛車とビルシュタインショックアブソーバーを長く愛用できるようサポート。また、オーバーホール前と同じスペックではなく、仕様変更にも対応している。

ビルシュタインといえばモータースポーツシーンでの活躍を思い浮かべる人も多いだろう。BTCではそのサポートも行っている。下の写真は「TCRジャパンシリーズ」に参戦するゴルフTCRのショックアブソーバーで、オーバーホールのためにBTCに持ち込まれたという。

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さらに、BTCではビルシュタインショックアブソーバーを現車に装着して、フィッティングの確認も行っている。

フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェのユーザーにも人気のビルシュタインだけに、これらのブランドへの今後の展開についても話を伺った。

「現在主流となりつつある電子制御ショックアブソーバーに対応した商品を積極的に投入していきます。また、今後は、ローダウンをともなわない、純正形状のショックアブソーバーが求められることになると思いますので、純正よりも安価で高性能、オーバーホールも可能な商品で、皆さんのカーライフをサポートしていきたいと思います」(曽根氏)

「タイヤやオイル、バッテリーなどが消耗品という意識を持つ人は多いですが、ショックアブソーバーは無交換という人が案外多いですよね。より快適で安全な走行のために、約5万kmで交換またはオーバーホールという考えを広めていこうと思っています」(矢代氏)

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「クルマと離れたところでは、住宅用の制振ダンパーを手がけています。すでに日本でも販売しており、こうしたジャンルの製品も積極的に展開したいと思います」(矢代氏)

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日本のクルマ好きにとって、今後ますます目が離せない存在になりそうなビルシュタイン。安全で快適なカーライフ、そして、安心の生活をサポートしてくれるはずだ。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)

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