Volkswagenグループは2026年10月30日、Volkswagen、Škoda(シュコダ)、SEAT(セアト)/CUPRA(クプラ)、Volkswagen商用車で構成する「ブランドグループ・コア」の2026年1〜9月期の業績を発表した。販売台数と売上高は前年同期並みを維持したものの、営業利益は8.3%減少。厳しい収益環境を受けて、将来の電気自動車「ID. Golf」の開発を一時停止する方針も明らかにした。

画像: Volkswagenグループの2026年1〜9月期決算、営業利益8.3%減 「ID. Golf」の開発を一時停止へ

Volkswagenブランドの営業利益率は1.3%に低下

ブランドグループ・コアの2026年1〜9月期の販売台数は375万3000台で、前年同期比0.5%減。売上高は1064億1700万ユーロ(同0.5%減)と、ほぼ前年並みを維持した。

一方、営業利益は43億2600万ユーロとなり、前年同期の47億1900万ユーロから8.3%減少。営業利益率も前年同期の4.4%から4.1%へと低下した。

収益悪化の背景には、競争激化にともなう販売奨励金の増加や、販売車種構成の変化がある。さらに、事業再編にともなう費用や、Volkswagenオスナブリュックの売却計画、米国チャタヌーガ工場での「ID.4」の生産終了など、一時的な費用負担も業績を圧迫した。

とくに厳しい状況にあるのがVolkswagen乗用車ブランドだ。販売台数は前年同期比1.7%減の約224万台、売上高は同2.9%減の619億5300万ユーロ。営業利益は前年同期の14億7600万ユーロから8億1300万ユーロへと大幅に減少し、営業利益率は2.3%から1.3%に低下した。

ただし、前述の一時的な費用を除いた場合、Volkswagen乗用車ブランドの営業利益率は2.6%、ブランドグループ・コア全体では4.9%になるという。

EV需要の拡大が収益面では逆風に

今回の決算で注目されるのは、電気自動車(BEV)の販売拡大が、必ずしも収益改善につながっていないことだ。

ドイツ市場では燃料価格の高騰や政府の購入支援策などを背景にBEV需要が急増している。しかし、BEVは依然としてエンジン車に比べて利益率が低く、販売構成に占めるBEVの比率が高まることが、収益面ではマイナスに作用している。

Volkswagenブランドおよびブランドグループ・コアの最高財務責任者(CFO)を務めるデイビッド・パウエルズ氏は、次のように説明する。

「私たちの電気自動車は魅力的で、需要も大きく伸びています。しかし、現時点ではエンジン車と同じ利益率を確保できていません。そのため、BEVの販売比率が高まることがコスト面でのプレッシャーにつながっています。電気自動車でも必要な収益性を確保できるよう、製品コストの削減や規模の経済の活用、競争力のあるコスト構造の実現に取り組んでいます」

将来の「ID. Golf」は開発を一時停止

こうした厳しい経営環境を受け、Volkswagenは将来の「ID. Golf」の開発作業を一時停止することを決めた。

パウエルズCFOは「市場環境は依然として非常に厳しく、一時的な費用負担も業績を圧迫しています。だからこそ、これまでの方針を着実に進め、優先順位をより明確にすることが重要です」と述べ、コスト構造の改善や運転資本の最適化、投資規律の徹底を進める考えを示した。

その具体策のひとつが、ID. Golfの開発の一時停止だ。必要な投資を確実に確保できる状況になるまで、開発作業を見合わせるという。

ただし、今回の発表はID. Golfの開発中止を意味するものではなく、開発再開の時期についても明らかにされていない。

Volkswagenグループは2024年末に合意した経営再建計画「Zukunft Volkswagen(Volkswagenの未来)」に沿って、引き続きコスト削減を進める。早期退職制度の拡充にともなう追加の再編費用も見込んでいる。

Škodaは好調、営業利益率8.3%を確保

ブランドグループ・コアのなかで好調を維持しているのがŠkodaだ。

2026年1〜9月期の販売台数は前年同期比3.4%増の約89万9000台、売上高は同3.5%増の231億3200万ユーロとなった。営業利益も同7.4%増の19億2300万ユーロに拡大し、営業利益率は前年同期の8.0%から8.3%に改善した。

電気自動車の販売も好調で、BEVの顧客向け納車台数は前年同期比41.3%増加。なかでも「Škoda Elroq」はVolkswagenグループでもっとも販売台数の多いBEVとなった。

Volkswagen商用車も収益性を大きく改善した。販売台数はほぼ横ばいだったものの、営業利益は前年同期の2億2000万ユーロから4億6500万ユーロへと倍増以上となり、営業利益率は1.8%から3.8%に上昇した。コスト管理の徹底が利益改善につながったという。

一方、SEAT/CUPRAは厳しい状況が続く。営業利益は前年同期の1600万ユーロから600万ユーロに減少し、営業利益率は0.1%にとどまった。

「ID. Tiguan」や小型EVファミリーに期待

厳しい業績が続く一方、Volkswagenグループは新型EVの投入によって販売拡大を目指している。

その中心となるのが、数週間前に世界初公開された新型「Volkswagen ID. Tiguan」と、コンパクトな電気自動車を展開する「Electric Urban Car Family」だ。

後者は「Volkswagen ID. Polo」「Volkswagen ID. Cross」「Škoda Epiq」「CUPRA Raval」の4モデルで構成され、発表後まもない段階ですでに合計15万台の受注を獲得したという。

これらの小型EVはSEAT/CUPRAがプロジェクトを主導し、スペインのマルトレル工場とパンプローナ工場で生産される。ブランド間で開発や生産を共通化することで、製品ライフサイクル全体を通じて約6億ユーロの相乗効果が期待されている。

ブランドグループ・コアでは、2026年半ばからブランド横断での意思決定を強化する新たな運営体制を導入しており、今後もエンジン車とEVの生産・販売構成の最適化や、製品コストの削減を進める方針だ。

BEVへの移行を加速させながら、いかに収益性を確保するか。今回の決算は、Volkswagenグループが直面する課題をあらためて浮き彫りにした。ID. Golfの開発一時停止は、その難しさを象徴する動きといえそうだ。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。

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