2026年6月3日、SEAT & CUPRAはスペイン・マルトレル工場で「CUPRA Raval」と「Volkswagen ID. Polo」の生産を開始したと発表した。Volkswagen Groupの小型EV戦略「Electric Urban Car Family」の中核を担う2モデルの量産開始により、同工場は欧州向け電動車両生産の重要拠点として新たな段階へと進む。

生産開始を記念した式典には、スペインのペドロ・サンチェス首相をはじめ、Volkswagen Group CEOのオリバー・ブルーメ氏、VolkswagenブランドCEO兼Brand Group Core責任者のトーマス・シェーファー氏、SEAT & CUPRA CEOのマルクス・ハウプト氏らが出席した。
今回始動したElectric Urban Car Familyは、Volkswagen Groupの量販ブランド群を統括するBrand Group Coreが推進する戦略的プロジェクトであり、SEAT & CUPRAが開発と生産の中心的役割を担う。共通プラットフォームを活用しながら、3ブランド4モデルを展開することで開発・生産コストを抑制しつつ、それぞれ異なる顧客ニーズに対応することを目指している。
SEAT & CUPRAによると、このプロジェクトは同社がVolkswagen Group内で初めて主導する大規模なクロスブランド開発案件であり、今後はMEB21プラットフォームの開発も主導していくという。トーマス・シェーファー氏は、このプロジェクトによって約6億ユーロ(約990億円、1ユーロ=165円換算)のコスト削減効果を実現したと説明し、欧州における電動モビリティの普及に向けた重要な基盤になるとの考えを示した。
今回生産が始まったVolkswagen ID. Poloは、累計販売台数2000万台以上を誇るPoloの完全電動版として位置づけられるモデルである。コンパクトなボディサイズと実用性を両立しながら、WLTPモードで最大454kmの航続距離を実現。さらに、自動信号認識機能を備えたConnected Travel Assistやワンペダルドライブ機能、外部機器へ給電できるVehicle-to-Load(V2L)機能などを採用し、小型EVセグメントにおいて先進的な技術を投入する。

一方のCUPRA Ravalは、全長約4mのコンパクトEVながら、CUPRAらしいスポーティなデザインとドライバー志向のインテリアを特徴とする。MEB+プラットフォームをベースに開発され、3Dニット製のCUP Bucketシートやドアトリムのダイナミックライトプロジェクションなど独自装備を採用。航続距離は約450kmを確保し、2026年夏の市場投入が予定されている。

また今回の生産開始は、マルトレル工場の大規模な電動化投資の成果でもある。SEAT & CUPRAは同工場への投資額が30億ユーロ(約4950億円)を超えたことを明らかにしており、生産設備だけでなく企業文化や開発体制の変革も進めてきた。さらに同社は、Volkswagen GroupやPowerCoなどと連携する「Future: Fast Forward」プロジェクトを通じて、スペイン国内の電動化に総額100億ユーロ(約1兆6500億円)を投資している。
マルトレル工場は今後、EVだけでなくハイブリッド車や高効率内燃機関車も生産する柔軟な生産体制を維持しながら、Volkswagen Groupの欧州向け電動車戦略の中核拠点として機能する見通しだ。欧州メーカー各社が中国メーカーとの競争激化に直面するなか、Volkswagen Groupは「欧州で開発し、欧州で生産する手頃なEV」の供給体制を強化することで、市場競争力の向上を図る。
今回のID. PoloとCUPRA Ravalの生産開始は、単なる新型車の量産開始にとどまらない。Volkswagen Groupが進める小型EV普及戦略の本格的なスタートであり、スペインが欧州電動化の重要拠点として存在感を高める象徴的な出来事といえそうだ。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。


