1月9日から始まる「東京オートサロン2026」に、フォルクスワーゲン ジャパン(VWJ)が、電動GTIの将来像を示す「ID.GTI concept」を日本初公開する。ID.GTI Conceptとはどんなクルマなのか、予習しておこう。

画像1: ID.GTI conceptが描き、ID.Polo GTIが現実化する“次の50年”

GTIという3文字は、半世紀にわたりVolkswagenのスポーツマインドそのものを体現してきた。1976年に初代「Golf GTI」が登場して以来、GTIは単なる高性能グレードではなく、日常で使えるコンパクトカーに運転する歓びを持ち込む存在として独自の地位を築いてきた。そのGTIが、いま電動化という大きな転換点を迎えている。

2023年9月、ドイツ・ミュンヘンで開催されたIAA Mobilityで世界初公開されたID.GTI conceptは、その転換を象徴する存在である。このコンセプトカーは、GTIをBEVへと置き換えるための実験車ではない。Volkswagen自身が「量産化を前提としたGTIの将来像」と位置づけているように、ID.GTI conceptは、GTIという概念を電動時代にどう継承し、どう進化させるのかを具体的に示すための提示であった。

画像2: ID.GTI conceptが描き、ID.Polo GTIが現実化する“次の50年”

重要なのは、ID.GTI conceptが「電動だから速い」という単純な文脈で語られていない点にある。GTIの本質は、最高出力や0-100km/h加速の数値ではなく、前輪駆動ならではの軽快さ、ドライバーが意のままに操れる感覚、そして日常とスポーツの境界を自然に行き来できるキャラクターにある。ID.GTI conceptは、その本質をBEVという新しい技術基盤の上で再構築しようとしている。

このコンセプトの基礎となっているのが、「ID.2all」である。手頃な価格帯の電動コンパクトとして構想されたID.2allは、前輪駆動レイアウトと明快なプロポーションを持ち、GTI化を前提に設計された素性の良さを備えていた。Volkswagenのデザイン責任者であるアンドレアス・ミント氏は、ID.2allの初期スケッチ段階からGTI派生モデルを念頭に置いていたと語っており、ID.GTI conceptは偶発的に生まれた存在ではない。

画像3: ID.GTI conceptが描き、ID.Polo GTIが現実化する“次の50年”

技術的な中核をなすのが、Vehicle Dynamics Managerによる統合制御である。ID.GTI conceptでは、電動モデルとしては初めて、Golf GTIなどに採用されてきた電子制御フロントアクスルディファレンシャルロックが組み合わされている。BEVの特性である即応性の高いトルク制御と、前輪の駆動力配分を精密に制御するこのシステムを統合することで、GTIらしいトラクション性能とコーナリング時の安定性を両立させている。

ここで象徴的なのが、「I」という文字の再解釈である。かつてGTIのIは「Injection」、すなわち燃料噴射を意味していた。しかしID.GTI conceptでは、このIが「Intelligence」、すなわち知能化された制御技術を指すものとして再定義されている。電動化によって駆動系とシャシー制御の自由度が飛躍的に高まったことで、GTIは新たな進化段階へと踏み出したと言える。

その思想を体感的に示す装置が、センターコンソールに配置されたGTI Experience Controlである。このコントローラーを操作することで、ドライバーはパワートレインやシャシー、ステアリングの特性だけでなく、サウンド演出や擬似的なシフトフィールに至るまで、GTIのキャラクターを選択できる。注目すべきは、その設定が抽象的なスポーツモードではなく、1976年の初代Golf GTIや1980年代の16Vモデル、さらには2000年代初頭の記念モデルといった、具体的なGTIの歴史に基づいている点である。

これは単なる懐古趣味ではない。GTIの進化の軌跡をドライバー自身が体験することで、「GTIらしさとは何か」を再確認させる仕掛けでもある。ID.GTI conceptは、GTIの歴史を展示するショーケースではなく、走らせることで理解させる“教材”のような役割も担っている。

エクステリアデザインに目を向けると、ID.GTI conceptはひと目でGTIとわかる要素を数多く備えている。赤いアクセントラインが入ったフロントフェイスや、ハニカム構造のエアインテーク、ブラック基調のスプリッターやディフューザーなどは、歴代GTIの文法を踏襲しつつ、BEVならではのクリーンな造形と融合している。全長4104mm、ホイールベース2600mmという数値が示すように、コンパクトでありながら踏ん張りの効いたプロポーションもGTIらしさを強調する。

インテリアにおいても、GTIの伝統は巧みに現代化されている。ゴルフボールを想起させるモチーフ、チェック柄を再解釈したスポーツシート、12時に位置マーカーがつくステアリングなど、歴代GTIファンであれば思わず頷く要素が随所に散りばめられている。一方で、デジタルコクピットやARヘッドアップディスプレイといった先進装備は、GTIが単なるノスタルジーに留まらないことを強く印象づける。

このID.GTI conceptで示された思想と技術を、最初に市販モデルとして具現化するのがID.Polo GTIである。2025年のIAA Mobilityではカモフラージュ仕様で公開され、2026年夏に世界初公開が予定されているこのモデルは、「史上最もパワフルなPolo GTI」と位置づけられている。MEB+プラットフォームを採用し、前輪駆動レイアウトを維持したまま、最高出力166kW(226PS)を発揮する見込みだ。

ID.Polo GTIは、ID.GTI conceptが描いたビジョンを、現実的なサイズと価格帯に落とし込む役割を担う存在である。初代Golf GTIがそうであったように、GTIの革新は常にコンパクトクラスから始まってきた。電動GTIの時代においても、その原則は変わらない。

画像9: ID.GTI conceptが描き、ID.Polo GTIが現実化する“次の50年”

ID.GTI conceptとID.Polo GTIが示しているのは、GTIが電動化によって性格を変えるのではなく、むしろ本質をより明確にするという方向性である。軽量な前輪駆動、緻密に制御されたシャシー、そして日常とスポーツを自然につなぐキャラクター。それらは内燃機関に依存しないGTIの核心であり、BEVという新しい技術によって、より純度の高い形で再構築されつつある。

GTIは終わらない。ID.GTI conceptは、そのことを明確に示した。そしてID.Polo GTIは、その約束が現実のものとなる第一歩である。電動化時代においても、GTIは引き続き「運転する歓び」を語る存在であり続けるだろう。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。

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