2025年9月3日、フォルクスワーゲンはEVの新たなネーミング戦略を発表し、従来の内燃機関モデルで定着した車名を電動モデル「ID.」シリーズへ順次展開していく方針を明らかにした。その第一弾として、コンセプトカー「ID.2all」の量産版を「ID.Polo」として2026年に発売する。さらに「ID.Polo GTI」や「ID.Cross」といったモデルも投入される予定で、電動化時代においても親しみのある名称を引き継ぐことで、支持を得たい考えだ。

画像1: VWがEVの新ネーミング戦略を発表! 第一弾は「ID.Polo」

伝統ある名前を有効活用

これまで「ID.」ファミリーは「ID.3」「ID.4」「ID.7」といった数字を冠した名称で展開され、従来の「Golf」や「Polo」といった定番名との間に線引きがされてきた。しかし今回の発表では、フォルクスワーゲンのベストセラーモデルに用いられてきた車名を電動モデルにも転用する戦略が示された。フォルクスワーゲン ブランドCEOのトーマス・シェーファー氏は「モデル名は人々の記憶に深く根付いており、品質やタイムレスなデザイン、誰もが享受できる技術を体現してきた。だからこそ、その名を未来へとつなげていく」と述べ、既存のネーミングの持つ価値を電動時代にも生かす姿勢を強調した。

量産第1号となるID.Poloは、1975年に初代が登場したPoloの誕生50周年にあわせて2026年に発売される。コンパクトカーとしての伝統を受け継ぎながらも、最新のEV技術を組み合わせ、品質や安全性、技術の大衆化といったPoloのブランド価値を電動化で再定義する。セールス・マーケティング・アフターセールス担当取締役のマルティン ザンダー氏は「Poloの名は信頼性や個性、歴史を象徴する。だからこそ電動モデルにも、人々の生活に寄り添う名前を与える」と述べ、名称の持つ感情的な価値に言及している。

ID.Polo GTIとID.Crossも投入

2026年には、もうひとつの電動小型車としてID.Polo GTIが登場する予定だ。これはID.GTI Conceptをベースとする量産モデルで、GTIブランドを電動化時代に継承する役割を担う。フォルクスワーゲンは「卓越したダイナミクスと走る楽しさを提供する」と説明しており、従来のGTIシリーズと同様に、走行性能を重視したスポーティなEVとして位置付けられる。

さらに、電動コンパクトSUVのID.Crossも2026年末に投入される計画だ。これはID.CROSS Conceptをベースとした量産モデルで、既存の「T-Cross」の電動版として開発が進められている。SUV需要の高まりを背景に、より幅広い層にEVを浸透させる狙いが見える。

ID.PoloとID.Polo GTIは現在まだカムフラージュが施された状態だが、9月8日から14日までミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2025」で世界初公開される予定だ。さらにその前日の7日にはID.Cross Conceptがワールドプレミアを迎える。フォルクスワーゲンにとっては、コンパクトEVのラインアップ拡充を印象づける絶好の場となる。

画像: ID.Polo GTIとID.Crossも投入

新ネーミングの意味するものは

フォルクスワーゲンは2018年に「ID.」シリーズを立ち上げ、「ID.3」を皮切りに「ID.4」「ID.5」「ID.7」などを展開してきた。特に「ID.7」はドイツおよび欧州市場でセダン/ワゴンとして高い販売を記録し、EVラインアップの中心的存在となっている。しかし「数字のみのネーミングはわかりにくい」との声もあり、従来の車名を引き継ぐ新戦略は顧客視点での改良といえる。

同社はID.PoloやID.Crossを通じて電動モデルの価格をより手の届きやすい水準に引き下げる方針を示しており、ソフト素材の採用や物理ボタンとデジタル操作の組み合わせなど、品質や操作性の改善にも取り組んでいる。これは顧客からのフィードバックを反映した結果であり、実用性とユーザビリティを重視した進化といえる。

今回の発表は、フォルクスワーゲンが電動化時代においてもPoloやGTIといった伝統的なブランド資産を活用し、顧客に親しみやすく、理解しやすい製品ラインを築こうとする取り組みである。電動小型車市場にID.Poloを投入し、さらにスポーティなID.Polo GTIやSUVのID.Crossを展開することで、EVの選択肢を拡大させる。2026年は、フォルクスワーゲンがEV市場で新たな局面を迎える重要な年となりそうだ。

画像: 新ネーミングの意味するものは

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。

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