カルト的人気を誇るコンパクトカーにフォルクスワーゲンはさらなる磨きをかけた。われわれは、20PSアップして265PSとなった「Golf GTI」をテストした。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

画像1: 【Auto Bild】カルト的人気を誇るホットハッチ「Golf8.5 GTI」をテスト

カルト的な人気を博すことは容易ではなく、その地位を維持することは本当に難しい。Golf GTIは1976年以来、このことをうまくやってきたが、現在、内燃エンジンを搭載したスポーティなコンパクトカーの先行きは暗い。

そのため、フォルクスワーゲンは、標準モデルの改良に加えて、自社の象徴であるGTIにアップデートを施した。

小さな修正が外観を洗練させる

これは、出力が245PSから265PSに向上したことにもはっきりと反映されている。もちろん、それにはコストがかかる。新型Golf GTIはの価格は45,655ユーロ(約750万円)からだが、4,750ユーロ(約77万円)の追加料金のうち2,250ユーロ(約36万円)は、今では標準装備となったDSGの価格だ。残りの2,500ユーロ(約40万円)は、果たしてそれに見合うだけの価値があるだろうか?

Golf GTIはは見た目も従来どおりで、ひと目でそれとわかる。フロントスカートとデイタイムランニングライトが新しくなり、VWのロゴは暗闇の中でとてもお洒落に光る。それ以外はほとんど外観に変更はない。もちろん、リヤライトも新しいレイアウトで輝き、クイーンズタウンホイールが新しい足元を演出する。

19インチのホイールは追加で1,630ユーロ(約26万円)かかるが、これはGolf5 GTIのデトロイトホイールを彷彿させるものとなっている。しかし、アルファロメオのクラシコホイールとも似ている。

インテリアは大幅にアップグレード

広さや座り心地はこれまでどおりだが、インテリアは大幅にアップグレードされている。センターに新たに搭載された12.9インチのタッチスクリーンは、上部(自由に設定可能)と下部に常に表示されるバーがあり、直接アクセスできる。これは特に、MIB4システムが快適に素早く反応するため、非常に便利だ。

ステアリングホイールには再び本物のボタンスイッチが装備され、簡単に操作できるようになった。品質はまあまあだが、素材の見た目や感触は部分的にかなりシンプルだ。改善の余地はまだある。

265PSでさらに俊敏に

電子制御の微調整と20PSのパワーアップにより、新型Golf GTIはは100km/hまで5.8秒で加速し、200km/hまで21.3秒で到達する。ただし、最高速度(250km/h)に達するまでは、明らかに伸び悩む傾向がある。

画像1: 265PSでさらに俊敏に

タイトコーナーからの加速でもパワーのロスはほとんどない。適温であれば、ブリヂストン製ポテンザS005タイヤは文字どおり路面に貼りつく。アンダーステアは意図的に引き起こす必要がある場合がほとんどだが、注意深くカーブに身を投じれば、理想的なラインを外すことはほとんどないだろう。改良されたドライビングダイナミクスマネージャーと電子制御ディファレンシャルロックを組みあわせることで、以前よりもさらに優れた性能を発揮する。

もちろん、標準装備のバランスがとれたプログレッシブステアリングも、高いレベルのドライビングプレジャーに貢献している。十分ダイレクトで、心地よい抵抗感があり、信頼性の高いフィードバックを提供する。安定性が高く、リニアなブレーキも賞賛に値する。

画像2: 265PSでさらに俊敏に

ドライバーは常に良好なペダルフィーリングを体感でき、重要な場面では、ブレーキが温まった状態で100km/hから停止するまで33.4mしか必要としない。ディスクが冷えている場合は、この操作を行うのに34.6m必要だが、それでも十分に許容範囲内だ。

快適性の面では、改良型Golf GTIは明らかに万人を喜ばせようとしている。アダプティブシャシーコントロール“DCC”(865ユーロ=約14万円の追加料金)を装備すれば、日常的な運転では一切の不満は生じないが、必要に応じて十分に引き締まり、邪魔者にならないようにしている。そして、7速DSGは、高速かつ目立たないギヤチェンジにより、ほぼすべてのタイプのドライバーに適合する。

総合評価(5点満点)

ボディ(4点)
スペースをうまく活用したコンパクトカー、1.6トンのけん引能力、ダンパーなしボンネット。

パワーユニット(4.5点)
今までで最も速いベースモデルGTI、低回転域からのレスポンス良好、DSGは高速かつ機敏、燃費はまあまあ。

ドライビングダイナミクス(4.5点)
運転しやすく安全、タイトコーナーでもトラクション良好、ブレーキも信頼性あり、ステアリングも良好。

コネクテッドカー(4点)
音声コントロール良好(ChatGPT使用)、モニター鮮明、ワイヤレス電話ペアリング、衛星マップなし。

快適性(4点)
操作性が向上、DCCスプリングは硬め、シートはまあまあ、19インチホイール装着でロードノイズがやや増加。

コスト(2.5点)
5万ユーロ(約820万円)の壁をすぐに突破、メンテナンス/保険はまあまあ、保証期間は2年のみ。

感情が揺さぶられない? 確かにGolf GTIは本物であり、スポーツモードでも控えめなダイナミックなサウンドを奏で、決して野性的な一面を見せることはない。しかし、それこそがまさにこのクルマの最大の強みだ。単純に速く、恥ずかしくなることもなく、とても楽しい。

ゴルフGTIは高価だ

ベース価格の45,655ユーロ(約750万円)でも、多くの人がため息をつく。黒いルーフ(1,320ユーロ=約21万円)、19インチのクイーンズタウンホイール(1,630ユーロ=約26万円)、そしていくつかの快適装備を追加したわれわれのテスト車の請求額は55,175ユーロ(900万円超)だった。

結論

半世紀近くにわたり、フォルクスワーゲンはGTIという3文字を大切に育ててきた。そしてそれは良いことだ。最新のフェイスリフトとわずかな性能向上により、コンパクトスポーツカーへの関心は高いまま維持されている。暴れん坊の気配は微塵もなく、相変わらず速く、機敏なコンパクトカーである。他の車種の方が、鳥肌が立つような体験はできるかもしれないが、これ以上に楽しいクルマはほとんどない。

AUTO BILDテストスコア:2-

画像: 結論

(Text by Berend Sanders and Gerald Czajka / Photos by Christoph Börries [AUTO BILD])

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