フォルクスワーゲンのSUVである「Tiguan」と「Touareg」のRモデルを比較する。果たして勝者は?

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

画像1: 【Auto Bild】Tiguan R vs Touareg R

5m級のプレミアムSUVとコンパクトSUVの対決。プレステージボンバーとエブリマンズSUVの比較、そんなところだろうか。乾燥重量はそれぞれ、Touareg Rの2,510kgに対して、Tiguan Rは1,727kgである。最高出力は462PSと320PS。果たして、こんな比較テストに意味はあるのだろうか? そして、フェアなのだろうか? もちろん、意味があるし、フェアだ!(笑)

Touareg RとTiguan Rは、それぞれのリーグで、最大の楽しさを表現している。そして、われわれは知りたかったのだ。果たして、どれくらい楽しいのかを。まずは「トゥアレグ」から。カタログによれば、スポーティな印象はないようだ。プラグインハイブリッドと書いてある。通常は、プラグインハイブリッドモデルは、環境に配慮した車や落ち着いた社用車のイメージの車を指す。しかし、Rモデルにそれを組み合わせることが正解だとフォルクスワーゲンは考えたのだ。

画像2: 【Auto Bild】Tiguan R vs Touareg R

エンジンとモーターによる強烈な加速

画像1: エンジンとモーターによる強烈な加速

電気モーターとV6ガソリンターボエンジンは密接に連携している。フォルクスワーゲンはTouareg Rのシステム出力を462PSと発表している。この2基のパワーユニットで最大700Nmのシステムトルクを発生するという。むろん、この極限のパワーは、「永遠に」続くわけではない。

画像2: エンジンとモーターによる強烈な加速

トランクフロアの下にある14.3kWhのバッテリーパックは、最大限の出力を発揮するために充電が必要だ。しかし、我々の測定では、Touareg Rのドライビングバリューは良好なものだった。0-100km/hのスプリントは5.1秒、200km/hに到達するまでに18.6秒を要するだけだ。

Touareg Rには必ずしもコーナーは似合わない

コンチドロームのハンドリングコースでは、この加速力とトラクション性能を十分発揮することができる。しかし、コーナリングでは、巨大なTouareg Rはそれほど軽やかな動きはできない。重いクルマは、横方向のコントロールに苦労している。遠心力でタイヤがいかに苦しんでいるかがよくわかる。しかし、コーナーにおいては驚くほど傾きを抑えて回ることができる。

ESCの強い規制により、高速ラップは地味だが安全なものになる。ブレーキは、100km/h時から完全停止まで36m弱と、完璧に機能しているとは言い難いが、間違いなく確実な制動力を提供する。

何周か走っても、フロントブレーキに標準のパーフォレーテッドディスクの効果は衰えない。その結果、Touareg Rは適度なスピードでコースを飛び回る。しかし、はっきりいって、テストコースではTiguan Rの方が圧倒的に速く感じた。それはすでに小さなSUVの疾走感にも表れている。Tiguan Rは0から100km/hまでのスプリントタイムを4.8秒で達成した。通常モデルのTiguanも当然より勢いよくカーブに突っ込むことができる。そして、よりタイトなコーナーにアプローチしても、アンダーステア傾向は少ない。

Tiguan Rは約800kgも軽い

画像1: Tiguan Rは約800kgも軽い

しかも、Tiguan Rは、Touareg Rと比べて、約800kg(!)もの重量差があって、想像できないほど軽く感じられるのだ。また、コンパクトSUVはブレーキング時にも同じような感覚を伝えてくれる。

画像2: Tiguan Rは約800kgも軽い

357mmディスクとブルーに塗装された2ピストンブレーキキャリパーを備えたシステムは、とにかく制動力が豊富だ。システムが熱を帯びている状態でも、Tiguan Rは安定した力で減速してくれる。コンパクトSUVは100km/h時から34.2mで完全停止する。

4気筒ターボでよりスポーツ性を高める

また、小さいフォルクスワーゲンには主観的なメリットもある。Tiguan Rのエンジンは、よりスポーティなサウンドを奏で、スロットル操作に躍動感があり、レブカウンターのレッドゾーンまで容易に回転させることができる。搭載されたターボチャージャー付き2.0 TSI 4気筒エンジンは、「Golf R」にも採用されている。しかし、ドライビングフィールの面では、Tiguan Rは電動モーターとV6をブレンドしたTouareg Rのパワフルさには敵わない。

画像: 4気筒ターボでよりスポーツ性を高める

Tiguan Rのトランスミッションは、変速時にロスなく素早く作動するが、時折、その反応がやや遅れているように感じられることがある。コースティング中にアクセルを踏み切ると、キックダウンの指令が実際に大きな前進力に変わるまでに時間がかかりすぎてしまう。Touareg Rは、パワフルなドライブユニットと、より素早く作動する8速オートマチックの組み合わせにより、これをより確実にこなすことができる。しかし、最終的には軽いほうのTiguan Rが勝利することになるのは明らかである。

第2位 350点満点中226点:Touareg R

大きくて上質なクルマほど、自動車としての正解を出しにくい。それでも夢のSUVだ。

画像: 第2位 350点満点中226点:Touareg R

第1位 350点満点中251点:Tiguan R

軽快さ、楽しさ、軽さ、そしてもちろん「よりお求めやすさ」。Tiguan Rの走りは、スムーズでスピーディーだ。

画像: 第1位 350点満点中251点:Tiguan R

結論

SUV、強力なエンジン、プレミアムガソリン……。確かに理不尽だが、エンターテインメントだ。Touareg Rは凛とした速さと軽さで、Tiguan Rは生き生きとしたパフォーマンスで、楽しませてくれた。それでも2台とも、スポーティな意味でも、よりインテリジェントな、つまり優れたクルマといえるだろう。

画像: 結論

(Text by Jan Horn and Mirko Menke / Photos by autobild.de)

画像17: 【Auto Bild】Tiguan R vs Touareg R

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