ゴルフ1 GTIピレリ(1983年)は112PSのパワーとPホイールを備えた特別なGTIだ。現在も高い人気を誇っているが、そのオリジナルコンディションの1台が現在販売されている。しかもその価格は決して高価なものではない。
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
特徴的なピレリホイールを備えたこのクルマは、伝説的な初代GTIのリミテッドエディションだ。その車はオリジナルの状態で、オリジナルの塗装が施されている。価格は24,750ユーロ(約320万円)で、ベルギーのディーラーで販売されており、走行距離は90,108kmとなっている。
※写真のクルマとは異なります
38年の時を経て、唯一無二の状態に
そのゴルフGTIには、これまでに2人のオーナーがいた。最初のオーナーは、2010年まで大切に乗っていた。ディーラーによれば、この車は100%オリジナルの状態で提供されているとのこと。サビはない。
ゴルフGTIピレリには、112PSの当時としてはパワフルな1.8L 4気筒が搭載されていた。シフトチェンジは、もちろん手で行う。
ノーマルのゴルフ1とのビジュアル的な違いは、赤いグリルまわり、GTIのレタリング、フロントスポイラーなどで、とても印象的かつ明確だ。
ゴルフGTIピレリの最大の特徴は、もちろん、「P」がデザインされたホイールだ。今や正真正銘のコレクターズアイテムであり、初代のGTIを視覚的に引き立てるモデルとして、多くの人に求められているがこの1台である。
インテリアでは、このピレリは80年代初頭の魅力を醸し出している。角張ったコックピットの景観は、スポーツステアリングホイール、レッドが鮮やかなスポーツシート、ゴルフボールのギアノブによって、より一層引き立てられている。一見、9万kmの距離を使い込まれているようには見えないインテリアだ。
24,750ユーロ(約320万円)がゴルフ1 GTIピレリの価格だ
ゴルフ1 GTIピレリは、「GTI」という文字の組み合わせをコンパクトクラスに定着させた。
ベルギーのディーラーは、このゴルフに24,750ユーロ(約320万円)のプライスボードを掲げる。一見、高額に思えるが、クラシック データ社によれば、中古車市場でのゴルフ1 GTI
ピレリは、コンディション1で、29,900ユーロ(約392万円)、コンディション2で、19,500ユーロ(約255万円)で取り引きされているという。
コンディション3であっても11,400ユーロ(約150万円)が必要となるということを考慮しても、この24,750ユーロ(約320万円)という価格は、現実的であるといえよう。
履歴を証明するすべての書類も揃っており、オリジナリティにこだわる人には、このゴルフはとても興味深いものだ。
納車前には大掛かりな整備が行われ、ディーラーでは1年間の保証を付けることを約束している。
フォトギャラリーとともに綴るVWゴルフ1 GTIピレリ物語
1983年のゴルフGTIピレリは、ゴルフ1 GTIの頂点に立つモデルだ。すでに1.8Lの大型4気筒で112PSを発揮していた。当時のコンパクトクラスにしてはかなりのパワー。現行型でもっともパワフルなGTIクラブスポーツは300PS。確かに、ものすごいパワーだ。しかし、83年式のGTIの車重は900kgを切っている。われわれは、ウォルフスブルクで黄金のピレリ製GTIを走らせ、36年前のオリジナルGTIに驚きを禁じ得なかった。
改めて紹介する必要があるだろうか? しかし、GTIピレリのエクステリアを少し見て回るのは悪くないと思う。なぜなら、ノーマルのゴルフ1との外観上の大きな違いはほとんどないからだ。赤いグリルまわり、GTIのロゴ、フロントスポイラーなどがある。リヤでは、窓のまわりをマットブラックに塗装したテールゲート、左後方に覗く見慣れた怪しげな太いエキゾースト、そしてGTIのレタリングがそのまま再現されている。
そして、GTIピレリの特徴といえば、やはり「P」の文字が刻まれたホイールだろう。初代GTIをより魅力的に見せるために、今ではコレクターズアイテムとして注目されている。
インテリアは、70年代後半から80年代前半の魅力を再現している。角張ったコックピットの景観は、スポーツステアリングホイール、陽気でカラフルなスポーツシート、ゴルフボールのシフトノブによって洗練されている。そうでなくてはならないのだ。すべてが機能し、角張ったインストルメントウィンドウのカウンターには90,108kmの走行距離が表示されているが、GTIは止まっていても若さを感じさせる。
イグニッション&スタート! ボンネットの中で穏やかな音がする。1速のギアがスムーズに入る。GTIピレリは何の問題もなく走り去っていく。背の高いドライバーでも、適切なシートポジションを見つけることができる。ただし、ステアリングホイールは現在の車よりも上を向いているので、80年代の人間工学に少し慣れておく必要がある。ステアリングは、たとえ高いギアであっても正確に機能する。
スピードを出してコーナリングするとシャシーが路面の端に寄り、バンプを簡単に跳ね返し、良いフィードバックを与えてくれる。だからダンパーの調整は一切なく、1つのサスペンション設定で十分なのだといえる。
エンジンは、エンジン回転数が上がるにつれて、900kg弱のゴルフをコーナーから遊び心を持って引っ張り出す。その感覚は、きれいに、そしてやる気を持って回転が上がる。マニュアルシフトの5速トランスミッションは、メカを感じさせるものだ。確かに、シフトチェンジは少し長い。そう、必要な力が異常に小さい。しかし、その分、エンジンを回し続けるのが楽しい。
では、GTIピレリはGTIクラブスポーツに追いつくことができるのか? もちろん、性能、安全性、主権などの面で、40年という年月の間に進歩がないわけではない。しかし、重要なのは数値や性能だけではなく、総合的なパッケージなのである。そして、GTIピレリは純粋にスポーティな走りを実現している。今でも。
(Text by Matthias Techau, Peter R. Fischer / Photos by Volkswagen AG)
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