総合的に判断して、「アルテオン」はフォルクスワーゲンのトップモデルだ。2016年に生産中止となった素晴らしい「フェートン」のあとを継ぐのは、SUVの「トゥアレグ」ではなく、アルテオンだといえる。
320PSの新型アルテオンRの技術はMQBモジュラーシステム、つまりゴルフから来ている。それは4.87mのセダンで活かせるのか? さっそく試してみよう。
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
![画像1: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/3044b67b5b6e0969da03d85428ac423ef70e6168.jpg)
全長4.87mのアルテオンは、十分なスペースを確保している
アルテオンの外観は、特にこの「R」バージョンで非常に優れたものになっている。ワイドなグリル、ワイドなボンネット、伸びやかなシルエット、そしてロングテール。フラットで、スクワット(低姿勢)で、エレガントだ。
それでいて、このハッチバックはかなり実用性の高い船だ。それに応じて、提供されるスペースもゆったりとしている。お勧めは運転席のエルゴコンフォート(ErgoComfort)シートだ。大きくて形がよく、横方向のサポートも充実している。
リヤシートも見晴らしがよく、足元のスペースも広いのだが、背の高い人は少し頭を倒さなければならない。
![画像: フラットでスクワットでエレガント。VWはアルテオンRに非常に魅力的なボディを与えた。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/8ed90aa371e50b272173a6bf8b1b4d3fd0d24042.jpg)
フラットでスクワットでエレガント。VWはアルテオンRに非常に魅力的なボディを与えた。
それに反して、かつてフォルクスワーゲンの不動の強みであった操作系は、批判を我慢しなければならないだろう。
タッチスクリーン(Discover Pro)は反応が遅く、ボリューム用の回転式ノブはなく、操作メニューも控えめに言っても分かりづらく、音声コントロールはBMWやメルセデス・ベンツに比べて1世代遅れている。
![画像: 全長4.87mのアルテオンは、十分なスペースを確保している](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/d92bd0f6a27120629645659a2fa8e15917cf902b_xlarge.jpg)
スポーツカーと同等のパフォーマンス
また、ステアリングホイール上の多くのボタンは単純に実用的ではなく、操作ミスも珍しくない。加えて、クライメートコントロールなどの感度の悪いスライダーも操作しづらい。
アルテオンRには、2.0L TSIが搭載されている。最新の進化段階にある「EA 888」シリーズの4気筒で、最高出力320PS、2100rpmから、420Nmという最大トルクを発揮する。これにより、アルテオンRは、0から4.9秒で100km/hに到達する。
![画像: とても速い。アルテオンRは、0から4.9秒で、100km/hに到達し、最高速度は270km/hだ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/b846d1ebeb3dd126b0ab73f09fed0491468a4368.jpg)
とても速い。アルテオンRは、0から4.9秒で、100km/hに到達し、最高速度は270km/hだ。
これは速い、とても速い。5秒という時間は、昔も今も、急加速の一種のバリアだ。長い間、それを超えることはスーパースポーツカーでのみ可能だった。しかしフォルクスワーゲンは驚くほど簡単にそれをクリアしてのけた。
最高速度は標準で250km/hだが、1,500ユーロ(約20万円)の追加料金と試乗車の20インチホイール(タイヤ245/35、1,310ユーロ=約17万円)を装着すると、実際には270km/hまで加速できる。
フォルクスワーゲンはレジでしっかりと稼ぐ
TSIは、力強く、回転数が高く、キビキビしていて、温かみのある音がし、回転数を上げても決してうるさくなく、うっとうしいとは思わない、優れたエンジンである。
7速DSGは、発進時には古き良き伝統にのっとった動きをするが、移動時には迅速かつ丁寧に反応する。
![画像: 高価。アルテオンRは63,095ユーロ(約780万円)から販売されているが、試乗車はなんと71,065ユーロ(約925万円)もするものだった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/848d14561e439f4f59041487a7deade01f80d2a2.jpg)
高価。アルテオンRは63,095ユーロ(約780万円)から販売されているが、試乗車はなんと71,065ユーロ(約925万円)もするものだった。
フォルクスワーゲンはRをノーマルのアルテオンよりも、硬めにチューニングしており、ボディは20mm低くなっている。
そのため、とくに20インチホイールを装着したサスペンションは、かなりドライで、目地段差ののショックを、いってみれば元気よく受け止めてくれる。まあそれは好みの問題だが……。
スムーズで流れるようなハンドリングだが、トルクベクタリング(駆動力をリアアクスルに選択的に配分する機能)を含む4MOTIONシステムにもかかわらず、全体的にはおそらく期待していたほどの機敏さはない。
しかし、ロングホイールベースと広大なリアエンドのおかげで、コーナリングは滑らかなものに仕上がっている。
問題はその価格である。アルテオンR」は60,095ユーロ(約780万円)からとなっている。われわれの試乗したテストカーの装備では、71,065ユーロ(約925万円)という値段だ。残念ながら、その価格には正直驚かされた。
![画像2: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/6376cbb96de0f13f8eca5eebb01c96845ca491d0_xlarge.jpg)
![画像3: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/636142c08b4562e5bc0ee1ff8d3db60a9a87faa3_xlarge.jpg)
![画像4: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/f6a5d7d05cdd2f020ee67807a92f0b9926814c25_xlarge.jpg)
![画像5: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/60b315c570b02849a07a6b60403e1d773b5fe8a7_xlarge.jpg)
![画像6: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/3290eb0586609e460c51957147ea703428359dac_xlarge.jpg)
![画像7: 【Auto Bild】「アルテオンR」に初試乗](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/8f9813aa5189094209837818adf7463b052b7511_xlarge.jpg)
結論:AUTO BILDテストスコア=2-
アルテオンRは、卓越した走行性能と日常生活への適合性を両立させている。だから、MQBをベースにしたのだ。そしてそれは正解となっているといえる。しかし、何よりも驚くべきは、その価格の高さだ。
![画像: 結論:AUTO BILDテストスコア=2-](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2021/12/02/c10f2836b6d12c84a229c230062a2a23b2eb4338_xlarge.jpg)
(Text by Dirk Branke, Berend Sanders / Photos by Toni Bader [AUTO BILD])
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