【Auto Bild】一番スポーティなゴルフはどれだ？

ゴルフファミリーに用意された3台のスポーツモデルによるバトル。「ゴルフGTI」、「ゴルフGTIクラブスポーツ」、「ゴルフR」のうち、最もスポーティなゴルフはどれだ？

血は水よりも濃いかもしれないが、沸騰するのも早い。わかりやすくいえば、群れの中でのリーダーシップの主張は、常に一貫しているということだ。

フォルクスワーゲンのゴルフファミリーには、3人のスポーティな兄弟がいて、リーダー的役割を果たし、購入者の支持を得ようと互いに競いあっている。

標準のゴルフGTI（245ps）に加え、ゴルフGTIクラブスポーツは最高出力300ps、ゴルフRは最高出力320psで4輪を駆動する。

そんなゴルフのスポーツモデルのなかで主役が誰なのか、レーストラックで確かめてみた（採点は400点満点）。

3位 284点ゴルフ GTI

日常的な使用に十分に適したコンパクトカーで、とても楽しい。ただ残念なのは、その内容には一貫したスポーツ性が欠けている。

ゴルフGTIはあらゆる場面で活躍するオールラウンダーだ。ヴォルフスブルク発のカルトコンパクトカーのフロントに搭載されているおなじみの2Lターボ（EA888）は、「Evo4」と呼ばれるようになってさらに改良され、ゴルフGTIでは最高出力245ps、最大トルク370Nmを発揮する。そして、その最大トルクは1600rpmという低回転域から発揮できるようになっている。デジタルタコメーターは8,000rpmまでとなっているが、実際には約7,000rpmまでが可能だ。

ゴルフGTIは、停止状態から6.4秒後に100km/hに到達する。そして、それに見合った爽やかな走りを見せる。ゴルフGTIクラブスポーツやゴルフRよりも明らかに遅いが、マニュアルトランスミッションを操ることでスポーツ性は高まるが、いまや速さではDSGに後れをとる。

ハノーバー近郊のコンチドローム（コンチネンタルタイヤのテストコース）のハンドリングコースでも、同じような印象を受けた。ゴルフGTIは多くの才能を発揮するが、兄弟に追いつくことはできない。ESCとその他のシャシーエレクトロニクスをネットワーク化したおかげで、カーブでもほとんどアンダーステアにならず、ゴルフGTIは理想的なラインに沿って巧みに揺れ動き、とても楽しい。

しかし、サスペンションがソフトになったことで、カーブの手前で大きくノーズダイブしたり、深くロールしたり、サポートの少ないシートから転げ落ちそうになったりすることもある。

一方、1分37秒9というラップタイムは名誉に値するものだ。もちろん、フォルクスワーゲンのエンジニアたちが物理的な法則を覆すことはできない。スピードを出しすぎてコーナーを曲がると、不快なアンダーステアになってしまう。

オプションの19インチホイールを装着しているにもかかわらず、ゴルフGTIは日常的な使用に十分耐えうるものとなっている。これは、11.9km/Lという平均燃費と37,170ユーロ（約487万円）のベース価格にも当てはまる。

2位 295点ゴルフR

新しい4MOTIONがもたらす走りは、運転する喜びを感じさせてくれる。しかし、提供するものに対してその価格は正直高すぎる。

ゴルフRは超高速のグラントゥーリズモだ。ボンネットの下には1,984ccの4気筒ターボが搭載されており、320psを発揮、4WDの4MOTIONと組み合わされる。フォルクスワーゲンが自信を持っているのは、これによってドリフトが可能になるということだ。素敵なギミックだが、兄弟車に対して決してアドバンテージとはなっていない。

一方、ゴルフRは、その圧倒的なパワーと巧みなトルク配分で優位性を発揮する。0から100km/hへの加速が4.5秒というのは、ゴルフの中だけの話ではなく、超絶技巧だ。オプションの「Rパフォーマンスパッケージ」を装着すると、最上級モデルのゴルフは、270km/hの最高速で走ることができるようになっている。

サーキットでは、新開発の4MOTIONが感動的な走りをもたらした。新開発の「Rパフォーマンストルクベクタリング」により、前後アクスル間だけでなく、後輪の左右でも駆動力の調整が可能になったのだ。

もちろん、ここでもネットワーク化されているシャシーシステム（ディファレンシャルロック、DCC）との組み合わせにより、圧倒的なトラクションと非常にニュートラルなドライビング特性を実現している。非常に速く感じられ、実際に非常に速いのだが、コンチドロームでGTIクラブスポーツを追い越すことはできず、最終的にはたったのコンマ2秒だったが、差が付いてしまった（1分35秒7）。しかし、ゴルフRは、GTIクラブスポーツのような、カミソリのような鋭い感じがしないのも事実だ。

それにしても、ゴルフRの価格の高さには本当に驚かされた。エントリーモデルでも50,000ユーロ（約655万円、DSG標準）とそれなりにするが、今回のテストに供された個体には、57,330ユーロ（約750万円）という高額な値段がついていたのだ。

1位 297点ゴルフGTI クラブスポーツ

抜群の運転のしやすさと扱いやすさ、欲張りなエンジン、そしてその内容を考えれば価格も納得だ。

ゴルフGTIクラブスポーツは俊敏なスポーツカーだ。ゴルフGTIと同じエンジンを搭載しているが、ゴルフGTIよりも最高出力が55ps、最大トルクが30Nm向上している。この数字だけを見ても、ゴルフGTIクラブスポーツの実力がうかがえる。

最もパワフルなこのGTIの派生モデルは、0から100km/hを5.5秒で、0-200km/hでは、ゴルフGTIよりも4秒以上も速い。

標準装備のDSGは、素早く自信を持ってシフトチェンジできるが、各自の好みにあわせてさらに速く、もっとアグレッシブなドライブも可能だ。

サーキットでは、ゴルフGTIクラブスポーツは極めて意欲的な印象を残す。1,454kgの車重は、ベーシックなゴルフGTIよりも46kg重いが、ゴルフRよりも66kg軽い。ゴルフGTIクラブスポーツは、軽やかな足取りでカーブに身を投じ、あまりふらつかず、限界まで十分なグリップを発揮してカーブを駆け抜けていく。

アンダーステア？　いや、それは意図的に起こさなければならない。ここでも、新しいドライビングダイナミクスマネージャーが、3つのモデルすべてにオプション設定されているDCCと、電子制御油圧多板クラッチを用いたフロントディファレンシャルロックを連動させてアシストしてくれる。これが非常に巧妙に行われているため、全輪駆動が恋しくなることはなく、1周するごとに、ゴルフGTIクラブスポーツとの親和性が高まっていく。

この300psのゴルフは、コンチドロームのタイトなカーブでも、トラクションに大きな問題を起こすことなく走り出す。続くストレートで計測された202km/hの最高速度が、その実力を証明している。

その日の終わりに、ストップウォッチは1分35秒5という素晴らしいラップタイムを示していた。これは、4WDのゴルフRに比べてコンマ2秒速く、燃費（GTIクラブスポーツの10.8km/Lに対しゴルフRの9.9km/L）や、車両価格（GTIクラブスポーツの43,830ユーロ＝約574万円に対しゴルフRの57,330ユーロ=約750万円）など、ゴルフGTIクラブスポーツが明らかに勝っている。