フォルクスワーゲン初のPHEV(プラグインハイブリッド車)である「ゴルフGTE」が日本上陸! ゴルフGTIの血を受け継ぐPHEVがどんな走りを見せるのか? いち早く国内での試乗を行い、その実力を確かめた。
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※2015年9月8日の記事を再構成して掲載しました。
![画像1: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/db3e91f5960952ea8dfbea707b037d3c123a2d3b_xlarge.jpg)
日本でゴルフGTEのステアリングを握る日がついに訪れた。ちょうど1年前、スイスの国際試乗会でドライブしてからというもの、この日が来るのが待ち遠しかった。
![画像2: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/7ef83919768370564452b5e3955405b348182d01_xlarge.jpg)
ゴルフGTEは、ゴルフGTI、ゴルフGTD(日本未導入)に次ぐ第3のスポーツモデル。GTIがガソリンエンジン、GTDがディーゼルエンジンを搭載するのに対し、GTEが積むのは1.4 TSIエンジンと電気モーター、そして、大容量リチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムである。そう、「E」は電動化を意味しているのだ。
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PHEVとしてのゴルフGTEには3つの走行モードがあり、それぞれ次のような特徴がある。
- 「Eモード」なら、電気だけで最大53.1kmの走行が可能
- 「ハイリッドモード」では、エンジン、モーター、または、エンジン+モーターで走行
- 「 ハイブリッドモード」をさらにスポーティにした「GTEモード」を用意
モードの切り替えはシフトレバー左側にあるボタンを使う。「E-MODE」を押すたびにEモードとハイブリッドモードが切り替わる。一方、GTEモードのオン・オフには「GTE」のボタンを押せばいい。
![画像4: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/f46cdfae07823ab4df5759e6cbc0b51f6fcdc686_xlarge.jpg)
さっそくスタートボタンを押すと、システムの始動を知らせるチャイムとともに"パワーメーター"の針が0の位置に移動し、マルチファンクションディスプレイの左下に「READY」の文字が表示された。システム始動直後は、バッテリー残量が足りない場合などを除いて、Eモードにセットされる。
セレクターをDに入れてブレーキペダルから足を離すと、ゴルフGTEはゆっくりと動き出した。パワーメーターの下の方にある小さい回転計は0を示したままだ。アクセルペダルを軽く踏むと、期待以上に余裕あるトルクを発揮するモーター。EV(PHEV)を味わう瞬間だ。
動き出したあとの加速も力強く、かつ、スムーズで、ゴルフTSIハイラインに比べて200kg以上重いことが信じられないくらい。Eモードでの最高速は130km/hだけに、一般道はもちろん、高速や高速道路でも流れをリードできる実力を備えているから、ガマンの走りを強いられることはない。
![画像5: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/124ad7ea6df784cc658e93741e9ed4a83416a913_xlarge.jpg)
ちなみに、Dレンジで走行中にアクセルペダルから足を離すと、エンジンブレーキならぬ"回生ブレーキ"による減速はほとんどなく、そのまま惰力走行を続ける。一方、Bレンジを選んだり、マニュアルシフトをした場合は、やや強めの回生ブレーキがかかり減速。アクセルペダルの踏み具合で回生ブレーキの強さがコントロールできるので、多くの場面でブレーキを使わずにスピードがコントロールできるのがガソリン車とは異なるところだ。
一般道と高速を30kmほど走行したところでバッテリーでの航続可能距離が2kmになり、Eモードが解除され、自動的にハイブリッドモードに切り替わる。EVと異なり、この状態でも走行が続けられるのがPHEVのいいところで、充電場所を探し回る必要はない。
ハイブリッドモードでも、発進はモーターが担当し、スピードが上がるとエンジンが始動する。ここからはエンジンが主導権を握るのだが、回転計が小さいことと、ゴルフの高い静粛性のおかげで、注意していないとエンジンが始動したことに気づかないほどだ。アクセルペダルを踏み増すと、即座にパワーメーターが瞬時に右に振れる。モーターがエンジンをアシストするおかげで、いつもの1.4 TSIより力強い加速が手に入るのもハイブリッドカーの醍醐味である。
![画像6: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/da8e1b3a46cda1170e1246df4cdc982fbb76b963_xlarge.jpg)
アクセルペダルを緩めたときの反応はEモードと基本的に同じ。ただ、ハイブリッドモードではエンジンが自動的にストップし、そこから軽く加速するくらいならモーターだけで十分用が足りることも。
気になる燃費だが、高速道路を制限速度で走ったときが16km/L台、少しペースを上げたときでも15km/Lを上回った。一方、ストップ&ゴーの多い都内でも15km/L台をキープ。JC08モード燃費の23.8km/Lを超えることはなかったが、エアコンを使用した状態で、ストレスのない加速を見せながら、これだけの低燃費というのはなかなかのもの。信号の少ない一般道なら、さらなる好燃費が期待できるだろう。
ところで、試乗車では「DCCパッケージ」が選ばれていて、DCCとともに225/40R18タイヤ+7.5J×18インチホイールが装着されていた。路面によってはタイヤ&ホイールがゴトゴトと軽いショックを伝えてくることもあったが、やや硬めとはいえ乗り心地は快適なレベルに保たれるし、高速でのフラット感も上々。日本のPHEVには変に硬さだけが目立つクルマもあるが、ゴルフGTEには無縁の話だ。
![画像7: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/7d798144a464635c05376aaca2330ad68928c46e_xlarge.jpg)
ワインディングロードに辿りついたところで、GTEモードを起動する。すると、アクセルペダルの動きに対して、パワーメーターの振れは明らかに大きくなり、軽くアクセルペダルを煽っただけで、瞬時に強大なトルクが発揮され、ゴルフGTEのボディをグイグイと加速させるのだ。その鋭い反応は本家GTIも敵わないほどだ。
![画像8: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/44bf7bf66d8dd1be2e7bd97ce72ccb6d38f46c09_xlarge.jpg)
![画像9: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/2ebc12c385de3acfb4e3e881a48b7eb8d279e010_xlarge.jpg)
一方、ハンドリングはGTIの俊敏さには及ばないものの、素直な動きを見せ、アンダーステアも上手く抑え込まれている。約120kgのバッテリーをリヤアクスル手前に配置したことで低重心化が図られ、また、後軸重が増えたことが、気持ちのいいハンドリングを生み出しているのだろう。
驚いたのはこのときの燃費。ワインディングロードを含めて約100kmを走ったが、14.1km/Lという数字をマークしたのだ。その前後でバッテリーの"収支"はほぼ0だったから、充電した電力で稼いだ数字でないのがすごいところだ。
![画像10: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/a2a2b89f9bdb6f5f40ba823a9defd2a8324d98f8_xlarge.jpg)
というわけで、もちろん近距離移動が多い人にとってはバッテリー切れの心配がないEVとして便利に使えるゴルフGTEだが、ハイブリッドモードとGTEモードで乗る機会がほとんどという人にとっても、環境への負担を抑えながら、スポーティなドライビングを堪能できるという点では、とても魅力的なクルマに仕上がっている。
価格の高いPHEVだけに、浮いた燃料代で元を取るのはなかなか難しいが、新しい時代のファン・トゥ・ドライブを先取りできることを考えると、ゴルフGTEを選ぶ意味は大きいと思う。
![画像11: 【試乗記】ゴルフGTE[再]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783350/rc/2020/04/27/56be595a7cea64f2cfec92063b590cf877560c12_xlarge.jpg)
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Masayuki Arakawa)