2020年1月下旬に発売になったフォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Cross」。現時点では導入特別仕様車として「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」の2グレードが販売されている。
このうち、上級グレードのT-Cross TSI 1st Plusについては、試乗会でチェックした様子を下記のとおり報告した。
試乗車として用意されていたのは、18インチホイールを履くT-Cross TSI 1st Plusだけで、16インチホイールが装着されるT-Cross TSI 1stを試してみたいと思っていたのだが、その後、試乗車が用意されたという知らせを受けて、あらためて借りだし、乗り味をチェックすることにした。
T-Cross TSI 1st PlusとT-Cross TSI 1stは、エンジンやトランスミッション、駆動方式といった基本部分は共通で、おもな違いとして、上級グレードのT-Cross TSI 1st Plusには、ドアミラーやアルミホール、インテリアが、オレンジ、グリーン、ブラックから選べる“デザインパッケージ”に加えて、レーンキープアシスト、ハイビームアシスト、パドルシフト、インテリアアンビエントライト、スポーツコンフォートシートなどが装着される。また、T-Cross TSI 1st Plusではルーフレールやフォグライトのベゼルがシルバーになる。
デザインパッケージには、7J×18インチアルミホイール+215/45R18タイヤも含まれている。これに対して、T-Cross TSI 1stでは6J×16インチアルミホイールと205/60R16タイヤの組み合わせになる。
T-Cross TSI 1st Plusの試乗記で触れたように、SUVとしては落ち着いた挙動を見せるものの、18インチタイヤを履くこのクルマの乗り心地は、「一般道では路面の荒れをコツコツと伝え、目地段差を越えたときのショックの遮断もいまひとつ」だった。
その点、16インチタイヤを履くT-Cross TSI 1stの乗り心地は期待どおり。硬めのサスペンションセッティングは変わらないが、2インチ小さいタイヤとホイールが装着されたT-Cross TSI 1stは、乗り心地がマイルドになり、路面の荒れをうまく吸収している。目地段差を越えたときのショックも軽減され、バランスの良い仕上がりを見せる。装着されるタイヤがややザラついた印象なのが気になるが、装備内容を含めて、個人的にはT-Cross TSI 1st PlusよりもこのT-Cross TSI 1stのほうが好ましいと思った。
乗り心地以外の部分は、前出の試乗記のとおりで、見た目や装備を重視するならT-Cross TSI 1st Plus、快適性を重視するならT-Cross TSI 1stがおすすめである。
(Text & Photos by Satoshi Ubukata)