ゴルフダイジェスト・オンラインというウェブサイトで「キャディバッグ、入るか入らないか、真横か斜めか、それが問題だ!」という企画を担当しています。読んで字のごとく、クルマのトランクにキャディバッグが入るか入らないか、いくつ入るか、入れやすいか否かなどについてチェックする企画です。
地味な作業です。クルマのトランクを開け、キャディバッグを入れてみて、評価し、写真を撮って、バッグを出して、次のクルマへ......この繰り返し。
地味な作業です。クルマのトランクを開け、キャディバッグを入れてみて、評価し、写真を撮って、バッグを出して、次のクルマへ......この繰り返し。
公平を期すためにキャディバッグは毎回同じものを使います。キャディバッグにも太いの細いの、重いの軽いのいろいろありますが、われわれが使っているのは軽量かつ細めのバッグです。そのほうが差がつきやすいから。もしトーナメントプロが使うようなゴツいバッグでテストしたら、ひとつも入らないクルマが続出してしまうでしょうし(笑)。
大雑把にいうと、欧州車のラゲッジスペースはスーツケースが効率よく入り、なおかつ入れたスーツケースがぐらぐらしないよう、正方形に近いタイプが多いのに対し、国産車の多くはラゲッジスペースの左右をできるだけえぐって、長尺物が収まるような形状をしています。だからキャディバッグなどを積むにはいいけれど、スーツケースを積む場合、まだスペースが余っているのにあともう一個増やせるほどではないということがよくあります。
単純な作業ではありますが、いや単純だからこそか、いろいろと興味深いことがわかってきます。詳しくはサイトをご覧になっていただきたいのですが、まずなんといっても、キャディバッグの積載性能に関しては、国産車は輸入車に比べ、圧倒的に優位に立っています。というよりも欧州車はキャディバッグのことをほとんど考慮していません。彼らが開発時に考慮しているのは「リモワ」や「ゼロハリバートン」です。
もちろん、これは傾向であって、例えばフォルクスワーゲン ゴルフ・バリアント。容量605Lを誇り(メルセデス・ベンツEクラスステーションワゴンでさえ600L)、ラゲッジの左右をできるだけえぐった形状によってバッグが入る入る! 4個を簡単に飲み込んで取材陣を驚かせました。
大雑把にいうと、欧州車のラゲッジスペースはスーツケースが効率よく入り、なおかつ入れたスーツケースがぐらぐらしないよう、正方形に近いタイプが多いのに対し、国産車の多くはラゲッジスペースの左右をできるだけえぐって、長尺物が収まるような形状をしています。だからキャディバッグなどを積むにはいいけれど、スーツケースを積む場合、まだスペースが余っているのにあともう一個増やせるほどではないということがよくあります。
なぜか。日米ほどではないかもしれませんが、欧州でもゴルフは一般的なスポーツのはずです。ただし、欧州では----私が聞いたのはドイツのケースですが----日本のようにキャディバッグを常に持ち運ぶ文化はないそうです。たいてい自分がメンバーになっているゴルフ倶楽部のロッカーにキャディバッグを置きっぱなしだとか。もちろん、他のゴルフ場へまったく行かないわけではないでしょうが、基本、ゴルフはホームコースでやるものだそうです。
けれども、多くのプレミアム欧州車は北米市場でヒットする必要があるはず。アメリカにはメンバーシップコースも多いですが、パブリックコースも多いです。とにかくゴルフ場がめちゃくちゃ多い。ならばキャディバッグをクルマに積載することもよくあるはず。それでも、例えばレクサスのLSやGSほどにはキャディバッグ積載に向いていないジャーマン・プレミアムがアメリカで売れないということはありません。
もちろん、欧州車だって分割可倒式のリアシートを倒せばいくらでもキャディバッグを積むことができますから、ラゲッジスペースにすっぽりキャディバッグが入らないことが決定的なハンデかというと、そんなことはありません。それはゴルフ場におけるアウディ、メルセデス・ベンツ、BMWの多さを見ればわかります。
しかし、レクサス各車やクラウンも多い。いうまでもなくゴルファーにとってキャディバッグに入ったギアは大切なものです。それをいちいちリアシートを倒して入れるのは、めんどくささの面でもセキュリティの面でも本意ではない。クルマとしての満足度を多少犠牲にしてでも、キャディバッグをきちんとラゲッジスペース内に収められる国産車に乗るというゴルファーも少なくないのだろうと想像します。
(Text by S.Shiomi)