2015年11月20日、フォルクスワーゲン グループは、2016年度のCAPEX(資本的支出)を約120億ユーロ(約1兆5600億円)に制限すると発表した。
以前の計画では年間約130億ユーロ(約1兆6900億円)で、10億ユーロ(約1300億円)の削減となる。
以前の計画では年間約130億ユーロ(約1兆6900億円)で、10億ユーロ(約1300億円)の削減となる。
これにともない、投資と支出の優先順位を定め、必要不可欠なもの以外は延期または中止となる。たとえば、ウォルフスブルクに計画されていたデザインセンターの建設は保留となり、メキシコの塗装工場の建設も見直される予定だ。
一方、e-モビリティやデジタル化に関する開発費は約1億ユーロ(約130億円)増やすほか、次世代ゴルフやアウディQ5などの製品の立ち上げやMEB(モジュラー・エレクトリック・ツールキット)の開発費用などに支出が充てられるという。
フォルクワーゲンのプレスリリース(和訳)は以下のとおり。
フォルクスワーゲン グループ、資本支出 (CAPEX)レベルを下げる
CEO マティアス ミュラー:「我々は全ての投資と支出の優先順位を厳格に定める」
代替駆動テクノロジーおよびデジタル化にこれまで以上に焦点を当てる
ウォルフスブルグ 2015 年 11 月 20 日、
フォルクスワーゲン グループは、現在の状況を踏まえ、自動車部門の投資活動を見直しています。 その目標は、来年度における CAPEX、つまり資産計上開発費を除く有形固定資産、投資不動産、 無形固定資産への投資額を約 120 億ユーロに制限することです。以前の計画では、この期間における平均投資額は、年間約 130 億ユーロでした。
「我々の業務は現在、不確実で不安定なものとなっており、その状況に対処する必要があります」と、 フォルクスワーゲン AG 取締役会会長のマティアス ミュラーは、金曜日に行われた監査役会の定例会議終了後に述べています。「計画された全ての投資と支出の優先順位を厳格に定めます。既に発表させていただいているように、必要不可欠なもの以外は、キャンセルされるか延期されま す。」
これに関連して、ミュラーは、代替駆動テクノロジーに対する投資を、来年度に約 1 億ユーロ増加させる意向であることを発表しました。「我々は、未来に向けた投資を節約するという過ちを犯してはなりません。そのため、e-モビリティおよびデジタル化に関する開発費は、将来的に増加させることを計画しています」と、ミュラーは述べています。主な焦点は、フォルクスワーゲン乗用車、アウディ、 ポルシェの各ブランド用の電気駆動システムを早急に開発することに当てられています。
資本支出の大部分は、新製品、モジュラーツールキットの継続的な展開と強化、そして現在進行中である生産能力拡大の完了に費やされます。その例としては、次世代ゴルフ、アウディ Q5 といった 製品の立ち上げ、ポーランドの新しいクラフター工場に加えて、モジュラー エレクトリック ツールキッ ト(MEB)のための先行投資などが挙げられます。資本支出の約 50%は、ドイツ国内における 28 のグループ拠点に充てられます。
ミュラーはまた、投資を大幅に増加したり縮小したりしている最初のプロジェクトを例として概要を説明しました。例えば、ウォルフスブルグで計画されていた新しいデザインセンターの建設が保留にされることにより、約 1 億ユーロの費用が節約されました。また、メキシコの塗装工場の建設も見直される予定です。モデルラインアップについては、フェートンの後継モデルを、完全な電気自動車として展開させるため、延期させます。「今後数週間の間に、将来的な計画の実行が危険に晒されることのない範囲で、さらなる支出の見直しと必要に応じたキャンセルまたは延期を広範囲に行います」 と、ミュラーは説明しています。ミュラーは、次のように付け加えています。「従業員協議会の代表者らと共に、我々は現在の主要な労働力を維持するために最善を尽くします。」
中国の合弁事業は連結決算の対象外のため、上記の数値からは除外されています。中国の企業 は、以前発表した投資レベルを維持し、2016 年には約 44 億ユーロの支出が計画されています。これらの投資は、合弁企業の資金から調達されます。
(Text by S.Ubukata)