110420itt001.jpgQ:タイミングベルトやウォーターポンプを交換する時期はいつ頃なんでしょうか?

(左の写真は1.8Tエンジンの新旧タイミングベルト、テンショナープーリ、オートテンショナーとウォーターポンプ。)
車検の際にタイミングベルトとウォーターポンプ交換を勧められた経験はありませんか? 普段は見えない部品だけに、その交換時期や必要性に関してよくわからないと思います。今回はタイミングベルトやウォーターポンプが壊れるとどうなってしまうのかを検証してみます。

110420itt012.jpg左の図は一般的なDOHCエンジンのタイミングベルトとその関連部品及びウォーターポンプの配置図です。
アウディ、フォルクスワーゲンの1.8Tエンジンの実際の配置と構成パーツとは異なりますが類似した配置になっているので参考にします。
タイミングベルトは、カバーに覆われているので普段は外から見ることはできませんが、クランクシャフトとカムシャフトを繋ぐ重要なベルトです。このタイミングベルトによってピストンの上下運動に合わせて正確に吸排気バルブの開閉(バルブタイミング)が行われる仕組みになっています。タイミングベルトは適切なテンションがかるようになっていて、オートテンショナーとテンショナープーリで常に一定のテンションをタイミングベルトに与えています。ウォーターポンプはタイミングベルトによって駆動され、エンジン冷却水の循環作用を生み出している仕組みです。

もしこれらの部品が壊れてしまうといったいどうなるのか?

タイミングベルトが切れるとよく言われますが、実際には劣化などによって切れるのではなくベルトの山がはがれるように取れてしまい、クランクプーリによって駆動ができない状態になります。そうなると、カムシャフト側のプーリは駆動することができなくなるので、吸排気バルブが動かなくなり、この時点でエンジンは止まります。切れたタイミングが悪い場合は、開いて止まったままの吸排気バルブにピストンがぶつかることでバルブは曲がってしまい、エンジンは大きなダメージを受けることになります。実際の写真がありますのでご紹介します。

110420itt002.jpgタイミングベルトの山が完全に取れてしまった状態。(多くの原因はタイミングベルトの劣化やウォーターポンプの焼き付きによるウォーターポンププーリの固着)

110420itt003.jpgタイミングベルト切れによって、バルブとピストンがぶつかった状態のシリンダーヘッドの燃焼室。(右端)

110420itt004.jpgバルブを外してみた状態。(左側の2本がピストンと干渉して曲がったバルブ)
タイミングベルトが切れてバルブタイミングがずれると、エンジンが止まってしまうだけでなくこのように大きな損傷を受けることになります。

次にウォーターポンプが故障するとどうなるか?

ウォーターポンプは、エンジン冷却水を循環させる動力源です。もしウォーターポンプが壊れると、エンジン冷却水をラジエータへと循環させることができなくなり、エンジンのウォータージャケット内にある冷却水はどんどん温度が上昇してオーバーヒートになってしまいます。

ウォーターポンプが壊れる事例としては、シャフト軸受け部分の焼き付きやウォーターポンプのブレード部分の破損が主な原因です。実際の故障事例写真がありますのでご紹介します。

110420itt005.jpg1.8Tエンジンのウォーターポンプ(左が新品、右はブレードの一部が破損し軸との接合部分に亀裂が発生しています。)

110420itt006.jpgエンジンから外した時点で、完全に分離してブレードが割れていたウォーターポンプ。

110420itt007.jpg新旧のウォーターポンプ。下はエンジンから取り外した時点で軸と完全に分離していたウォーターポンプ。
タイミングベルトとウォーターポンプは、実はとても重要なパーツだということがご理解いただけたと思います。では、どの時点で交換すべき部品でしょうか?
一般的には8万キロ前後を一つの目安としていますが、ウォーターポンプがそれよりも先に故障した際にはタイミングベルト及びその関連部品も同時に変える方が効率的です。

タイミングベルト、ウォーターポンプの交換は問題が発生してからでは手遅れです。何も問題が起こっていなくても予防的措置で交換を行うべきパーツといえます。交換時期はメーカーの推奨走行距離、定期点検や車検の際などにアドバイスを求めてみると良いかと思います。走行距離の多い車両については、サービスマンから交換を勧められると思います。費用の掛かる作業になりますが、このような大事にならない為にも交換をお勧めします。

こちらは、V6系エンジンのタイミングベルト、ウォーターポンプです。直列4気筒と異なりより複雑になります。
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110420itt011.jpg愛着のある大切なお車を長く大事に乗るためには、目に見えない部分への配慮も必要です。今後のメンテナンスの参考にしてください。

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