090519okh004.jpg「ユニコーンツアー2009 蘇える勤労」を観に行った。40代以上の方には懐かしい、30代の方には嬉しい、20代の方には新しい、ユニコーンの復活である。僕は特別ユニコーンが好きだった訳ではないのだが、妻が大ファンだったらしく、僕自信も嫌いではないし、復活という言葉に弱いのでお供することにした。


会場はさいたまスーパーアリーナ。今ではなくなってしまったPRIDE(総合格闘技)などの大公演でよく耳にする会場名だが、行くのは初めて。初めての会場などにいくだけで楽しくなってしまう僕は、それだけで気分は上々だ。会場へは渋滞を避けるため電車で向かうことに決めた。乗り込んだ京浜東北線の中には、それらしい人々がたくさん同乗していた。みんなさいたまスーパーアリーナへ向かっている。

会場最寄りのさいたま新都心駅を下りると、改札を出た側から慌ただしい。こういったイベントに出かけるのは久々で、駅から会場までの道のりはテンションの高まった人々の熱気をビシビシ感じてしまった。会場に着いて、予定通り入場して遠くの席からユニコーンを聞くことになった。ステージは異様に遠い。内容やセットリストは熱心なファンの方々のブログを読んで頂くとして、僕個人の感想を簡単に書くと、「事前にもっと聞き込んで行くべきだった」、のひとこと。古い曲はだいたい分かったが、復活後のニューアルバムは一回だけ通して聞いただけでした。それでも十分に楽しめたのは言うまでもないが、残念。

で、復活。ステージ上で本当に楽しそうで演奏している彼らを見て、素直に羨ましくなった。観客も一番熱心に音楽を聞く年代に、ユニコーンを聞き込んでいた訳で理屈なしに楽しんでいた。僕が中学生のころ、一番熱心に聞いたのは、YMOとRCサクセションだったので、微妙にずれているのですが、復活への熱い気持ちはよくわかる。

でも、待てよ。復活とは場合によっては非常にリスクを伴う。それは、20年ぶりに開催される同窓会で、当時好きだった女の子に会ってみたい、いや会いたくないという気持ちが微妙に揺れ動くように、復活は必ずしもいいことばかりではない。当時の記憶に勝てる可能性の方が低いと思うし、時にはがっかりさせられることもあるのだ。ユニコーンの場合は、復活までのブランクが16年(長すぎない?)だったことや、事前にメディア露出も多かった点が安心に繋がったのだろう。

もしかしたら復活とは「自分の中の記憶を出来るだけ忠実に再現すること」かも知れない。復活は丹念にその記憶を再現しないとならない、復活のためにはあらゆる努力を惜しまず、計画的に行い、理解のあるスタッフを揃え、関係者のコンセンサスをしっかり取らなければならないのだと考えてしまった。

そんな事を考えていたら、2016年東京オリンピック誘致が頭に浮かんできた。僕はオリンピックが好きなので、単純に東京で開催されると嬉しいのだが、どうしてそんなに東京開催にやっきになっているのかがイマイチ理解出来なかった。当然だけど、反対派も多数で、様々な意見が飛び交っている。

しかし、復活と考えたらどうだろう。1964年東京オリンピック後の45年間で東京は、そして日本は、劇的な経済成長を遂げた。今、60歳くらいの方は、ちょうど中学生の時に東京オリンピックが開催され、その後の日本の成長を体感してきたのである。現在の経済状況、行き詰まり感、若者のエネルギー低下などなどに対して、もはや有効な解決手段がなくなってきている。そこで、2016年東京オリンピックをきっかけに、再度この国を成長させる起爆剤にしたいのではないかと。そう考えれば、この方法が有効かどうかとか、そういった事より、まずは開催しようという気持ちになってきた。

ユニコーンのメンバーも、バンドを止めてソロ活動していて、ふと原点に戻って確認したくなったのかも知れない。初回限定のCDに付属しているDVDにとても楽しそうにレコーディングしている彼らの姿がある。復活の理由としてはいろいろと語られていたけど、僕が感じたのは、いまの自分たち(大人になって成長して、他人を認められるようになった)でどんなことが出来るのかが楽しみということだと思う。

東京オリンピックも、ユニコーンも、何か復活した人も、何かを復活させたい人も、そろそろではないだろうか。今の自分でどれだけ出来るだろう。思い立ったが復活である。

そういえば、8speed.netも僕の中では復活だった。

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