「パサートCC」あらため、「フォルクスワーゲンCC」として装いも新たに登場した上級サルーンを日本で試乗。その魅力に迫る。
2012年1月下旬、南仏のニースで試乗したフォルクスワーゲンCCが、2012年夏、予定どおり日本に上陸した。ニースの試乗会で得た情報どおり、日本仕様は1.8 TSI+7速DSGのFF仕様。ヨーロッパではオプションのDCCと235/40R18タイヤが日本では標準になる。
日本仕様の概要は
試乗車のシートは"トリュフ"と"チタンブラック"のツートーンが華やかで、上品なナパレザーとあいまって高級感が漂っている。3人分のスペースが用意される後席は、足元が広く、頭上スペースもとくに窮屈な感じはない。
荷室が広いのもこのクルマのウリのひとつだ。通常でも約120cmの奥行きがあり、後席を倒せば180cmを超える。さらに、パンクに強いモビリティタイヤを装着するため、スペアタイヤや補修キットを搭載する必要がなく、そのぶん荷室のフロア下にも広大な収納スペースが確保されているのだ。
そもそもCCとは"コンフォートクーペ"のこと。クーペのようなフォルムにもかかわらず、快適な居住空間と余裕ある荷室を備えるなど、機能性を一切犠牲にしないところが、なんともフォルクスワーゲンらしい。
さっそく走りだすと、1.8 TSIエンジンは、全長4815×全幅1855×全高1425mmと余裕あるサイズのボディを軽々と前に推し進める。2リッターから1.8リッターに排気量がダウンしたものの、そのデメリットはとくに感じられなかった。例によって7速DSGは素早いシフトアップを繰り返し、街中では1500rpm以下で事足りる。低回転からトルクのある1.8 TSIだけに、この程度の回転数でもエンジンが柔軟に反応してくれるのだ。
2000rpmを超えるとさらにエンジンは頼もしさを増し、4500rpmあたりまで力強いトルクが持続する。おかげで、高速への合流や追い越しの場面でストレスを感じることはなかった。
7速ギアで100km/h走行中のエンジン回転数は約2000rpm。遮音性を高めたということもあり、高速巡航中のキャビンはとても静かだ。路面の悪い箇所を走行するときなどにロードノイズが目立つこともあったが、耳障りというほどではない。
18インチを履く日本仕様のCC、その乗り心地はとても快適だ。試乗車には「コンチスポーツコンタクト5」が装着されており、スポーツタイヤにもかかわらず、路面とのコンタクトが実にマイルドなのが好印象である。
しかも、DCCが標準装着される日本仕様は、とりあえずノーマルモードを選んでおけば、速度域によらずフラットな姿勢が保たれる。直進性の高さも手伝って、長距離ドライブでも運転手は疲れ知らずだ。路面によってはバネ下重が気になることもあったが、そんなときにはDCCのモードをコンフォートに切り替えればいい。
ところで、このテクノロジーパッケージ装着車には、「アダプティブクルーズコントロール」とプリクラッシュブレーキシステムの「フロントアシスト」、そして、レーンチェンジアシストシステムの「サイドアシストプラス」のドライバーアシスト機能が追加される。
アダプティブクルーズコントロールは、先行車がいる場合に、レーダーによって車間距離を維持するタイプのクルーズコントロールで、通常のクルーズコントロールに輪を掛けて便利。また、フロントアシストは、幸いお世話にならずに済んだが、追突事故を未然に防いだり、事故の際に被害を軽減するという意味では、あればうれしい機能だ。
そして、サイドアシストプラスは、レーンチェンジの際にドライバーの死角に並走車がいることを知らせるサイドアシスト機能と、ドライバーが意図せず車線を逸脱するのを防ぐレーンキープアシストを統合したもの。
このうちのレーンキープアシストは、車線を逸脱しようとしたときにステアリングホイールを振動させてドライバーに警告を発するだけでなく、ステアリングを自動的に補正してくれる。安全性の点では実に効果的なのだが、一般道ではステアリングの修正が頻繁に発生し、不自然なステアリングの動きが気になることがあった。違和感が解消されたら完璧なのだが......。そのあたりは適宜機能をオン/オフすれば済むことなので、プラス25万円で手に入るテクノロジーパッケージはぜひ付けておきたいところだ。
車載の燃費計によれば、中央道をクルーズした区間の平均燃費が15.2km/L、山道を含む一般道では11.9km/Lとまずまずの成績。というわけで、短距離はもちろんだが、その快適性の高さや、疲労の少なさ、そして燃費の良さなどを考えると、このCCは長距離ドライブに打ってつけのクルマといえる。
機会を見つけて、ぜひまたドライブに連れ出したい......そんな気持ちにさせてくれるCCなのである。
(Text & photos by S.Ubukata)
2012年1月下旬、南仏のニースで試乗したフォルクスワーゲンCCが、2012年夏、予定どおり日本に上陸した。ニースの試乗会で得た情報どおり、日本仕様は1.8 TSI+7速DSGのFF仕様。ヨーロッパではオプションのDCCと235/40R18タイヤが日本では標準になる。
日本仕様の概要は
試乗車のシートは"トリュフ"と"チタンブラック"のツートーンが華やかで、上品なナパレザーとあいまって高級感が漂っている。3人分のスペースが用意される後席は、足元が広く、頭上スペースもとくに窮屈な感じはない。
荷室が広いのもこのクルマのウリのひとつだ。通常でも約120cmの奥行きがあり、後席を倒せば180cmを超える。さらに、パンクに強いモビリティタイヤを装着するため、スペアタイヤや補修キットを搭載する必要がなく、そのぶん荷室のフロア下にも広大な収納スペースが確保されているのだ。
そもそもCCとは"コンフォートクーペ"のこと。クーペのようなフォルムにもかかわらず、快適な居住空間と余裕ある荷室を備えるなど、機能性を一切犠牲にしないところが、なんともフォルクスワーゲンらしい。
さっそく走りだすと、1.8 TSIエンジンは、全長4815×全幅1855×全高1425mmと余裕あるサイズのボディを軽々と前に推し進める。2リッターから1.8リッターに排気量がダウンしたものの、そのデメリットはとくに感じられなかった。例によって7速DSGは素早いシフトアップを繰り返し、街中では1500rpm以下で事足りる。低回転からトルクのある1.8 TSIだけに、この程度の回転数でもエンジンが柔軟に反応してくれるのだ。
2000rpmを超えるとさらにエンジンは頼もしさを増し、4500rpmあたりまで力強いトルクが持続する。おかげで、高速への合流や追い越しの場面でストレスを感じることはなかった。
7速ギアで100km/h走行中のエンジン回転数は約2000rpm。遮音性を高めたということもあり、高速巡航中のキャビンはとても静かだ。路面の悪い箇所を走行するときなどにロードノイズが目立つこともあったが、耳障りというほどではない。
18インチを履く日本仕様のCC、その乗り心地はとても快適だ。試乗車には「コンチスポーツコンタクト5」が装着されており、スポーツタイヤにもかかわらず、路面とのコンタクトが実にマイルドなのが好印象である。
しかも、DCCが標準装着される日本仕様は、とりあえずノーマルモードを選んでおけば、速度域によらずフラットな姿勢が保たれる。直進性の高さも手伝って、長距離ドライブでも運転手は疲れ知らずだ。路面によってはバネ下重が気になることもあったが、そんなときにはDCCのモードをコンフォートに切り替えればいい。
ところで、このテクノロジーパッケージ装着車には、「アダプティブクルーズコントロール」とプリクラッシュブレーキシステムの「フロントアシスト」、そして、レーンチェンジアシストシステムの「サイドアシストプラス」のドライバーアシスト機能が追加される。
アダプティブクルーズコントロールは、先行車がいる場合に、レーダーによって車間距離を維持するタイプのクルーズコントロールで、通常のクルーズコントロールに輪を掛けて便利。また、フロントアシストは、幸いお世話にならずに済んだが、追突事故を未然に防いだり、事故の際に被害を軽減するという意味では、あればうれしい機能だ。
そして、サイドアシストプラスは、レーンチェンジの際にドライバーの死角に並走車がいることを知らせるサイドアシスト機能と、ドライバーが意図せず車線を逸脱するのを防ぐレーンキープアシストを統合したもの。
このうちのレーンキープアシストは、車線を逸脱しようとしたときにステアリングホイールを振動させてドライバーに警告を発するだけでなく、ステアリングを自動的に補正してくれる。安全性の点では実に効果的なのだが、一般道ではステアリングの修正が頻繁に発生し、不自然なステアリングの動きが気になることがあった。違和感が解消されたら完璧なのだが......。そのあたりは適宜機能をオン/オフすれば済むことなので、プラス25万円で手に入るテクノロジーパッケージはぜひ付けておきたいところだ。
車載の燃費計によれば、中央道をクルーズした区間の平均燃費が15.2km/L、山道を含む一般道では11.9km/Lとまずまずの成績。というわけで、短距離はもちろんだが、その快適性の高さや、疲労の少なさ、そして燃費の良さなどを考えると、このCCは長距離ドライブに打ってつけのクルマといえる。
機会を見つけて、ぜひまたドライブに連れ出したい......そんな気持ちにさせてくれるCCなのである。
(Text & photos by S.Ubukata)