Golf7-119.jpg2012年9月に発表された新型ゴルフを、モータージャーナリストの河村康彦氏が試乗。その出来映えは?

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これまでのゴルフ、すなわちゴルフ6の仕上がりレベルはすこぶる高いものだった。そして、そうしたフレーズが「見た目品質」のみならず、走りの実力にも当てはまることは、そのオーナーこそが最も身に染みて感じる事がらであったに違いない。

ラインナップ中では"最も非力"な1.2Lを搭載するトレンドラインでさえ、いざ走り始めれば日常シーンで力不足を実感させられることはほぼ皆無。さらに、どんな仕様に乗っても操縦安定性や乗り心地などのフットワークの出来栄えはもとより、リアルワールドでの燃費性能なども、昨今デビューの"最新のライバル"たちに、決してヒケをとらなかったのだ。

かくして、オーナーを筆頭としてその実力を知る人ほど、「モデルチェンジの必要性など感じられない」というのが、これまでのゴルフ6に対する印象であったに違いない。そんな状況の中、「しかしフルモデルチェンジが近いらしい......」という噂どおり、やはり登場となったのがゴルフ7こと7代目となる新しいゴルフだ。

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新型のイノベーションのひとつとして紹介されるのが、従来のレベルをはるかに超えたさまざまなドライバー支援システムだ。

二次衝突を防ぐため最初に衝撃を受けた後に自動的にブレーキをかけ続ける"マルチコリジョン・ブレーキシステム"や、不安定な走行を検知するとウインドーやサンルーフを閉じシートベルトを巻き上げる"プロアクティブ乗員保護システム"、up!に標準装備をされたことで話題となった前面衝突を回避するための"シティ・エマージェンシー・ブレーキ"、対向車や先行車を眩惑しないようにしながらヘッドライトの光を可能なかぎり遠方まで照射する"ダイナミック・ライトアシスト"などが、その一例ということになる。

なるほど、それらも確かに「新しい」。しかし、見方によってはそうしたデバイスというのは、いずれも「その気」にさえなればマイナーチェンジでも導入可能 であったとも考えられる。そう、ゴルフ7の真のイノベーションは、カタログ上でも明確な、そうした新デバイスの設定にあるとは思えない。

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それでは、ゴルフ7の本当の新しさ一体どこにあるのか?

それは、「その走りの実力がさらにレベルアップしたこと」にこそ尽きるというのを、日本からはるばる足掛け2日を費やして訪れた、地中海サルディニア島での国際試乗会の場でまざまざと教えられることになった。

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Golf7-14.jpg試乗したのは、140psの最高出力と250Nm最大トルクを発揮する新開発1.4 TSIエンジンを積む7速DSG搭載モデル。この1.4 TSIは、欧州では『ポロ・ブルーGT』に先行搭載されたエンジンで、鋳鉄からアルミへのシリンダーブロック材の変更や、低抵抗のタイミングベルトの採用、ターボチャージャーと一体化をした排気モジュールの採用などが注目されている。
エクステリアと同様、デザイン上での「驚き」は少ないものの、従来型以上の質感の高さが実感できるそのキャビンへと乗り込んでドライビング・ポジションを決める。

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ゴルフ6から59mmのホイールベース延長と56mmの全長拡大を受け、「後席でのレッグスペースが15mm拡大され、ラゲッジスペース容量も30Lプラスの380L」と報告されるそのキャビン。

が、率直なところドライバーズシート上からは居住空間の拡大やドライビング・ポジションの大きな変化は感じ取れない。空気抵抗の低減も意図されて全高は28mm低くなったが、前後席ともにヘッドスペースは十分。一方で、全幅は13mm広げられて1799mmと、もはや1.8mの大台が間近となった。

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そんな寸法を「過大」と評したくなる人の気持ちは個人的にもわからないではないが、それでも前面投影面積はゴルフ6より小さくなり、空気抵抗値そのものも10%近く減少したと報告されている。

そして、見逃せないのが従来型に対する大幅な軽量化。ホワイトボディ部分のみでも23kg、足まわりで最大26kg、電装関係で最大6kg......とあらゆる部分に手が加えられ、「トータルでは最大100kgの軽量化」と謳われるのが新しいゴルフなのだ。

とくに、ボディに関しては「アルミやマグネシウムなど高価な部材への置換をともなわずに、大幅な軽量化を実現した」というのがポイントになる。このあたりが"実用車"であるゴルフならではのアプローチというわけだ。

ちなみに、前出の新エンジンは従来型の1.4 TSIユニットに対して22kgと、こちらも大幅な軽量化が報告されている。そんなエンジンは吸排気方向や搭載レイアウトも変更され、マウント位置がディーゼル・ユニットと共通になった。

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後編 へ続く......

(Text by Y.Kawamura)

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