フォルクスワーゲンが日本市場に初投入する電気自動車「eゴルフ」を試乗、その走りの印象は?
「東京モーターショーのフォルクスワーゲンブースで見た!」という人も少なくないだろう。モーターショーの開幕直前に日本でも受注がスタートした「eゴルフ」。納車は2017年末からだが、ひとあし先にプレス試乗会でその走りを試すことができた。
ボンネットの下には、最高出力100kW(136ps)、最大トルク290Nm(29.5kgm)の電気モーターが収まっている。トランスミッションは固定ギア(1速)で、0-100km/h加速9.6秒、最高速は150km/hを達成する。
室内も、一見、普通のゴルフと変わらないデザインだ。9.2インチのディスプレイを備えた純正インフォテインメント「Discover Pro」は標準装着。初期配車モデルにはオプションの"テクノロジーパッケージ"が装着されるため、この試乗車にも液晶メーターの「Active Info Display」が採用されている。
メーターは回転計の代わりに"パワーディスプレイ"が配置され、どのくらいパワーを使っているのか、あるいは回生ブレーキによりどの程度電力を回収しているのかがひと目でわかるようになっている。
ステアリングホイールやシフトブーツなどにブルーのステッチが施されるのもeゴルフの特徴のひとつだ。そして、見逃してはならないのは、シフトパターン。前進のポジションに、「D」「B」「+」「-」の文字が並んでいる。
Dを選んだだけではアクセルペダルから足を離したときに回生ブレーキが効かない設定で、シフトレバーを左に倒すことではじめて回生ブレーキのレベルが1→2→3と上がり、回生ブレーキの効きが強くなる。反対にシフトレバーを右に倒せばレベルが3→2→1→0と変化する。
回生ブレーキとは別に、シフトレバー左にある「MODE」を押すことで、モーターの出力などを変更することが可能だ(ドライビングプロファイル機構)。
もちろん、回生ブレーキのレベルやドライビングプロファイルの話がわからなくてもeゴルフは運転できるが、知っておけばより楽しく、より遠くまで(!?)ドライブできるのも事実。なので、そのあたりを頭の片隅に置きながら、まずは基本の「D」と「ノーマル」のままでeゴルフをスタートさせた。
高速道路入口のETCゲートを通過したところで、本線を目指してアクセルペダルを思い切り踏み込むと、強烈な加速とともにスピードメーターがグングン上がっていく。発進から50km/hくらいまでの加速はゴルフRも顔負けと思えるほど。制限速度付近の加速にもまだまだ余裕があり、少なくとも日本ではその加速に不満を覚えることはない。
運転に慣れてきたところで、回生ブレーキのレベルや走行モードを変えてみる。回生ブレーキのレベルは1→2→3と切り替えるごとに効きが強くなるのがわかる。さらにBを選ぶと、アクセルペダルの踏み加減だけで、加速も減速もほぼ思いどおりに。いわゆる"ワンペダルドライブ"が可能である。これを身につけてしまうと、回生ブレーキのレベルは常にBを選んでおけばよく、あとはアクセルペダルの微妙な操作を心がけることで、まさにワンペダルで快適かつ効率的な走りができるはずだ。
ということで、バッテリーの減りや航続距離を気にせずに走った1時間は、eゴルフの高い完成度を知るには十分な時間だった。EVであっても、ゴルフらしい安心感や快適性、そして、走る楽しさが失われていないのが、とにかくうれしい。
「東京モーターショーのフォルクスワーゲンブースで見た!」という人も少なくないだろう。モーターショーの開幕直前に日本でも受注がスタートした「eゴルフ」。納車は2017年末からだが、ひとあし先にプレス試乗会でその走りを試すことができた。
eゴルフの概要ははニュースをご覧いただくとして、まずはエクステリアからチェックするとしよう。会場に用意された試乗車には両側のドアに「e-GOLF」の文字が! そうしたくなる気持ちはよくわかる。何も書かれていなければ、ほとんどの人にはいつものゴルフに見えるのだから。EVを特別な存在にしたくないというのがフォルクスワーゲンの考えだから、目立たないのは仕方がない。
とはいうものの、それなりに主張しているところもあるわけで、たとえばフロントグリルにはブルーのラインがアクセントとして配されているし、フロントバンパーに備わるC字型のLEDポジショニングライトも人目を引くアイテムだ。
とはいうものの、それなりに主張しているところもあるわけで、たとえばフロントグリルにはブルーのラインがアクセントとして配されているし、フロントバンパーに備わるC字型のLEDポジショニングライトも人目を引くアイテムだ。
それだけにこのLEDポジショニングライトがDRL(デイタイムランニングライト)としては機能していないのが惜しい。
ちなみに、冬場の雪対策なのか、ヘッドライトウォッシャーが標準装着されるのは、ゴルフシリーズではこのeゴルフだけである。
ボンネットの下には、最高出力100kW(136ps)、最大トルク290Nm(29.5kgm)の電気モーターが収まっている。トランスミッションは固定ギア(1速)で、0-100km/h加速9.6秒、最高速は150km/hを達成する。
室内も、一見、普通のゴルフと変わらないデザインだ。9.2インチのディスプレイを備えた純正インフォテインメント「Discover Pro」は標準装着。初期配車モデルにはオプションの"テクノロジーパッケージ"が装着されるため、この試乗車にも液晶メーターの「Active Info Display」が採用されている。
メーターは回転計の代わりに"パワーディスプレイ"が配置され、どのくらいパワーを使っているのか、あるいは回生ブレーキによりどの程度電力を回収しているのかがひと目でわかるようになっている。
下の写真はメーター中央に表示される地図を拡大表示した様子。なお、従来はこの地図の縮尺を任意に設定することはできなかったが、このeゴルフではそれが可能になった。
ステアリングホイールやシフトブーツなどにブルーのステッチが施されるのもeゴルフの特徴のひとつだ。そして、見逃してはならないのは、シフトパターン。前進のポジションに、「D」「B」「+」「-」の文字が並んでいる。
実はシフトレバーを操作することで、回生ブレーキのレベルを走行中に変えることができるのだ。
Dを選んだだけではアクセルペダルから足を離したときに回生ブレーキが効かない設定で、シフトレバーを左に倒すことではじめて回生ブレーキのレベルが1→2→3と上がり、回生ブレーキの効きが強くなる。反対にシフトレバーを右に倒せばレベルが3→2→1→0と変化する。
一方、シフトレバーを手前に引くと「B」レンジとなり、レベル3よりもさらに強い回生ブレーキになる。つまり、回生ブレーキはD(0)→1→2→3→Bの5段階が用意されていることになる。
回生ブレーキとは別に、シフトレバー左にある「MODE」を押すことで、モーターの出力などを変更することが可能だ(ドライビングプロファイル機構)。
ノーマル......最高速150km/h、最高出力100kW、最大トルク290Nm
エコ............最高速115km/h、最高出力70kW、最大トルク225Nm、エアコン低下
エコ+.........最高速90km/h、最高出力55kW、最大トルク175Nm、エアコンオフ
ここからわかるようにエコ、エコ+を選ぶと消費されるエネルギーが抑えられ、そのぶん航続距離が長くなるのだ。
もちろん、回生ブレーキのレベルやドライビングプロファイルの話がわからなくてもeゴルフは運転できるが、知っておけばより楽しく、より遠くまで(!?)ドライブできるのも事実。なので、そのあたりを頭の片隅に置きながら、まずは基本の「D」と「ノーマル」のままでeゴルフをスタートさせた。
出足から強力なトルクを発揮するのがEVの醍醐味だが、このeゴルフもアクセルペダルに軽く右足を置くだけで、軽々と走り出す。1590kgの車両重量などまるで感じさせない頼もしさだ。乗り心地は落ち着いていて実に快適。ボディのしっかり感なども、まさにゴルフという印象である。そして、あらためて感心するのがその静粛性。モーターの音もロードノイズも良く抑えられており、乗り心地と静粛性は明らかに高級車を凌ぐレベルである。
高速道路入口のETCゲートを通過したところで、本線を目指してアクセルペダルを思い切り踏み込むと、強烈な加速とともにスピードメーターがグングン上がっていく。発進から50km/hくらいまでの加速はゴルフRも顔負けと思えるほど。制限速度付近の加速にもまだまだ余裕があり、少なくとも日本ではその加速に不満を覚えることはない。
一方、少し気になったのが高速での直進安定性。もちろん十分に高いレベルなのだが、他のゴルフはもう少し直進安定性が高いように思える。原因として考えられるのが装着されている205/55R16 91Qサイズのタイヤで、一般道でもややグニャッとした感触があった。多少航続距離が犠牲になっても、もう少ししっかりとした印象のタイヤを装着してほしいものだ。
運転に慣れてきたところで、回生ブレーキのレベルや走行モードを変えてみる。回生ブレーキのレベルは1→2→3と切り替えるごとに効きが強くなるのがわかる。さらにBを選ぶと、アクセルペダルの踏み加減だけで、加速も減速もほぼ思いどおりに。いわゆる"ワンペダルドライブ"が可能である。これを身につけてしまうと、回生ブレーキのレベルは常にBを選んでおけばよく、あとはアクセルペダルの微妙な操作を心がけることで、まさにワンペダルで快適かつ効率的な走りができるはずだ。
アクセルペダルから足を離すと最終的にはクルマは停止するが、トロトロ動く距離・時間が意外とあるので、停止するときは潔くブレーキを踏んだほうが良い。
ということで、バッテリーの減りや航続距離を気にせずに走った1時間は、eゴルフの高い完成度を知るには十分な時間だった。EVであっても、ゴルフらしい安心感や快適性、そして、走る楽しさが失われていないのが、とにかくうれしい。
今後機会を見て、短時間ではわからなかったeゴルフの"電費"や実用性に迫ってみたいと思うが、ゴルフGTEオーナーの私としては、自宅や自宅付近の充電環境が許せば、すぐにでも乗り換えたいと思う1台である。そのときは、タイヤとホイールはすぐに交換すると思うけれど(笑)
(Text & Photos by S.Ubukata)