2026年3月14日、東京高速道路(以下、KK線)を舞台に、空冷エンジンを搭載したポルシェを集めた「LUFT TOKYO」が開催された。

2026年3月14日、東京高速道路(KK線)を舞台に、空冷エンジンを搭載したポルシェを集めた「LUFT TOKYO」が開催された。
特設会場となった「KK線」は、2025年4月5日(土)午後8時をもって廃止されて以来、普段はクローズされた空間であり、クルマや人が立ち入ることができない。
「自動車専用の道路」としての役目を終えて「歩行者中心の公共的空間」に生まれ変わろうとしているKK線に、およそ200台もの空冷エンジンを搭載したポルシェが一堂に会することとなったのだ。
今回、2014年にアメリカ・カリフォルニアで誕生した空冷ポルシェの祭典「Luftgekühlt(ルフトゲクールト)」。この世界感に加えて、70年以上にわたり醸成されてきた日本独自のポルシェ文化を「LUFT TOKYO」として表現している。
銀座の街並みの数メートル上の路上で繰り広げられる「非日常」の世界

グループCカーがこれほど間近で観られるのも「LUFT TOKYO」ならではの光景だ。
「LUFT TOKYO」の世界へと誘うのは、東京高速道路KK線 西銀座入口だ。この上り坂の先に広がる空間はまさに「非日常」だ。

KK線からの景色。これだけでも貴重な体験だ。KK線の下を走る一般道から「LUFT TOKYO」の様子をうかがい知ることはできない。
何しろ、雑誌やWebでしか見たことがないようなポルシェが、わずか数百メートルの空間に集められ、並べられている。しかも、クルマの「置き」イベントにありがちな、単に整列させる形式ではない。

東京という街並みを背景に入れてこそ、ポルシェが映える。この911は当時のル・マン24時間耐久レースに参戦したエンジンが載るスペシャルマシンだ。
1台1台のポルシェが空間を演出するための「演者」であり、背景(ロケーション)とクルマを融合させることで初めて「Luftgekühlt(ルフトゲクールト)」の世界感が作りあげられる。この演出こそが、「Luftgekühlt(ルフトゲクールト)」他のクルマのイベントと一線を画すといわれる所以かもしれない。
70年におよぶ日本のポルシェの歴史を凝縮した「LUFT TOKYO」

新幹線とポルシェが並ぶ最後の光景かもしれない。
RM Sotheby's をはじめ、海外の有名なオークションに、日本に棲息していた(あるいは新車当時日本にデリバリーされた)数多くのポルシェが出品されている。
しかも、限定モデルや、日本独自に設定されたモデルなど、レアなモデルであればあるほど海外に流出している印象を受ける。
そんななか、もはや実車を見るのが極めて困難と思えるようなスペシャルな空冷ポルシェが「LUFT TOKYO」に集結した。展示車両の多くがイベント当日までシークレットだっただけに、会場に足を運んだギャラリーにとってもサプライズの連続だったはずだ。
「LUFT TOKYO」だからこそ実現したであろう、貴重なポルシェが集結

1964年に開催された第2回日本グランプリに出場した「ポルシェ904」
1964年に開催された第2回日本グランプリに出場した「ポルシェ904」、1968年に開催された同グランプリに出場した「ポルシェ910」、1980年代の国内耐久レースで活躍した「ISEKIポルシェ956」など、往年のポルシェ好きにはたまらないマシンそのものが展示されている。

俳優・高倉健が愛用した「356A カブリオレ」。

レーシングドライバーとしても名を馳せた生沢徹氏の愛車である911S Targa。
さらに、俳優・高倉健が愛用した「356A カブリオレ」や、レーシングドライバーとしても名を馳せた生沢徹氏の愛車である911Sタルガなども展示された。

「ナナサンカレラ」こと911 Carerra RS 2.7。

Porsche 959の姿も。

貴重なRUF BTR NATOプロトタイプ。

こちらも貴重な911 Carerra RS3.8(964)。

911 GT2(993)。
そのほかにも、911 Carerra RS 2.7をはじめ、RUF BTR NATOプロトタイプや、911 Carerra RS3.8(964)、911GT2(993)・・・などなど。「LUFT TOKYO」だからこそ実現したであろう、貴重なポルシェが集結したことはたしかだ。
「LUFT TOKYO」という非日常から日常の世界へ

「LUFT TOKYO」会場には、Porsche356ともに最新のPorsche MacanおよびTycanも展示された。
ひととおりの取材を終えてKK線 西銀座入口から会場の外に出ると、週末の銀座の街並みが目の前に広がっていた。
非日常から日常の世界へ戻ってきてしまった。

ふとKK線を見上げてみると、まったくといっていいほど「LUFT TOKYO」の空間が広がっていることが分からない(見えない)。何も知らなければ、まさか数メートル上の道路で世界的にも貴重なポルシェが展示されているとは夢にも思わないだろう。
KK線で「LUFT TOKYO」が開催されるのは今回が最初で最後だと思われる。また別の形で、もういちど「LUFT TOKYO」という非日常の世界に足を踏み入れてみたい。そう思ったのは筆者だけではないはずだ。
(Text & Photos by Toru Matsumura)


