2021年9月6日、ポルシェが電動レーシングカーのコンセプト「Mission R」を発表し、ミュンヘンショーでワールドプレミアを果たした。
ポルシェは911によるワンメイクレースを世界30カ国で開催しており、これまで4400台以上のカップカーが製作されている。コンセプトカーの「Mission R」は、未来のワンメイクレースのカップカーとなるべく開発された電動レーシングカーだ。
全長4326×全幅1990×全高1190mmの低くワイドなボディには、2基の電気モーターと約80kWhの駆動用バッテリーが搭載され、ポルシェターボチャージャー使用すれば、バッテリー残量を5%から80%まで回復させる時間はわずか15分だという。
予選モードでは最高出力800kW(1088PS)を発揮し、0-100km/h加速は2.5秒未満、最高速は300km/hを超える。一方、 決勝レース時には最高出力を500kW(680PS)に抑えることで、レース中のパワーダウンを回避する。
ノーズセクションとリヤウイングには、DRSを備えたポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)を採用した。
コックピットは、ディスプレイ付きのステアリングホイールや、ルームミラーやドアミラーの代わりにカメラから映像を表示するステアリングコラムのモニターなどが特徴的。コックピットにも複数がカメラが設置され、これを用いたライブストリーミングも可能である。
モノコックなど主要なパーツはカーボンを使用する一方、フロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカート、インテリアドアパネル、リヤバルクヘッド、シートなどには、天然繊維を用いたプラスチックを採用するなど、サステナビリティへの配慮も忘れない。
Mission Rに関して、ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長はこう述べる。
ポルシェは夢を実現する人々のためのブランドです。これはモータースポーツにもあてはまります。私たちはサーキットで革新的な強さを体験し、新しい道を追求する勇気を示し、車のオーナーにスポーツカー然とした性能で喜びを与えます。フォーミュラE世界選手権への参戦に加えて、私たちはここでEモビリティの次の大きな一歩を踏み出します。このコンセプトモデルは、フル電動カスタマーモータースポーツに対する当社の展望を示します。ミッションRには、ポルシェを強くするすべてのもの、つまり性能、デザイン、持続可能性が具現化されています
電動レーシングカーによるワンメイクレースが開催される日は近い?
(Text by Satoshi Ubukata)