180323-Oya-07city2.jpg【イタリア直送 大矢アキオのかぶと虫! ビートル! マッジョリーノ!】

ジュネーブ・モーターショー2018が3月18日に閉幕した。入場者数は66万人で、2017年比マイナス4.5%となったが、50%が外国からの来場で、国際ショーとしてのプライドを維持した。

そのジュネーブのフォルクスワーゲンブースで最も脚光を浴びていたのは、いうまでもなくコンセプトカー「I.D. VIZZION」だった。

プレスデイでは時間によって、順番整理のスタッフを置くことなく、来場者を自由に車内にアクセスさせていた。

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コンセプトカーというのは、一般的にかなりデリケートなつくり、かつ突貫作業である。かつて他メーカーで「このクルマのシートは置いてあるだけなので、バックレストにのけぞらないでくださいよ」と注意されたことさえあった。

対して「I.D. VIZZION」は、室内に乗り放題・触り放題だった。フォルクスワーゲンによるコンセプトカー製作への自信が窺えた。

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実はもうひとつ、フォルクスワーゲンブースにはワールドプレミアがあった。電動キックボード「Cityskater(シティスケーター)」である。

詳しくは本サイトの別ページを参照いただくが、"街をサーフするためのマイクロコミューター"である。電動化車両I.D.シリーズの、いわば末っ子としての位置づけだ。

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3月6日朝8時からのフォルクスワーゲンのプレスコンファレンスで、Cityskaterはいきなり冒頭から、つまりI.D. VIZZIONより先に現れてステージを走り回った。

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アウトソーシングかと思いきや、セールス&マーケティング担当重役のユルゲン・シュタックマン氏によれば、企画・開発ともフォルクスワーゲンで、製造もドイツ国内のフォルクスワーゲン工場で行うという。

プレゼンテーションが終わると、ジャーナリストたちはさっそくI.D. VIZZIONに走り寄って取り囲んだ。

いっぽうのCityskaterのコーナーはというと、誰もおらず、スタッフのお兄さんとお姉さんが手持ち無沙汰にしているではないか。

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「これでは開発者が浮かばれない」

そんなことを考えていると、彼らが「乗ってみますか?」と声をかけてくれた。

Cityskaterの各種操作をディスプレイ画面と連動させた、いわゆるシミュレーターであった。障害物を避けながら走るゲームになっている。

運転は片手のレバー操作で、すべてを行う。上部のボタンを親指で押して加速、あとの4本指でグリップを握ればブレーキが掛かる。操舵は、曲がりたい方向にレバーを倒すことで行う。

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イタリアに住み始めて以来22年おかげさまで無事故のボクだが、実はこうした"ヴァーチャルもの"にはめっぽう弱い。PCのサーキット走行ゲームをすれば平気で逆走し、フライト・シミュレーターを試せば1分とたたないうちに墜落させてしまい、そのたび女房の失笑を買ってきた。

東京時代には自動車学校のシミュレーター教習で、画面上のコースを外れまくり機器を復旧不能にしたこともある。言い訳が許されるなら、物理的に動かないものの操作法習得にまったく気合が入らないのである。

そんなボクにもかかわらず、Cityskaterの場合は、最初の数秒で1度だけ「煉瓦状の壁」に激突したものの、あとは極めて容易に操縦できた。

これならリアル走行も、かなりいけそうだ。「男の自信が蘇る」と、怪しい強壮剤のようなフレーズが頭に浮かんだ。

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体験後、お兄さんがタブレット型コンピューターを片手に「アンケートに協力してほしい」という。

内容はCityskaterを「何km以内の移動に使いたいか」「どのような用途に乗りたいか」そしてCityskaterで「あなたの生活が変わるか」といったものだった。さらに「1500ユーロ以下なら買うか」といった質問もあった。

新たなジャンルのプロダクトに対するフォルクスワーゲンの"やる気"が感じられた。

重さは11.9kg。エレベーターが故障したイタリアの駅で、たびたび20kg以上あるスーツケースを提げて階段を昇降しているボクである。ほぼ半分だ。チャラい。

前述のシュタックマン氏によれば、(2018年の)クリスマス前に発売予定という。

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......と書いたところで、パソコンの調子が悪くなってきた。いまはCityskaterが新品PC代に消えてしまわないよう願うばかりである。

(文と写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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